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持続化給付金の申請が始まりましたが、課税対象になったことには問題点があると思います。

フリーランスフォトグラファーのまちゃるです。

ゴールデンウイークに入りましたが、外出を控える期間となってしましました。
しっかりと外出自粛をしつつ、写真整理や勉強などできることをやっていこうと思います。

さて、昨日5日1日から個人事業主や中小企業に向けた財政支援策の持続化給付金の申請が始まりました。

さっそく周りでも申し込んだという声がちらほら。
(僕は確定申告書類の控えに収受印が無いので、納税証明書の確保からです( ;∀;)

これまでにない規模とスピード感を目指して給付をしていくということで期待していますが、厚生労働省の公式ページを見ていて気になることがありました。

「持続化給付金は課税の対象になる」

という点です(下記ページのQ15)

これは厳密に言うと

税務上、益金(個人事業者の場合は、総収入金額)に算入されるものですが、損金(個人事業者の場合は必要経費)の方が多ければ、課税所得は生じず、結果的に課税対象となりません。

と言うちょっと回りくどい書き方なのですが、要は「2020年度の確定申告の際に給付金を普通の売り上げのように計算して、必要経費を差し引いて申告してください」ということです。
(個人事業主の場合、「雑収入」として事業所得の収入に。法人の場合、営業外収益または特別利益に含む処理をする可能性が高いです)

すごくざっくばらんに言うと「いったん売り上げに入りますが、状況的にみなさん赤字になりそうなので、課税にならないんじゃないですか?」ということを意味していてそれが「結果的に課税対象となりません」という良く分からない話になっているのだと思います。


この点について、ネット上では疑問の声が多い印象でしたが、肯定する意見もちらほら見られました。「収入になるのだから課税対象になるのは当然」という声です。

確かに「持続化給付金」という名称になった時からうすうす嫌な予感はしていましたが、あくまで「事業を続けてもらうための給付金」であって、一般的な生活保障ではないような気がしていました。
「事業に使ってもらう」という制度設計にして、今回対象にならない方(会社員など)との整合性を図ろうとしているような感じもします。

ただ、少し考えてみるとこの「課税対象になる」ということが逆に問題を抱えているような気がしています。


1、そもそも給付額が足りていない可能性が高い

まずは「最高で個人事業主100万、中小企業200万」という給付額の設定の問題です。

実際に周りで持続化給付金の申請を考えている方、事業の落ち込みが激しい方とやり取りをしていると、この状況でかなりの打撃を受けている方ばかりです。

そして持続化給付金の申請にあたり、給付額の計算をしてみると、上限をはるかに超える額が出ている方ばかりです。
ということは、この事業の落ち込みがなければそれなりの売り上げを見込んで事業計画を立てていたということです。

本来であれば事業を続けていくには、給付額の計算をした際に出たオリジナルの数字(上限を考えなかった場合の数字)くらいの売り上げが必要な個人事業主・中小企業の方ばかりだと思います。

となるとそもそも「最高で個人事業主100万、中小企業200万という給付額の設定自体が厳しい」ということにならざるを得ないですし、その不足した給付額を課税対象としてしまうのは、事業者が使えるお金をより減らしてしまうことになります。


2、無理に事業を再開させることにつながるおそれ

現在、国や自治体の緊急事態宣言を受けて多くの事業者の方がその事業活動を自粛・縮小されています。
その自粛と努力が少なからず、感染拡大に役立っていると思います。

その一方で、今年度の損益や来年の税金のことを考えると一刻も早く事業を再開していきたい状況かと思います。

その状況の中で、

持続化給付金を課税対象にすること=給付金を事業に使ってもらう動機を強める

ということにならざるを得ません。

「持続化給付金が課税対象と言っても課税額はわずかでしょう?」という指摘もあるかと思います。
確かに給付金単体ではそうですが、事業者の中には各種補助金や融資制度を併せて利用しているところも多いと聞きます。

そうなるとそれらの返済計画も考えなければいけませんし、各種税金や保険料を今後どうしていくのかということも想定していかなければいけません。
それは必然的に「事業を少しでも早く再開する」という動機付けになりかねないと僕は思います。

確かに経済活動のことを考えると、安全がある程度確保された場所、時期であれば少しずつでも事業活動を再開していく必要があると思います。
ただ、まだ終息の可能性も全く読めない中で事業活動を再開させる動機付けをしてしまうことは、感染拡大や外出自粛の流れに逆行するのではないでしょうか。

給付金を家賃や研修費など、事業活動の中でも再開とは違う方向に使われる事業者もいますので、一概に否定はできませんが「少しでも今後の支払いを楽にするため、少しずつでも再開しよう」という動機付けに今回の課税問題がならないことを願います。


3、まとめ

今回のコロナ対策の給付金関係は1人10万円を給付する「特別定額給付金」などが非課税となりましたが、小学校等の臨時休業に伴い仕事を休んだ保護者に支払われる支援金や助成金も課税対象となりました。

今回、紆余曲折はあり、条件はありますが持続化給付金という一定額の給付が受けられる制度ができたのは一歩前進かと思います。
ただ、こういった災害などの際の日本の補償制度とすれば融資や助成金など、返済義務のあるものや一定の条件が付くものがほとんどです。

返済義務や条件は法的や社会的・経済的にも必要なものであることは否定しません。その一方で感染拡大のストップや終息が見えず、多くの方が健康的にも経済的にも不安を抱いている中で、安心して休業できるシステムとなっていないと、無理して事業を再開したり、体力が持たず廃業する事業者も出てくるという本末転倒なことになりかねません。
その結果、経済活動を優先させて感染症がなかなか終息しないという事態になると、いっそうの大打撃になるのではないでしょうか。

そういうことも考えると、今は「安心して休業できる仕組み」というのがある大切さをひしひしと感じています。


5月3日、補足を書きました。ご一読いただければ幸いです。


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