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育児中のイラストレーターが、泣きながらファミサポを頼んだ話

なんでこんなにも割り切れなかったのか、自分でもわからない。
今でもちょっと、葛藤している。
でも、よかったか悪かったかで言ったら
よかったでしかない。


先日、始めて「ファミサポさん(正確には別団体…"緊急サポートネットワーク"の支援)」をお願いした。

ファミリーサポートは、子育てをサポートしてもらいたい人(依頼会員)の状況を行政のコーディネーターが聞き取り、条件に見合った地域の会員(提供会員)を紹介するという制度です。 保育園や幼稚園の送迎の他、保育施設の時間外や学校の放課後に子どもを預かったり、保護者の急用時に子どもを預かってもらうことができます。


実に、登録してから1年が経っていた。

まさかの1年前のpost


イラストレーターとして起業して8年、起業したのは長女がまだ1歳の頃だった。

それから

起業3年目で次女を出産
産休や、次女の保育園待機期間
コロナで保育園が休園
全国出張でやるはずだった仕事が白紙
家を買って引っ越しに伴う保活と転園
長女の「小1の壁」
習い事ジプシー
学童入れるか入れないかの葛藤


いろんな波に呑まれながらここまできた。

仕事できたようなできなかったような次女産後の仕事場(?)

現在、長女が小3、次女も年中さんになって
学童と保育園のお世話になり
身体もだいぶ丈夫になり
この8年間で、一番楽な状態だと思う。

それなのに、なんだかすごく、育児と仕事の両立が大変に感じるようになってしまった。

仕事が成長・拡大したからだ。

いろんなことを乗り越えて
やっと「仕事に力を注げる割合」が増えてきたのだ。


こどもたちが帰ってくる17時を過ぎても全然仕事が終わらない。
本当は土日も仕事部屋にこもりたいくらい。

加えて、次女がついに慢性的な喘息と診断されてしまった。
喘息持ちの子は、風邪をひくと普通の子より1週間ほど長く
「念のため」保育園を休まないといけない……
風邪の菌は持っていなくても、咳き込んで吐いてしまうのだ。

これが本当にきつかった。
勤め人の夫にホイホイ仕事を休んでもらうわけにもいかないし
実家・義実家は頼れない。
限界がきて、昨年の5月

社会福祉協議会がやっている「ファミサポ(10日前から予約が必要、病児の預かりは不可)」と

今回お願いした「緊急サポートネットワーク(当日の申込、コロナ以外は病児対応も可能)」に登録した。

節約好きの夫には「1時間1000円もかかるの!?」といい顔をされなかったが、私だって、子どもの保育園と学校のこと全て、そして体調不良の対応のほとんどに対応しながら、〆切を守っていかなければいけないのだ。
「しゃおりにも稼いでもらわなきゃ」というならば、私に仕事をするための保険くらい持たせてくれ、という気持ちだった。
(ちょっとこれは書いてて腹立ってきた)

そんな保険を手に入れてから1年間。


一度もサポートをお願いする電話をかけることができなかった。

葛藤の日々

それから
次女が喘息で念の為に休む日も
子どもたちが帰ってきてからも仕事部屋に篭もる日もたくさんあった。
それでも、ズルズルと頼めずにいた。

仕事する時には、switchとYouTubeを何時間でも与えて子どもたちを放置していた。
大きくなって、物を誤飲したり、高いところから落ちて怪我をしたり、という心配のなくなった子どもたちは、メディアさえ与えておけば、大人しく待っていてくれる。

でも、毎回毎回、すごい罪悪感だった。
いくらでも遊んで欲しいと思っている、子どもを放置していること。
こんなに画面を見せ続けて目や脳は大丈夫なのかということ。

それでもなんとなく
「今日はまだお願いしなくて大丈夫」
と、やり過ごしてきた。

最初の電話をかけるハードルがすごく高かった。

まず、電話がめっちゃ苦手なのがひとつ笑


ふたつめが、今まで、長女の産後に家事代行を一回、自分がマッサージを受けるサロンで託児を一回頼んだことがあるのだけど、どちらも嫌な思いをしていたこと。

家事代行では「こういうサービスって、主に独身で仕事が忙しい人が使うんですよね」と言われた。(いや嘘だろ、、、)

