042_20231207_最果てのパラディン

基本情報

  • 柳野かなたさんによるライトノベル原作、奥橋睦さんによる作画の「転生モノ・ハイファンタジーマンガ」

  • 原作ライトノベルはオーバーラップ文庫から2015年5月から刊行、既刊5巻

    • が、2017年で刊行ストップしている

  • マンガはオーバーラップ社「ガルドコミックス」より、2017年9月から刊行、既刊12巻

  • メディア展開

    • 2021年10月から、「Children's Playground Entertainment」制作によりTOKYO MX系他で第一期

    • 2023年10月から、鉄錆の山の王 の副題で「OLMSUNRISE BEYOND」制作によりTOKYO MX系他で第二期

大まかな紹介

かつて滅びた死者の街――
人里離れたこの地に一人の生きた子供、ウィルがいた。
少年を育てるのは三人の不死者アンデッド。
豪快な骸骨の剣士のブラッド。淑やかな神官ミイラのマリー。偏屈な魔法使いの幽霊のガス。
彼ら三人に教えを受け、愛を注がれ少年は育てられる。
そしていつしか少年は一つの疑念を抱く。
「……この『僕』って、何者なんだ?」
ウィルにより解き明かされる最果ての街に秘められた不死者アンデッドたちの抱える謎。
善なる神々の愛と慈悲。
悪なる神々の偏執と狂気。
――その全てを知る時、少年は聖騎士パラディンへの道を歩みだす。

導入

この作品、コマを追ってるとどーしても「説明しないとつながらない…」になってしまい、膨大なテキスト量になるので「俺視点の雑い説明」にします。(皆は読んで!)

