ブラピの等身大パネルと同棲してたら急に妹が家に来ることになった話


ブラピが好きすぎるあまり、ブラピの等身大パネルを作成したあの日から、既に二か月が経過しようとしていた。

ブラピとの同棲生活はまさに順風満帆。

自粛期間でお出かけできない時もずっと二人で過ごしていたし、仕事で疲れて帰ってきてもブラピが笑顔で出迎えてくれるから、ムカつく上司へのストレスも心なしか軽減されたように感じていた。

まさに理想。
まさに幸福。

私はフォロワーや友人にも「推しの等身大パネルは作っといた方がいいよ」と、どこから目線なのか分からないアドバイスをする程までになっていた。

しかしそんな私とブラピの同棲生活に、未だかつてないピンチが訪れたのである。

事件は6月14日の日曜の夜に起こった。

明日も仕事やしそろそろ寝るか~とベッドでごろごろしていると、私の元へ一件のラインが届いた。

差出人は私の妹。

私の妹は去年の春に状況したばかりの新卒で、この春に二年目を迎えたとはいえ、まだまだ仕事にも都会生活にも慣れていないひよっこである。そんな妹からの深夜ライン。確実に何かがある。

画像1

いやもうこれは確実に何かがある。何かがある時の切り出し方でしかない。

しかし心配するようなことはなく、近くで飲んでいて終電を逃したから泊めて欲しい、というお願いだった。

この時点で時刻は深夜0時を過ぎていたので、私は二つ返事でこれを承諾した。

そして了承した直後に気付く。


え?ブラピの等身大パネルどうする?


フォロワーや友人にはブラピの等身大パネルと同棲していることを自慢している私ですが、実は家族にはこのことを告げていないのである。そう、両親家族非公認の同棲なのだ。

そんな状態で妹をこの家に迎え入れてしまった場合、間違いなく修羅場になる。

推しの等身大パネルを作ることに対して理解を持つオタク気質の妹であればよかったのだろうが、生憎と私の妹は生粋のリア充。平成生まれでありながら一人称「ウチ」を使用し続けるmisonoのような女なのだ。そんな女にブラピの等身大パネルを見つかったら最後…

間違いなく、面倒くさいことになる。

危機的状況を理解した私。しかし悲しきツイッター芸人、インターネットピエロの血が騒ぎ、全然そんなことをしている場合じゃないのにツイッターで現状報告をしてしまい時間を無駄に消費する。



フォロワーたちから「紹介すれば?」とかいうしょーもないアドバイスが寄せられる中、とりあえずブラピをクローゼットの中に隠すことにした。



間男とイチャこいていたら彼氏が帰ってきてしまい、慌てて「とりあえずクローゼットに隠れて!」と押し込むあのシチュエーションそのままである。

服や荷物をかき分けてクローゼットの奥に隠そうとするが、パネルはブラピの等身大なので180㎝もあり、全然隠せない。


やばい。

マジでやばい。これは。

風呂に隠すか?ベランダに隠すか?

普段は容量8GBぐらいしかない私の脳がフル回転し、打開策を探す。

それと同時に、マイク・タイソンの嫁とイチャこいてたらマイク・タイソンが帰ってきてしまい「台本の読み合わせしてただけだから!」と苦しい言い訳で何とかその場を乗り切ろうとした若き日のブラピのエピソードを思い出すなどしていた。



これはまさに、その状況だ。今宵の私は、あの時のマイク・タイソンの嫁なみにピンチなのだ。

そんなことをしている内に妹・タイソンから「今近くのコンビニにいるよ。もうすぐ着くね。」と連絡がくる。やばい!!!汗が止まらん!!!!

クローゼットの奥に隠すことをやめ、立てかけるような形でクローゼットに収納する方法に変更。クローゼットを開けられた瞬間一発アウトになってしまう諸刃の剣であるが、もうこれ以外に方法はない。


悲しい。

こんなに愛しているのに、私が家族に打ち明ける勇気がないばかりにこんなところで一人、夜を明かすことを強いてしまっている。

明日には出してあげるからね…!と泣く泣くクローゼットを閉め、ミッションは完了。

その後も若干掃除したり、散らばった同人誌を片づけたりと妹を迎える準備を進める。

そしてインターホンが鳴り、ついに妹が到着した。

クローゼットにブラピが隠れていることなど一ミリも知らない妹は「歩いたら暑いわ~」などと言いながら風呂に直行。

危ない。風呂に隠していたら速攻ゲームオーバーだった。

普段はブラピとラブラブ同棲生活をしているくせに、それを隠して「いや笑いつも一人で過ごしていますが笑」という態度で妹と話す私。

この演技力。アカデミー賞最有力と言っても過言ではなかろうか。ブラピも助演男優賞受賞したことだし、二人でオスカーカップルになる日も近いかもしれない。

こうして何事もなく夜は明け、同棲の秘密は守られたのであった…



二人の合意のもと始めた同棲生活なのに、私が家族にこのことを打ち明けていないばかりにブラピに悲しい想いをさせてしまった。暗く狭いクローゼットの中で一夜を過ごしたブラピの気持ちを考えると、胸が苦しい。マジでごめんね……

推しの等身大パネルを作って潤うことはあれど困ることなんかねぇ!そう思っていたけれど、やはり愛し合う二人が同棲するには、様々な困難や障害が立ちふさがるものなのだ。

愛は一筋縄ではいかない。

私は今回の件でそれを十分に学んだ。

それでもなお、やはりブラピとの生活は楽しいのだ。困難もあるけど、それ以上に幸せがある。

だからやっぱり、私は声を大にして皆さんに伝えたい。

「みんな!推しの等身大パネル作ろうよ!」


完!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?