託児では、号泣してしまった0歳の長女が心配でオロオロしてその場を離れられずにいたら「お母さんの覚悟が足りない!」と怒られた。

また、知らない人が家に来て、覚悟が足りないとか、「あなたはそんなに大変じゃない」とか言われたら、と思うと…。


そして「子どもを当たり前のように預けて仕事を優先する」というのが怖かった。

会社を立ち上げたり、数千万の売り上げを上げているような女性起業家さんたち。
彼女たちの中にも、私と同じくらいか、時にもっと小さなお子さんを育てている人が多数いる。

みなさん、ベビーシッターを活用したり、お子さんが大きい人は、子どもを置いて(旦那さんや実家に預けて)出張に飛び回ったりしている。
そして、口を揃えて
「子育ては、一緒にいる時間の長さじゃない」
と言う。

正直、そうやって子どもといる時間をどんどん減らしてどこかに飛んでいってしまうことが怖い、嫌だ、と感じていた。
子育てを「外注」することは
その第一歩なのではないかと思うと
自分がそうまでしてもっともっと仕事をしたいのか
それで家族は大丈夫なのか
親戚でもない人にお金で育児をお願いするのは
母親としてどうなのか…
色々考えてしまい、方向性も決められず、怖かった。

そのズルズル決められなかった結果が、その場しのぎのYouTubeというわけだ。

「朝活ノート会」という存在

そこまでウダウダしていた私が、いよいよファミサポさんをお願いしてみようと思ったのは
仕事仲間と一緒に半年前から主催している「朝活ノート会」という企画のおかげだった。(私は参加者じゃなくて主催者なのだけど…)

毎月同じメンバーでzoomしています

月に1回、zoomで集まって、ノートワークしたり、話したり。
「後回しにしてしまったけど大切なこと」に向き合って、実際に行動して、その結果を報告し合おう!という会。

この会が、本当にすごく良くて。
メンバーさんたちが「目指す自分」はさまざま。

仕事があまりにも忙し過ぎて生活がぐちゃぐちゃなので、整えながら進みたい、という人。

ずっと後回しにしてしまった家計の整理をしたり、休むのが苦手なのを克服するために、ノート会で月に一回強制的に時間を取ろう!と決めた人。

専業主婦と育児の期間が長かったけど、起業したい!仕事するぞ!と頑張る気持ちで参加した人など。

そんなみんなが「やるべきことを頑張る」のではなくて「自分を大切にするための選択」をするためにこの場を使ってくれたのが、とても素敵だった。

家事ができない自分にすごくコンプレックスを持っていたことに気づいて手放せた。ノート会でみんなに背中を押されて、お片づけサービスの人にお願いすることができた人。

ずっと避けてきた家計の棚卸しをしてフィナンシャルプランナーさんに相談予約をして、ノート会のみんなに相談しながら、自分が無理なくできる家計管理をはじめた人。

女手一つで育児しながらフリーで仕事をしてきて、いよいよ事務作業が回らなくなった。「自分だからできること」に集中するため、なかなか決めることができなかった事務代行を、ノート会メンバーの紹介で依頼してみた人。

何かを始めたい、何者かになりたいと自分ではない状態になって無理していたことに、ノート会の期間で気づき、それを手放した。「元の自分に戻った」ようだけど違う、自分らしい状態でできることをしようと心新たにできた人。

私以外のみんなが、どんどん自分を大切にして変わっていくようだった。

私はというと、この半年で「仕事でやるべきこと」はほとんど全部できた。
後回しにしてきたチーム作業や自分のことも進めて
絶対に無理だと思っていた売り上げの目標も達成できた。

そんな中で、「育児を人に頼る」と書いたことだけができずに残っていた。

仕事は頑張ればできるけど

育児は何をもって正解なのかわからなさすぎて
怖い。

怖くて何も選べなかった。

でも、そんな時、ノート会メンバーのひとりの子とプライベートで会って
私の葛藤を話した時に

「私の息子は脳の発達に遅れがあって、生きづらさがあって、今リハビリに通ってる。
今までの子育ても精一杯やってきたし、後悔はない。
でも、リハビリに連れて行って、思ったより状態が悪かった時に、やっぱり反省はしたんだよね。動画とゲームとテレビに頼り過ぎていたことも、この子の発達を遅らせてしまったのかもしれないって。」


(医学的根拠で書いているわけではなく、他のお母さんを不安にさせたいわけではありません!)

