「狂乱廿四孝/双蝶闇草子」
birdfilm増田達彦さん(birdfilm|note)に教えていただいた北森鴻氏のお話を最近読んでいる。
すすめられたお話もあるのだけれど、初めに読んだのはタイトルが気にいった『花の下にて春死なむ』で、読み始めは難しそうかなと思ったものの、だんだん面白くなって、読むのが遅い私にしては結構早く読みきった気がする。
さて次は、と考えている所にハッとする名前が出てきた。
「河竹黙阿弥」だ。
そもそも私は歌舞伎のことはよく知らない。
でもこの名前だけは知っていた。
しかも歌舞伎とは全く関係なく、黙阿弥という名に惹かれたのがきっかけという知り方で、今でも歌舞伎のことはよく判っていない。
ただこの名に妙に惹かれて、勝手に好きになっていた。
恐れ多くて大きな声では言えないが、私の頭の中ではすでに「河竹のおじさん」として存在していた。
それが、北森鴻氏のお話の説明文の中に出てきたのだ。
そうなると、勝手に運命を感じる。
となると、読むしかない。
という事で、次に手に取ったのが
『狂乱廿四孝/双蝶闇草子』(創元推理文庫)だ。
(『狂乱廿四孝』だけのものもあったけれど、ついお得感につられて二編収められているこちらを選んだ)
白状すると、このタイトルまともに読めなかった。
普通に読める人の方が多いと思うけれど、自分のために書くと、
きょうらんにじゅうしこう/ふたつちょうやみぞうし
と、読みます。
地名にもある漢字なのに恥ずかしい。
そしてさっそく読み始めると、タイトルからして難しそうだし、歌舞伎のこと知らんし、読み切るまでにどれだけかかるだろうかという不安はすぐに吹っ飛んだ。
読み始めてすぐに面白かった。
読みやすくてすいすい進む。
私は登場人物の誰かを好きになれないと、その本を好きになれなかったりするのだけど、この本の中には主人公以外にもたくさん好きになれる人が出てきた。
その中でも「私は特にこの人が好き!!」という人が出てくると、さらに好きな本になっていく。
しかし『狂乱廿四孝』の中では、元同心、市中見回りの水無瀬源三郎さんと、戯作者の仮名垣魯文さんの二人の間で私の心は揺れている。
別に小説の中の事なんだから、二人でも三人でも勝手に好きになれという話だが、なんだか浮気してるみたいで気が引けるではないか。
でも、腕の立つ源三郎さんと、悪声だけど男前の魯文さん。
難しい。
難しいけど、多分実際に目の前に二人がいたら、きっと源三郎さんかなあ。。。
そんな乙女心は置いといて、『双蝶闇草子』だ。
これも面白かった。
面白いのだけど、実に残念なことに未完のままだ。
こんなに口惜しい思いをするなら、初めから『双蝶闇草子』のページは開かない方が良いかも知れない。
でもこれは『狂乱廿四孝』の続編なので、やはり読むしかないのだ。
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