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2022-07-28 収入と環境と運のはなし

今年の夏は平均時給1000円のはなしをよく耳にする。
現代の日本。だけじゃなく多くの先進国ではお金があれば大体のことが手に入るし実現できる。お金はあるに越したことがない。

一方で、特にSNSで収入マウントのような話題も見かける。
高収入がハイスペだとか。優秀だとか。偉いとか。

本当にそうなのかな?

僕は新聞配達、漁師手伝い、レンタルビデオ屋の店員、舞台衣装制作、某パリコレブランドでファッションデザイナー・個人デザイン事務所・海運業…今ではwebエンジニアっぽい事がメインのフリーランス。…そんな感じでアルバイト含めていろんな職を転々としてきた。会社も作ってみた。
職歴多すぎて普通の履歴書じゃ欄が足りないくらい。

そんな個人的な感覚としてだけれど、収入は個人の能力の高さより運に左右されるよな〜と考えるようになっていたのでその話をしておこう。
あくまで個人的な考えとして。

まずお金を稼ぐ方法として、自分で事業を始める (起業) と働いてお給料ををもらう (会社員) という2つの方法がある。
今回は会社員のもらうお給料についてと、そのキャリア戦略について思うままに書いてみようと思う。
※ 資本主義の犬なので、有料noteにしてみたけど、有料部分には特に何もないです

年収2000万の商社マンも、年収200万の工場勤務も、アルバイトも、パートも給料を貰っている人はみんな等しく自分の労働力を売ってお金を得ている労働者だ。

高給取り = 自分を高く売れている = 能力が高い
って思いがちだけど実はそうじゃないんじゃない?ってのがこの駄文の趣旨

結論から書こう
1. 給与は住む場所で決まる
2. 儲かってる会社か動かす金額が大きい会社の給与は高くなる
3. 稼げるかどうかは環境による

1. 給与は住む場所で決まる

経営者や会社は労働力が欲しい。
日本や欧米のような資本主義の国では労働力を得るのも競争になる。
競争が激しい所では優秀な労働力を得るために報酬が高くなる競争が起こる。お金を払えない会社は福利厚生とかやりがいとかでアピールする。

人口が少ない地方より、人口が多くて仕事も多い首都圏などの都会の給与や時給が高いのは知ってのとおりだと思う。
コンビニの仕事も介護の仕事もやってることは同じでも、住んでる場所によって収入が上下する。
この収入の差は都会に住んでいる人が優秀で、地方に住んでいる人が優秀でない訳では決してない。単純に住んでいる場所の違いでしか無いのだ。

いわゆる外資系の給与が高いのだって同じだ。単純にその会社のある国の人件費や物価が日本より高い水準で、その水準のまま円換算の給与を出しているからに過ぎない。

スタバのコーヒー1杯が1000円みたいに物価が高く時給が2000円が普通の国の会社なら、その水準のまま給与を出せば物価の安い日本では高給取りになる。スーパーのレジ打ちのアルバイトが時給2000円の国だってある。(スイスとか)
ソトコトの時給が高いのがよく話題になると思う。

他にも現地の人にとっては 1$ = 100円感覚だとすると、20万円相当のつもりで 2000$ の給与が支払われたとして、為替が 1$ = 140円 なら 28万円だ。
会社の売上が $ で入っているなら 20万円の給与を出してるつもりが日本人にとっては 28万円もらえる会社になったりする。

これも会社のある場所の文化・物価と、自分が住む場所の文化・物価の差で給与が変わっているに過ぎない。
日本は人件費が安い文化の国だから文化の差で高待遇に感じられる状態になってるに過ぎない。

2. 儲かってる会社か動かす金額が大きい会社の給与は高くなる

給与ってのは会社の儲けから支払われる。
だから単純に会社が儲かっていれば給与を多く支払うことができる。
それだけ。

会社が溜め込むじゃん?って言うよね?
会社を存続させたり事業拡大の投資の為に会社のお金としてある程度溜め込む事は当然ある。

だけど法人税ってのがあるんだ。
そして日本は累進課税。
わかりやすく言えば、会社も人と同じで、儲かっていれば儲かっているほど税金が高くなる。
給与として使ってしまえば税金のかかる金額が減るから節税にもなるんだ。