こういう悩みを聞いた時って「大丈夫だよ、子どもはそれでもちゃんと育つから!」「精一杯やってるじゃん!」って
気休めみたいなことを言ってしまいがち。
彼女が、気休めではなくて「私もちょっと反省してる」って言ってくれたのが、グッときた。

この話をした後のノート会でみんなに話したときに

「子育てでは"外注"って言葉にしなくていいよ!」
「みんなに愛をもらって育てればいいよ!」
「いっぱい頼ろう!」

と言ってもらって、その日に緊急サポートに電話をした。

いざ、電話

本当に電話はドキドキするから苦手だ。オタクの性(さが)だ。

1年、見えるところに置いたまま放置した「緊急サポートネットワーク」の携帯番号に電話した。

私の住んでいる千歳市の「緊急サポートネットワーク」「NPO法人 北海道子育て支援ワーカーズ」という団体に委託されていて、札幌の事務所に繋がるようになっている。
なので、電話して最初に出てくれるのは、支援に来てくれるサポーターさん(一般の人で、研修を受けてサポーター登録をしている人たち。子育てひと段落した世代が多い)ではなくて、NPOのスタッフさんだ。

電話して、会員番号と名前を伝えたら、あとは向こうがスラスラと聞き取りしてくれる。
「支援の申込みですか?」
「今日ですか?明日ですか?」
「元気ですか?病気ですか?」
「何時からを希望されますか?」
「サポーターさんのお家か、自宅での支援かどちらですか?」

など。全て向こうが質問してくれて、それに答えていくだけで申し込みが完了する。
お願いする日は、長女も次女も家にいる予定だったが
「長女ちゃんは8歳で、主に手がかかるのは次女ちゃんだけだから」
という理由で、支援対象を次女のみにする提案もしてくれて、支援の料金も安く済むようにしてくれた。

「在宅なので、動画を見せていれば、仕事できるんです。でも、ずっとYouTube見せるのが嫌になってしまって、そんな理由でも支援をお願いできますか?」

そう伝えたら、スタッフさんが

「大丈夫ですよ!せっかく来てくれるから、動画じゃない遊びをたくさんしてもらいましょう!遊びたいおもちゃを娘さんと選んでおいてくださいね。」

と言ってくれた。
「これから"明日行けるサポーターさん"を探します。夜になるかもしれませんが、必ず連絡するので待っていてくださいね」
と言われて、申し込みの電話が終わった。

「大丈夫ですよ!」と言われていたあたりから声が詰まってしまっていたけど、電話を切って、涙がポロポロこぼれた。


わかってた。
私は時間が欲しかったんじゃない。
育児を安心して頼れる人が欲しかったんだ。

情緒不安定マックスの当日

その日の私は朝からソワソワしていた。

午前中に姉妹の通院予定を詰め込んだため、学校と保育園を休ませた日。
その日の午後から3時間、支援に入ってもらうということで申し込んでいた。

喘息などでの緊急のお願いではない、今後気軽に頼むための練習のつもりの支援申し込み。

結構遠くからサポーターさんが来るのかな?と思っていたら、徒歩10分以内に登録している人が住んでいたらしい。
「近所なので、歩いていきますね!」と電話が来た。

午前中が結構なタイトスケジュールで、予定外のことも色々起きたりして、私はずっとピリピリしていて、子どもたちにもちょっと冷たく当たってしまっていた。
こういう日ってやることなすこと上手くいかなくて、保育園や病院とのすれ違いが続いて泣いたりもした。

病院のハシゴと昼ごはんが終わった頃にはクタクタのフラフラで、このまま支援者さんを迎えられるかも怪しい体調だった(私が)。

一応トイレを掃除して、ある程度部屋を片付けた頃、サポーターさんが到着。
50代くらいの品のある、優しそうな女性だった。
支援に必要な情報を引き継いでから仕事部屋に篭る予定で色々話すのだけど
私はやっぱり緊張と疲れでピリピリ。。。
長女は支援対象に入っていなかったので、児童館に遊びに行ってもらおうと伝えてみるも、長女は「行きたくない」と泣いて部屋にこもってしまった、、、

どうしよう、、仕事どころじゃない…。。。

そう思いながらも、長女をどうすることもできないまま、次女をお願いして仕事部屋にこもってみた。
とてもじゃないが、漫画のネームなど、多大な集中力を要する仕事はできそうになかったので、作業的な仕事から進めてみようと切り替える。
いい感じに集中できてきた頃、仕事部屋をノックして長女が顔を出した

