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⑥「サンタクロースっているんでしょうか?」

毎年クリスマスの頃に読む本があります。

一つはチャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』

もう一つは『サンタクロースっているんでしょうか?』というタイトルの社説の和訳本です。


二冊とも「本当に大切なもの」を再確認するために読んでいます。



『クリスマス・キャロル』

『クリスマス・キャロル』は、強欲な初老の商人のスクルージがクリスマス・イブに3人の精霊に連れられて過去・現在・未来の旅をした結果、改心をする物語です。


一年に一度読み返し、このままの状態で問題ないか自問自答しています。



『サンタクロースっているんでしょうか?』

今回主にお伝えしたいのはこの社説についてです。


この社説は、1897年9月21日のニューヨーク・サン新聞(今は別の新聞社と合併したそうです)の社説です。


同社のフランシス・P・チャーチという記者によって書かれました。


当時の編集長は、彼のことを「深い洞察力と鋭い感受性を持った人物だった」と回想しています。


ある日、編集長はチャーチに、8歳の少女から同社に届いた「サンタクロースって、ほんとうにいるんでしょうか?」という手紙に対する社説を書いてみないかと提案したそうです。


最初はチャーチはあまり乗り気でなかったようですが、書きあげたのがこの社説です。


ここでは社説の内容ではなく「訳者による紹介文の一部」と「朝日新聞の天声人語」を紹介します。

この社説が、当時の物質文明・合理主義の風潮が強まる中で、精神面の重要性を強く感じていた人びとのあいだに、大きな反響をよんだことはいうまでもありません。
訳者:中村 妙子

『サンタクロースっているんでしょうか』偕成社


「この世の中に、愛や人へのおもいやりや、まごころがあるのと同じようにサンタクロースもたしかにいるのです」

この社説は「古典」としていまも語りつがれているという。
(略)
信頼、想像力、詩、愛、ロマンスだけが、目に見えないかがやかしいものを見せてくれるのだと、社説は少女に語りかける。みずみずしい筆致である。
1977年12月24日付

朝日新聞 天声人語



この社説を初めて読んだときの感動を忘れないために、毎年読んでいます。

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