不動産屋の営業マンって高給取りなイメージがあると思う。
多くの場合は基本給じゃなくて、売上によるインセンティブで高級取りになるんだ。

不動産って高いよね?1つ売れるだけで、5000万とか1億とか会社は儲かってしまう。20%をインセンティブにしても、営業マンには1000万とか2000万みたいな高額なインセンティブを出せる。

これが うまい棒 の営業なら?1つ売っても10円だよね。同じ20%のインセンティブなら 2円。
単価が安いからもっとたくさん売れるとしても、2000万円のインセンティブを受け取ろうとしたら… うまい棒を1億個売る必要がある。

うまい棒の年間売上本数が4億2000万本程度らしいから、1億本を1人で売るのはほぼ不可能なんじゃないかな?
うまい棒1億売るのは難しくても、4000万くらいの不動産は結構売れてるよね。

僕は海運関係の仕事をしてたこともある。
大きい貨物船って1隻10億とか20億円とかする。
だから船の売買の時の接待とかめちゃくちゃ豪華だし、大量のモノを運んで売るから売上の金額もバカでかい。

仮に売上を全額社員のお給料にするとして、
10億の船の製造を受注した会社の社員が 500人なら 1人 200万円
船を動かして1億の売上を出す会社の社員が 5人なら 1人 2000万円
分ける人数が少なければそれだけ取り分は多くなる。

商社とか大企業は売上がバカでかいし、証券会社とかコンサルは動かしてるお金が大きい割に社員数が少ない。

つまり、儲かってる会社ほど給与が良くなるし、動かすお金が大きくて人数が少ない会社ほど売上金額が大きくなりやすいから給与を良くしやすいってことになる。
良いお給料を得る事が目的ならこういう会社を目指せば良い。
シンプルだ。

3. 稼げるかどうかは環境による

例えば、ソ連に生まれていたら、
いくら優秀なビジネスマンでもみんな給与は同じだ。

大飢餓が発生とかで突然ハイパーインフレになったら
どれだけ高い給与を貰えていても じゃがいも 1つも買えないかもしれない。
お金より、じゃがいもの方が通貨的な価値が突然高くなるかもしれない。

就職氷河期世代は、たまたま社会全体の景気が悪くなって新卒でいい会社に就職できなく、第二新卒という文化も無かったから給与の低い状態で過ごさなければならなかった。
お前の替えは幾らでもいるんだ!ってすり潰された人も多い世代だけど、完全にたまたま学校を卒業した年の社会状況が悪かったって運。転職市場も社会制度も今ほど流動性もないし法整備もされてなかったって運でしかない。

現代日本ではお金を稼いでる人が注目されて偉いように見えているかもしれない。
江戸時代だったら偉いのは武士や大名だったよね。実は彼らは全然お金はなかったんだ。竹光とか武士は食わねど〜って言うよね。
お金を稼いでるのは商人だったし、当時の税金は年貢って「お米」。
お給料だって俸禄ってお米だし、国力も石高ってお米の生産力。
お米 is パワーの時代。
つい100年前くらいまで日本は、お金の価値より食べられるお米の方が価値が高かったって事。

キリスト教の強かった時代のヨーロッパだって偉さの基準は信仰心。
だから教皇や教会が偉かった訳だよね。
彼らの権威はお金って財力じゃなくて、信仰で裏付けられていた。
国王だって神から権威を与えられたとか、教皇や教会に認められることを偉さや権威の裏付けにしてた。
エジプトみたいに財力がめちゃくちゃあることが神に認められた王の証!みたいな文化のところもあったけど、歴史的に見てもお金を持っている = 偉いみたいな価値観はホントここ60〜80年くらい資本主義とともにできてきた価値観に過ぎないんじゃないかな。

むしろユダヤとかお金を持ってるとか蓄財してることを悪とか不道徳だと考えてる社会だった時代の方が長いんじゃないかな。
日本だって儲けてる庄屋はだいたい「お主も悪よのぅ〜」って賄賂を使う悪いやつに描かれるし、浄財って文化も今もあるよね。

今君が生きてる現代日本って社会以外に視野を広げると、給与が高くなるか低くなるかは優秀かどうかより、どんな社会に生きてるのかって運の要素が強い事が理解してもらえるんじゃないかな?