「本当は、私もサポーターさんと遊びたかったの。。。」

と。
事前の電話で支援対象は次女だけにする、と言ったので
ご迷惑かな、と思いつつサポーターさんに聞いてみたら
「お姉ちゃんも一緒にいて全然いいですよ!」とのことだった。
(支援対象じゃない=怪我などした時に保険が効かないということらしい)
ほどなくして、姉妹とサポーターさんの楽しそうな声が聞こえてきた。

それで、やっとホッとして仕事に集中できた。
YouTube見せている時とは全然違う。
罪悪感がない…!
そして、3時間(仕事できたのは実質2時間)というタイムリミットがあったし、ちょこちょこリビングに行くこともできないので、1人の時より集中できるまであった。

時々、姉妹が部屋をノックして、サポーターさんと作った工作を見せにくる。可愛い。
いつもなら、部屋に入ってきても「ママ仕事中だからね!」とピリピリしてしまうけど、穏やかな気持ちで「よかったね、楽しいね」と答えることができた。

いろんな工作の材料を持ってきてくださった

気づけばあっという間に支援の時間が終了。
その場でアンケートを書いたりして、料金をお支払いして(この日は3000円!)支援終了となる。
アンケートを書きながら、サポーターさんも今日が初めての支援に入る日だったのだと聞いた。

工作と話し方でやっぱり!と思ったけど、元保育士さんだった。

「元気でいい子たちで私もホッとしちゃいました!」

と言っていて、お互い緊張していたんだなぁと思った。

子どもたちは、サポーターさんの名前を何度も呼んで
「また来てね!」と言っていた。
3時間たっぷり遊んでもらった次女は
とっても満たされた顔をしていた。

帰ってからも、同じ工作や遊びがしたい!と言われっぱなしで
ちょっと大変だったけど
「ママ仕事だから、あとでね!」と言わないで
一緒に遊ぶ気持ちになれた。

不思議なんだけど、サポーターさんに来てもらうことで
子どもと遊ぶことを人にお願いしようと思っていたのに
自分に、子どもたちと遊んだり向き合ったりする余裕ができた。

「もっと仕事したい」と思ってお願いしたのに
「もう少し一緒に遊んであげよう」という気持ちになった。

ひとりじゃない、って安心できたのかもしれない。
自分が疲れてしまったら、頼れる人がいる。
だから頑張れる。仕事も育児も。

またお願いしよう。
自分がごきげんで、こどもたちが満たされるために。

ぜひ利用してほしい

私ほどウダウダ悩む人も珍しいと思うんだけど笑
もし、こういったサービスの利用を迷っているママがいたら
ぜひ利用してほしい。

特に、ひとりで頑張ってピリピリしちゃって
罪悪感を感じてしまうママには…

友達に頼るという手もあるけど、友達ってどうしても同じ子育て世代で、同じくらい忙しいから、助け合いたいけど、共倒れしちゃったり、申し訳なさが勝ったりしてしまう。もちろん、助け合える友達がいるのは本当にありがたいんだけど!

実家、義実家が近くて頼れるという人ばかりじゃないと思う。近くても頼りにくい、精神的負担のある人もいるだろう。

もし夫がイクメンだ!と言っても、夫では頼れないこと、伝わらないことというものがある笑 夫では埋まらないものが笑

そんな時、ちゃんとお金を払って、いい意味で他人にお願いできる、というのは一番精神的な負担が少ない。(私は電話のハードルが高かったけど)

この「ひとりで頑張らなくていいんだ」というホッとする気持ち、なんぼあってもいいと思いました…

利用に踏み切るまでに、SNSで、リアルで背中を押してくださった方、本当にありがとうございました。ほんとウジウジ野郎ですみません。

もう、特に矢野さんには1年前から声かけていただいていた


さぁ、また一つ小さなハードルを超えましたので
ますますお仕事頑張っていこうと思います。

長女には「飛行機乗って旅行行きたい!ママ仕事頑張って稼いで!」って言われてるんだよね(^◇^;)

先人たちが言っているように
子どもといる時間の長さで何かがはかれることはなく、

ママがごきげんでいられるのがきっといちばんだ。




そんなしゃおりさんはこんな仕事をしています。


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