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第1回さいたま市北区子どもの居場所・遊び場づくり勉強(ZOOM)会レポート

 2024年4月18日(木)10時~、第1回さいたま市北区の子どもの遊び場・居場所づくり勉強会(ZOOM)を開催しました。那覇市で放課後子ども教室の実践をされている比嘉さん、さいたま市北区の相川さんと西出の3人で「放課後子ども教室」をテーマに学びあいました。

1.第1回のテーマ:「放課後子ども教室事業」について

 まず、「放課後子ども教室」とは、何なのでしょうか。
 平成19年3月から始まった「放課後子どもプラン」(文部科学省・厚生労働省・児童家庭局連盟)の中のひとつの事業です。

「放課後子ども教室」の趣旨・目的

すべての子どもを対象として、安全・安心な子どもの居場所を設け、 地域の方々の参画を得て、学習やスポーツ・文化活動、地域住民との交流活動等の取組を推進

文部科学省「放課後児童クラブと放課後子ども教室について」PDF資料↓より

文部科学省「放課後児童クラブと放課後子ども教室について」↓

文部科学省「放課後子ども教室の概要」資料↓

 ここから↓は、本日(4月18日)、ZOOMで飛び交った話題の一部を公開します。

2.さいたま市と那覇市では、「放課後子ども教室事業」の成り立ちが違う!?


 比嘉さんの体感で、那覇市では、地域のおじいちゃん・おばあちゃんがやりたいこと(琉球舞踊、エイサーなど)がまずあって、そこに行政のサポートが入るイメージです。学習支援はあまりないです。すべて無料(会場使用料・講師料などは支払う必要がない)で、保険料のみ受益者負担です。講師料はありますが、収益を上げるイメージはない事業となっています。いろんな学校の子どもたちが来て良いシステムで、対象は小学生~中学生です。

3.さいたま市議会での「放課後子ども教室事業」についての議論過程

 横浜市や世田谷区等の都市部でも「放課後子ども教室事業」の前例がある中、2023年2月にさいたま市長の発案で、さいたま市でも「放課後子ども教室事業」がスタートする話が出始め、2024年度から、実際に市内4校でスタートすることになりました。

4.「子どもたちの居場所を作る必要がある」という方向性は間違っていない

 放課後児童クラブ(通称学童)は、保護者が働いているかどうか、などの条件があります。ただ、実際は、保護者が働いていなかったとしても、家で子どもがひとりぼっちになっていたり、友達の家を転々としていたり、居場所がない子どもたちの存在があることは確かで、「居場所づくりをする必要がある」ということ自体は、間違っていないのではないかと思います。居場所って色々あっていいと思います。

5.最終的に「子どもたちに聴いたらどうですか?」

 大人たちがやっている「子どもの居場所」に関する議論を、子どもたちに聴いてみたらよいのではないかと思います。困ったら、子どもたちに聴くのが一番です。子ども抜きで子どもの話をしてしまっている現状があります。もちろん、実現できることとできないことはありますが、子どもたちと一緒に作り上げた事業という形になり、大人だけで決めてないよ、という形にしたほうが、楽しそうじゃないですか。

6.さいたま市における、住民の「やりたいこと」と行政の「サポート」のマッチングの状況は?


 さいたま市にも、いろいろな特技をもった大人がいるはずです。「放課後子ども教室事業」はさいたま市民に認知されているのでしょうか。住民が企画してやってみる、あとはさいたま市が許可する、だけでいいと思います。住民の中に、「本当はやりたいこと」があるかもしれないので、「聴く」姿勢、がやはりここでも大事なのかもしれないです。住民と住民、住民と行政、お互いを知る、ということが大事な気がします。 
 さいたま市のコミュニティ・スクールの運営会議に子どもが入っている例もあります。

7.ルールは、みんなのためのもの、新しく作ってもいいもの


 「ルールだからね」と言いたくないけれど、つい言ってしまうことがあります。子どもたちのほうがもっと良いアイディアをもっているかもしれないのに・・・。ルール作りの当事者に子どもたちを入れる、ということが大事ですね。みんなが安心していられるために共通のルールというものが必要だけど、そこから逸脱したい子どももいる。ルール作りに子どもたちを当事者として参画させる、ということは大事なことのように思います。 
 比嘉さんが働いている児童クラブでの、比嘉さんの働きかけにおける決まりごとは3つくらいです。
・自分でなんでもやってみましょう
が原則で、
・危ない行為
・仲間を馬鹿にする行為
に関しては叱ります。
 ルールを事細かに定めないようにしたほうがよいと思います。ルールを沢山作ると、ちょっと心配なことがあるんです。自分で判断できなくなってしまうかもしれない、と思います。

8.未来志向で

 「子供たちうるせーんじゃー」という大人をどう減らしていくかが重要です。子どもたちは未来の有権者なんです。そういう意味でも「放課後子どもプラン」は大事です。
 小さな子供たちを育てる人たちって地位が低いですよね。大学の先生が1番偉いという社会の風潮がありますね。

9.「知る」ことの大切さ

 自分の住んでいる「地域社会」の中に、どんな人がいて、どんな特技をもっていて、ということを知っていくことが大切だと思いました。一方で、いろんな他地域から学んでいくことも大切ですね。

10.家族以外の大人と関わる意味

 沖縄は1人親家庭が多いこともあり、放課後子ども教室の広がりの後押しとなったのかもしれないです。1人親家庭ではなかったとしても、家庭の中に問題を抱えていることもあります。家族以外の大人と関わる機会があることは意味があると思います。同世代だとどうしても比較してしまってピリピリしてしまうけど、いろいろな世代が混在していたら、上下関係ではなく尊敬しあう関係性になるような気がします。スポーツの世界で、やたらと世代別でやろうとするのは、「遊び」じゃないから(「競技」的な要素が強いから)ではないでしょうか。ボーリングやカラオケのことを考えてみてください。世代別に分けたりしないですよね。

11.まとめ

 那覇市で放課後子ども教室活動に実際に関わっている比嘉さんをお迎えして、第1回さいたま市北区の子どもの遊び場・居場所づくり勉強(ZOOM)会を無事開催することができました。
 那覇市とさいたま市だと地域性が全く違いますが、それでも、お互いに学びあうことができました。地域社会にどんな人がいるの?ということをシンプルに知っていくことの大切さ、そしてそのためには、「聴く」姿勢が大事なんだなということを痛感しました。他者を、地域社会を、聴いて、知って、そこで初めて、「何ができる?」という議論が始まるのだと思います。何ができるかが見えてきたら、行政に提案することもできるし、行政が提示してくる案に賛成したり反対することができるのだと思います。
 子どもたちを取り巻く環境についても、子どもたち自身に聴く、ということがやはり大切。そして、みんなが楽しめる環境を作っていくうえで、ルールが必要であれば、ルール作りの当事者の中に入ってもらうようにすることも大切。
 麻痺しているレベルで、上位下達のコミュニケーションが浸透してしまっている日本社会の中で、対等で、フラットな、「対話」文化を定着させていくことは、一朝一夕でできることではありませんが、地道に取り組んでいくことが一番の近道だと思います。
 もっともっと、「聴く」、「知ろうとする」、そこから、やっと「何が生かせるかな?」という発想が生まれる。そういうシンプルなことを改めて確認する機会となりました。 
 

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