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MN1610 - 日本ではじめての16ビットCPU

初期の16ビットマイコンといえば、インテルの8086であったり、モトローラのMC68000を思い出す人が多いとは思いますが、実はTK-80な時代に既にLkit-16というトレーニングキットと呼ばれるボードコンピュータが売られていました。

PANAFACOM Lkit-16

TK-80よりもキーが多くて、アセンブラのニーモニックが入力できるようになっており、ちょっとだけ高級な感じがしていました。もちろんI/Oを拡張できる端子はあったのですがキットには7セグLEDしかありません。

Lkit-16

このボードに載っていたCPUが、PANAFACOM(現在のPFU)のMN1610という日本初の16ビットワンチップCPUでした。どんなCPUであったのかの公式の資料が見当たらないのですが、以下のページにアーキテクチャと命令が載っていました。

LKit-16

L-16A CPU

後継のCPUですが、こちらも詳しいです。

MN1613

ピン配置は以下にありました。BSってアドレスとデータを時分割して使っていたのかな。

MN1610 microprocessor - DIP 40 package

https://www.cpu-world.com/info/Pinouts/MN1610.html

あらためて見直すと、ミニコンのアーキテクチャを素直にマイコンに落としたというか、PDP-11の影響を感じますね。8ビットよりも16ビットの方が凄いんだと言いたかったような気もしますが、8080であってもアドレスは16ビットでしたし、アキュムレータこそ8ビットでしたが16ビット処理のできるレジスタもあったので、メモリにたくさん配線する必要があるくらいしか違いは感じなかった記憶もあります。当然、お店でこのキーボードを押してアセンブラのコードを打ち込んだ覚えはあるのですが、TIのTMS9900の方が既にソフトもたくさんありましたし、果たしてこの石に未来があるのだろうかと思ったのは確かです。やはりスペックが素晴らしくても売れるかどうかが大事ですよね。

まだボードと取説をお持ちの方がいるような気もするのですが、どうも和製のものはネット上であまり資料が見つからないですね。このボードを拡張してCRTに接続したり、TinyBASICを走らせた方もいらっしゃるようですが、なかなか大変だったみたいです。

マイコンからパソコンへ

ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。https://en.wikipedia.org/wiki/Panafacom By Christian Bassow, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=55537965

#CPU #MN1610 #Panafacom #PFU #LKIT16 #TK80

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