  • よく判らん「主人公と育ての親3人」”以外の姿が見当たらない”地域から物語は始まる

    • 主人公は8歳

    • 大魔法使いぽいジジイ、剣豪ぽい骸骨、目が焼かれたっぽいシスターの3人

      • 育ての親で(主人公いわく)アンデットらしい

  • どーも、この世界では魔法があり、神も実在し8柱居るらしい

  • 主人公は14歳になり、魔法に剣技に神官職にと、スパルタな英才教育に励む

    • 魔法と剣技の訓練のため、ダンジョンに潜ることが日課となった

    • 途中、ジジイが「本気で殺しに来た日」があったが、「冗談冗談、授業じゃよ」みたいにうやむやにされた

  • 15歳はこの世界での成人、三人からの「最終試験」というものを受ける日が近づく

    • 成人になると「守護神」と「何を誓うか」を決めねばならないらしい

  • 最終試験、骸骨に剣技で負けたが、合格として証に魔剣と「自分の出生の秘密」を教えてもらう

    • 200年前に大陸を”悪魔の王”が襲い、魔物が跋扈し、地形が変わるほどの大災に見舞われた

    • その中でも、育ての親3人が居た場所には”上王(ハイキング)”が敵であり、無限のアンデットを産める怪物らしい

      • そのハイキングが使っていたのが、合格の証の魔剣

    • 生前の3人はとんでもない強さの冒険者で、ハイキングの討伐を目指した…が失敗

      • 本性を隠していた上、骸骨さえかなわない剣豪だった

    • そこにつけこんで、不死の神の木霊(エコー)が現れた

      • 「不死にしたるしこの街は焼き払ったるからアンデットとなり我の守護者になれ」と誘う

      • それに応じて3人はアンデットになった

    • 2百年後、守護者になり、外の世界の状況なんてもうわからなくなった3人のもとにデーモンが運び込んで来たのが、赤子の主人公だった

      • ハイキングの封印を解くための生贄として

  • 「外の世界を観てこい」と主人公を送りだされた直後、不死神のエコーが現れ、骸骨とシスターの魂を回収に来た

    • が、ジジイが魔法で倒す…寸前まで行って失敗

    • エコーは「よくやってくれた、この世への執着を失えば完全なしもべになる」と言う

  • 主人公は三人をおぶって、生家に戻る

    • 絶望する主人公に、シスターが「立て」と鼓舞し立ち直らせる

    • 主人公は不死神のエコーを倒す決意をし、作戦を練る

  • 絶対絶命のピンチに、自分を異世界転生させた「灯火の神」が現れる

    • 前世の後悔から「今回はちゃんと生きたい、家族くらい守りたい」と懇願する

    • 守護神と誓いを決め、加護を得て、戦場復帰

  • 守護神の加護と、自分と3人の親の4人の機転と奇跡により、不死神を倒す

    • なんだかんだあって、ジジイは後十年くらい生きられることに

  • 主人公はジジイに名前を付けてもらい、育ったアンデットの街から旅立つ

ここまでで2.5巻

感想

  • まーた、自分が「お、これええやん!」って発見した頃には「世界で有名になった後」だったので、悔しかった

    • もうアニメ2期が放映されてる最中だとは

    • 自身は、小説は読んでない

  • すごく「旅立つ理由」とか「モチベーション」の描写や、「問題解決」を丁寧に描くなぁと

    • 少年の容姿で展開する「旅立ち編」に3巻ほど使って、丁寧に描写・解決している

    • 「主人公の性質」の設定によるものなのか、はたまたメタ視点で作者の性質なのか…

      • 「完全決着して無問題にしてから次へ!」みたいにしてくれるのは、スッキリ感とカタルシスを好む俺には合ってる

    • 例えば「旅立ちの時に命からがら逃げてきた」「決着は後につける」でも良かった気がするが

      • 遺恨や因縁をストーリーの中核に据えず、一問一答で課題に対応しているのは読みやすい

  • 「世界観がまったくわからない」から「徐々に解っていく」ストーリーラインは、すごく `引力` があるなーと

    • 解ったときに「ああ、あのときこう言ってたのは、こういうことのためだったのか」となる

      • 例: FF3の浮遊大陸

    • その分、逆算だったり仕掛けだったり、作劇を考えるのは難しいだろうとは思うけれど

多くの作品においての”謎”に対する”既知”の構造
  • 物語での「謎」や「未知」というのは「3重構造」(あるいは3カテゴリ)だと思う

    1. 主人公たちも既知だが、読者は知らない謎

      • 例えば、万能ヒーロー系主人公が小出しにワザ出して行くのとか

    2. 主人公(あるいは主人公陣営)も読者も知らないが、作品世界の誰かは知っている謎

      • ごくごく一般的な「世界救いに行く系」とかがそれ

    3. 作品世界の「誰も知らない」し読者も知らない解き明かすべき謎

      • 学者が未知の物質の原理を解き明かす、とか研究する話とかがそれ

主人公の知っていること=読者が知っていること
  • 今回、開始当初は「主人公の”既知の量”が読者と一緒」

    • 主人公の知ってる事については「異世界転生してきて閉鎖空間で育てられた」という説明が終わっている

    • 主人公の知ってること=読者が知ってること、主人公の知らないこと=読者が知らないこと

    • 非常に感情移入しやすく、没入して作品世界を共感出来る

  • 序章のシチュエーションが、他の作品との類似性を感じた

    • 「灼眼のシャナ」の「物語が始まるまで編(旅立ち編)」は、過去が良く分からない骸骨とメイドに、スパルタされて育ち、旅立つ時には「非常識な強さ」を身につけ、育ての親との別れがあった

    • なにか、作者のシンパシーやリスペクトがあったのだろうか?

      • そうなら嬉しいんだけどw

  • マンガかつファンタジーという娯楽にあって「地に足着いた教訓」をくれる

    • 例えば

      • 「突出した個でも数と相対するには限界がある」とか

        • じゃりン子チエのテツが越えられなかった壁である

      • 諍いは金で溜飲が落とせるならまだましとか

      • 同業他社に迷惑かけるからダンピングはダメとか

    • 明日人生に活かせそうな説教臭い教訓をくれる

      • そういう意味では、大人向けの絵柄・物語でありながら、お子様への情操教育としてもよろしいかと

  • これは恐らく「異世界転生モノ」なのだと思うのだけれど…

    • 主人公が「こちらの現実世界の記憶を持って転生してきた」設定を、(マンガ最新巻を読んでる今までは)たいして生かしてはいない

      • 「今世は全力で生きたい!」というモチベだったり

      • 自分の主神の決定とある程度の寵愛だったり(チートほど貰ってない)

    • 今後、なんかあるのかはわからないが、大きなピースとして生かして欲しく期待する

  • 作品がエターナる可能性があって少しせつない

    • 原作のほうは2017年9月で止まっており、ロードマップも表明されている…のにも関わらずそのとおりは執筆が進んでいない

    • 体調も意欲も「作者の持ちもの」「作者の勝手」であるのだけれど、願わくば、最悪打ち切りでも良いので決着してほしいなと

  • 最新巻が「うおーーー!どうなるんだー!!」なヒキで終わってるので、イィーなってるw

    • いわゆる我々の業界で言う「レイニー止め」である

    • 待ち遠しいけど、読んじゃうと終わってまうような…

    • でもー読めるなら早く読みたい!

総評

  • シリアスかつハイファンタジーでありながら、お子へも安心してお出し出来る良作

  • 先行きにいくつかの不安がありながらも、だからこそ目を離すべきではなく、追いかけていく価値のあるものではないだろうか


最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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