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ひこうき雲

連休中の夕方のことです。

「ひこうき雲だ!」

散歩に出かけようと、玄関を出たところで発見しました。思わず、スマートフォンでシャッターを切ります。いつもなら気にもとめないのですが、なぜか目に飛び込んできました。

息子と一緒に、何回か飛行機に乗ったことはあるのですが、思い出すのは、やはり空港です。乗るのではなく、「見に」行くのです。

「行ってらっしゃい」
轟音とともに飛び立つ姿を、飽きもせず見送ります。あの大きな機体が、どうして空を飛ぶのだろう。私は、今も説明できません。

「おかえり」
無事に到着してよかったな。あのスピードで降りてきたのに、見事に止まります。

私たちは、何度も伊丹や知多半島へ出かけました。只々、空港が好きだったのでしょう。

最近、妻から聞きました。息子は、どうやら飛行機の荷物を運ぶ車「エアカーゴ」と、飛行機に描かれている国旗を見ることが好きだったようです。

「空港は、世界への入り口だよ。」
「これからは、もっと広い世界が広がっているんだよ。」
私は、そんなことを、伝えようとしていたのかもしれません。

もう一度、空を見上げます。
夕焼けの空に、一本のひこうき雲。

空は、ひとつですね。

【2024年5月13日 初出】

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