給与の良し悪しは人の優劣ではない

つまり、外資や給与の良い会社に入る為に努力したとかはあると思うが、給与の良い企業に入れること = 優秀ではない。

それはその企業にマッチできる人材だとアピールできたとか、そのポジションが空いていたとか、人材獲得競争の激しさとかの外的要因・運の要素が強いって思うんだ。

そして優秀だと必ずしも収入が良くなる訳ではなく、どこで働くか、どれくらい儲かってる会社か、どんな社会か、って要素に大きく左右される。

個人的な体験としても、webサイトの HTML と CSS を書くコーダーって仕事があった。同じことをしててもフロントエンドエンジニアって肩書だと給与が1.5倍近くなった事だってある。
やってることは同じなのにね。会社とその会社での肩書が違っただけ。

だから収入が高い人がハイスペだとか、偉いとか、優秀だとかというと、必ずしもそうではない。

ハイスペだから収入が高いのではなく、収入が高いとハイスペだと認識される傾向のある社会に生きてるだけってコトなんじゃないかな〜って歴史も含めて俯瞰してみるとそんな風に思えるんだ。

連日のように高給取りの政治家や商社マンや会社の責任ある立場の人が痴漢だったり、浮気だったり、盗みだったりしょーもない犯罪をしたり、家事も育児も出来ないと家庭で邪魔者にされていたり、会社をやめた後でも会社の肩書で威張る迷惑おじざんになったりするのは、彼らがハイスペや優秀だった訳では無いことの証明でもあるんじゃないかな。

だってそんな人たちが面接をパスして会社に入れてた訳だから、入社の面接や試験は本人の資質なんてものはあまり判断できないってことだと思うよ。

つまり環境に適応することで、ある程度は収入が高くできる

ここまでで、自分の時間を同動力として売る会社員 (労働者) の給与はその人の生産性でも優秀さでもなく、場所と、会社の規模と、社会環境に左右される面が大きい事を長々と説明したつもり。

この仮説が正しいとしたら、高給取りになろうと思えば、これらの条件が合う会社に入れるように逆算すれば良いだけになる。

社会環境だけは超運以外でどうしようも無いんだけど、これを読んでるだろう現代日本に生きてる君たちは超運がいい!
だって自由に移動できるし、職業選択の自由もあるし、なんなら人手不足で会社を選びやすい社会環境に生まれたのだから。めちゃくちゃラッキーだ!
北朝鮮や内戦中のアフガンとかだとこの部分で9割詰んでたもん。

超ラッキーな資本主義の近代国家に生まれた君たちは、場所や会社って環境を変えるだけで、ある程度収入を上げることが可能なんだ
会社に入れるための努力さえ戦略的に行えば、たぶんそんなに難しいことではないと思う

まとめ

こんな感じで、僕は収入の高さ本人の優秀さとは無関係で環境や運の要素が強いと考えてる。

だから友よ。
たかが収入の高さを自分の偉さと勘違いするのはやめよう。

収入が少ないと嘆くと友よ。
超高収入になれるかは分からないけど、収入は環境に左右される面が強いのだ。環境を変える勇気を持ってみても良いのではないだろうか?

収入は最終的には運だな。って思えるようなれば不幸にならない程度の収入があれば、高級腕時計とか高級車とかタワマンとか永遠に続くラットレースから降りて穏やかに過ごせるんじゃないかと思う。
もちろんそういうモノを手に入れることが幸せな人はそれを追求すればいいと思うけど、そこは人それぞれ。

まぁでも収入がないことで不安になり不幸を感じるってのも確かなので、4000兆円なんて贅沢は言わないけど、毎月100万くらい貰えないかな〜?
って夢見たりするのだ。

ぼくもすっかり資本主義に染まっている。


有料部分には今日作った料理の名前が書かれています。

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