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私の知らない世界

ここカナダにいて残念なのは私自身がまだ自然との遊びを発見できていないことである。
確かに、湖では毎日のように泳いでいる。
時折魚と出くわすが、それもほんのたまに。

朝日が昇ると同時にカヤックで出かけたこともあるが、そのカヤックには亀裂が入ってしまった。
夫ジェイが亡くなる前に修復していたが
やっぱり不安だよね~?

そんな私を時折自然の遊びの場面に連れてってくれるのが、ここ湖畔の家の間借り人のハンターEである。

彼は夫ジェイのハンティング仲間だった。
というよりジェイによってハンターに育てられた(笑)
おむつの頃から、ジェイのハンティングに付いて行っていたらしい。
息子のように思っていたのだろう、ジェイは亡くなる前、ライフルをはじめとして、ハンティンググッズだけでなくフィッシングギアもすべてを彼に譲ったのである。

そんな彼が日曜、何時に終わる?と聞いてきた。

ご近所の男の子たちが来ていたのである。

6時

というと

北へ少し行ったとこにある池を見に行こう
デジカメ忘れずにね

なにごと?と思いながら彼のバンに乗り込んで着いたそこはバリーというタウンと、かつてよく湧き水を汲みに行っていた場所との中ほどにあった。

と言ってもいったん幹線道路を外れるとそこはポツンポツンとしか民家がなく、私には全く方角が分からなくなった。

見渡す限りの自然の中で、どうしてそこで曲がるってわかるの?
かつてジェイに聞いたものである。

東京生活で建物や地下鉄の出口番号しか目印にしてこなかった私である。

さて舗装道路からひょいと曲がるとそこには小さな駐車場があり

Simcoe County Smith trails 

という看板があった。
なんでも、かつての持ち主が亡くなったあとその所有地がカウンティの管理となり、そこにあった池にトラウトが放出されたというのである。

駐車場から苔むした切り株のある林道を進む。
一旦からりと開けて

かつて建物があったのであろう跡

ここって電波通じてるの~?な場所である。
住んでいたのかしら?
そしてさらに林道を抜けると池が見えて来た。

なんとも美しい風景である。

と、そのとき

何かが飛び跳ねるのが見えた。

トラウトだ。

あ、次はあっちで!

さらに進むと
いたいた、釣り人たちが

家族で来ている一組とカップルが、釣り糸を垂らしながらすでにバーベキューの準備をしている。

写真中央あたりに黒い影がいくつか見える

10歳くらいだろうか、男の子が興奮気味に釣れた時の様子を話してくる。

なんでもオンタリオ州のプログラムでトラウトをはじめとしてサーモンなどを決まった湖や池に放しているらしい。

全くの自然のようでいて、ある程度管理されている自然の世界である。
人の手の入っていない自然になど私は到底踏み入ることができないなと思う。
ここでさえ私は一人で来れない。
一旦陽が落ちると真っ暗闇だ。

間借り人ハンターEがジェイのフィッシングギアを持ってフィッシングに戻って来るならいつか一緒に来てみようかと思っている。

noterさんたちの記事で今日が日本の終戦の日であることに気づいた。

ここカナダにいても、食べることに困らない釣り人がいて穏やかで平和な池がある。

でも
去年戦争が始まった国からは、カナダ政府が戦争避難者用に特別に発行するビザで16万6千の人がカナダに入国している。
カナダの兵役システムを私はよく知らないのだが、その戦争が始まって以来無言の帰国をした兵士たちの報道を目にしている。

兵士が足りないというアメリカのニュースがかつてなく減少した数を示している。

戦争はちっとも終わっていない。

日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。