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【ビジネスシーンでも役に立つ!】大人も間違いやすい日本語集

フリーアナウンサー、ナレーターの壽老(じゅろう)麻衣です。

TBS系列RKB毎日放送の局アナを経てフリーとなり、TBS NEWSのキャスターなどを担当。現在は主にTBS制作の番組やイベントなどに携わっていて、10年以上アナウンサーとして働いています。

ある仕事現場の一コマ

さて、読者の方の中には、4月から、新たに社会人生活が始まったという方もいらっしゃるかと思います。

自身の新卒入社の時期を振り返ってみると、アナウンサーとしてデビューをするためにニュース読みや座学など様々な研修を受けていました。

座学研修時に、特に放送では使ってはいけない、間違いやすい日本語なども教わったのですが、「ええ!?当たり前のように使っていたけれど、間違っている日本語だったんだ・・・気をつけなきゃ・・・!」と感じたことも多くありました。

そこで今回は、社会人でも実は間違いやすい身近な日本語、あるいはビジネスの場では使わない方が良い日本語をテーマに書いていきます。

読んでくださっている誰かのお役に立てたら、嬉しく思います。

誰かのお役に立てますように。



①「~になります」


「こちらが今回の資料になります」

会議の場などで一度は聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
この日本語の使い方は誤りですが、それに気が付かず話している人が多いのが現状です。

「なる」とは、非常に多くの意味を持つ多義語です。
現象や物事が自然に変化していき、そのものの完成された姿をあらわす、別のもの・状態に変わる、などといった意味です。(広辞苑より)

具体的には、「血となり肉となる」「氷が水になる」といった形で使われます。

そのため、上記のような使い方は、実は間違い。

上記の例のような場合は、「こちらが資料です」という表現が適切です。

ビジネスシーンでも間違って使いがち。

②「~たり~たり」


非常に間違えやすいと言われている言葉です。
間違えやすい日本語・語句などの本を読んでいても、高い頻度で見かけます。

私自身も、研修時に「放送で使わないように」と指導を受けました。
辞書によると、語法『たり』を繰り返す形が規範的と書かれています。

具体的には、「雨が降ったり止んだり」「晴れたり曇ったり」などです。

【ビジネスシーンでよく使うような会話の例】
「きょうはA社と打ち合わせをしたり、B社と懇親会をしました」✖
「きょうはA社と打ち合わせをしたり、B社と懇親会をしたりしました」〇

「たり」は繰り返し使う言葉。


③文頭の「なので」

こちらはアナウンサーになって早い段階で「文頭で使うのは日本語として間違っているから気をつけるように」と指導を受けた言葉です。

この言葉は独立した接続詞ではないので、文頭に来るのは誤り。

誤った例
「外に出たら雨が降っていました。なので、傘を取りに戻りました」✖️

便利なのでつい使ってしまう言葉ですが、特にビジネスシーンではそこを我慢!

似たような言葉の言い換えとして、「だから」「そのため」「ですから」などが使えます。

正解の例
「外に出たら雨が降っていました。だから、傘を取りに戻りました」○

文頭の「なので」にご注意を!

④「お体にはご自愛ください」


こちらは、お体とご自愛の意味が重複しています。

ご自愛という言葉に、体を大切にする、という意味が含まれているからです。

正しい表現としては、「ご自愛ください」あるいは、「くれぐれもご自愛ください」などです。

正しい使い方で、相手を労わる言葉を

⑤△「とんでもございません」「とんでもありません」
〇「とんでもないことでございます」「とんでもないです」


褒められた際などに謙遜する意味でよく使う方も多いと思います。

とんでもない、という言葉は「とんでも+ない」ではなく、「とんでもない」という一つの形容詞です。

そのため、「とんでもございません」あるいは「とんでもありません」という言葉は日本語として違う!と捉える人が多いのも事実ですし、厳密には間違いだとの解釈もできます。

そんな中で、「とんでもございません」と「とんでもありません」にあえて△と書いたのは、理由があります。

2007年、文化庁が示した答申では、上記の言葉を認める立場を示しているのです。国の機関が認めるほど、一般的に広く使われている表現ということでもあります。

ただ、「とんでもございません」と「とんでもありません」が日本語として本来の使い方ではないという認識がある人がいるのは事実ですし、実際に私は言わないようにしています。

そのため、特にビジネスの場では、「間違った日本語を使っているなあ」とマイナスイメージを持たれないよう、上記の言葉を使うのが適切と、私は考えています。

「とんでもないことでございます」か、
「とんでもないです」が無難!

⑥△「新年あけましておめでとうございます」


「新年」と「あけまして」という言葉の意味は重複しているので、厳密には重複表現と言えます。

私がアナウンサーになりたての頃は、(2013年頃)普段から使わないようにと教わっていたのですが…!

△という表記をしたのは、現在一般的に広く使われている表現でもあるので、必ずしも放送で使用することは間違いではないという捉え方もあるからです。これは、2017年に、公共放送 放送文化研究所の公式HPで記載されていることです。


さらに、毎日新聞の校閲記者コラムにも興味深い記事を見つけました。
こちらの記事でも、新年明けまして、という表現が一概にも間違いとはいえないという解釈をしています。


どちらも2017年に更新されている情報で、言葉も、時代と共にどんどん変化していることを改めて実感しています。

ただ、広く使われている表現ではあるものの、「日本語として間違っている」と違和感を持つ人が多いのも事実です。

こちらも、「とんでもございません」といった言葉と同様、印象をマイナスにしないという意味でも、特にビジネスなどの場では、使うのを避けた方が良いと、私は考えています。

「 あけましておめでとうございます」や、
「新年おめでとうございます」が無難です!

おしまいに


いかがだったでしょうか?

今回はここまでです。
読んでくださり、ありがとうございました。

今回の記事が、誰かのお役に立てたら、嬉しく思います。

壽老麻衣

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