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エフェクト作画の注意点

エフェクト作画監督などで、他の人のエフェクトを修正するときに気になったことを、簡単にまとめます。

エフェクトを作画するときに、画面の派手さに気を取られたり、誰かのかっこいい作画を参考にするのは良いが、ただマネするだけで効果的に描けていなかったりする作画をよく目にします。
エフェクト作画をする時に注意してほしいのが、

エフェクトの「発生点」と動きの「ベクトル」です。


パンチを前に突き出しているアクションにエフェクトを付ける時のパターンの一つとして、拳を中心に発生する風や、パンチが通り過ぎた地点から発生する円形状の空気の輪です。
拳から発生する風は、前に進み続ける拳の動きに合わせて常に拳の中心から発生し続けて見えるように作画をします。

次はパンチを繰り出した地点から放射状に広がるエフェクトと、円形状に広がる風のトゲトゲした形のパターンです。
この時も発生点から周りに広がっているように作画します。エフェクト作画は一見複雑に見えますが、現象としては単純で、どこから発生しているか明確にしておけば、難しくはありません。
発生点が不明瞭なエフェクトだと、動きに規則性が見られず、本来のエネルギーを視聴者に伝えることができません。

次のパターンは拳の進む方向とは逆方向のエフェクトです。
風の中を突き進むような力強さを感じれます。また拳の周りのエフェクトは、風エフェクトでも良いし、オーラのようなエフェクトにも使えます。
この時のエフェクトも、しっかり矢印の方向に動いて見えるように送る作画をしてください。


エフェクト作画は紙の上に現象を作り上げる作業です。現象には必ず発生点、発生する原因となる事が起こり、そこに新たな力、動きが生まれ、そしてその動きには明確な方向が存在するのです。
かっこいい形や動きを作ることに気を取られて、エフェクト本来の意味を見失ってしまうと、エフェクトを発生させた動きそのものを弱く見せてしまうことになります。気を付けましょう。

最後にエフェクトの形の注意点と、少し別のエフェクトと注意点を紹介します。


失敗例

これは形がずんぐりむっくりでかっこよくない形の例です。
エフェクトは形がまるまってしまったり短くなってしまったりするより、スラッと抑揚のある細さに長く尾を引くような形が美しいことが多いです。
またエフェクトのシルエットをギザギザさせる場合、これも発生点と動きのベクトルを見失わないようにしてください。

瓦礫

瓦礫や砕けた岩の作画もアクションシーンには付き物です。この時の注意点は、散らばった岩などで空間を作っているという事です。
カメラに近い岩や登場人物の奥に飛んで行った岩などで、奥行きのある空間を作り出しているのがこの砕けた岩なのです。
なので岩の数がとても少なかったり、カメラに近いのか遠いのかが分からないような作画では、効果がなくなってしまいます。
上手いアニメーターの作画をよく観察してみましょう。すごく空間を感じると思います。

背景動画

最後は背景動画です。
これの注意点はしっかりと作画で送れているかという点です。
しっかりと動いて見えないといけないので、動いているか見えるように表面のディテールをしっかり描くことが大事になります。
この作画は「とても大変な作業」ということをしっかりと認識してください。なのでディテールをケチってしまうとまるで意味がなくなってしまいます。またどうせ作画をするのであれば、キャラクターの影が落ちていたり、アクションでその背景動画に影響をあたえたり(地面が割れたり、崩れたりなど)画面全体の一体感が強まるようなアニメーションを考えるとより効果的だと思います。

エフェクト作画で大事なのは「発生点」と動きの「ベクトル」をしっかりと守る事です。それを守って面白い新しい発想のエフェクトなんかを考えてみてください。

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