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【スピリチュアル】私たちは高次の存在なのかもしれないというお話(後編)

【前編↓】


私たちはいったい何者なのでしょうか。

全知全能の存在を神様と定義するなら、神様には何の願望も無いことになります。そして願望が無い存在とは、三次元物質世界に来る前の私たちのことです。

私たちは神様なのでしょうか。

もしそうであれば、たまたま人事異動でうっかりこの三次元物質世界に異動してきてしまったのだとしても、私たちのベースに刻まれている「当たり前」は、「愛」も「幸福」も「豊かさ」も、要するに私たちが望むすべてを既に手に入れた状態ということです。

「願望」とはいったい何物なのでしょうか。

私たちはお金を手にすると喜びます。誰かに優しくされると嬉しくなります。ですが手にした時の喜びを味わう為にお金を捨ててしまう人はいませんし、優しくされる喜びを味わう為に全員から嫌われようと努力する人もいません。

脱いだ時の解放感を味わう為にわざわざキツい靴を履く人もいませんし、新鮮な空気を吸える喜びを噛み締める為にわざわざ自分を密閉空間に閉じ込める人もいません。

もしかしたらこの三次元物質世界で起きるすべての出来事は、自動的に元の当たり前とかけ離れていくようプログラムされているのかもしれません。そしてその間に生じる違和感を認識させ、そして感謝するプロセスを教えてくれているのかもしれません。そう考えると、この世界を「魂の成長の場」と定義する理屈にも合点がいくような気がします。

ではその上で、「願望実現」とはいったい何なのでしょうか。便宜上私は「引き寄せの法則」という言葉を使いますが、その思考を辿っていくと、どうやら「引き寄せる」というイメージとは齟齬が生じているようなのです。

むしろ、「元の当たり前に戻っていく」と定義した方が、遥かにすんなり腑に落ちるのです。そして元の当たり前、つまり神様だった頃の「当たり前」を「ポジティブ」と定義し、そうではない状態を「ネガティブ」と定義して、その間に生じる違和感を埋めていく作業、つまり元の状態に修復する作業のことを「願望実現」と呼んだ方が、あらゆる事象に説明を与えやすいのです。


もう一つ不思議なことがあります。

仮にこの三次元物質世界から卒業できればすべてが満たされた世界に戻れるのだとしても、どういったわけかこの世界で発生する元の当たり前との不調和を、まだまだ楽しんでいたいような気がしてくるのです。

それは理屈などではなく、それこそがこの三次元物質世界に於ける最高の娯楽であるという、そんな確信めいたものが心のどこかに居座って、ことあるごとに私をここに引き留めようとひょっこり顔を出してくるのです。

「まだ生きていたい」という気持ちは、子どもが公園から帰りたがらないのと一緒で、ただ単に楽しいからそこでまだ遊んでいたいと感じる、そういった気持ちと何ら変わることはないのかもしれません。

死生観は人それぞれです。人にそれを強要するのは愚かなことだとも思います。

ですからこれは本当に私の妄想でしかないのですが、もし、いずれ必ず神様に戻れるとするなら、では食後の充足感を味わう為だけに、空腹ではない元の状態に戻るためだけに、大急ぎでディナーを胃袋に詰め込んでいくような生き方は、少し勿体ないのではないでしょうか。

どうせいずれはすべてが満たされた世界に帰っていくわけです。

であれば、今目の前に置かれたディナーをゆっくりと楽しみながら、満腹になった時に「メインディッシュは肉の方が良かったな」とか「でもデザートは最高だったな」とかあれこれ懐かしさに浸りながら、「まぁでも楽しかったな。じゃあそろそろ行くか」とか言って、笑顔で帰っていきたいと、私はそう思っているわけでございます。


「スピリチュアル」という言葉に対する印象は千差万別かと思います。

そしてそこに存在する方法論もまた多岐に渡って、むしろ「絶対的な法則」みたいなものが見つかってくれればようやくこの議論も終焉を迎えてくれるわけで、そうすれば誰しもが幸せになれる本当の理想郷が訪れるのかもしれません。

ですがその絶対的な法則とやらがすべてを満たしてしまったら、ではこの世界の存在意義はいったい何になってしまうのでしょうか。

もしかしたら今回のテーマは、「引き寄せの法則」「ベルトコンベア理論」「メンタルブロック」「潜在意識」など、あらゆる方法論を根底から否定してしまうような話だったかもしれません。

ですが一方で、「こうすればいいかもしれない」という閃きに対して「これはうまくいった」「これはうまくいかなかった」みたいな一喜一憂を繰り返し、要するに「どうすれば幸せになれるか」もしくは「どうしたら元の当たり前に戻れるか」というプロセスこそが生み出し得る発見の鋭い喜びだけは、どうしたって誰にも否定することはできないと、それだけは真実として抱き続けていたいのです。

どうせいずれはすべてが満たされた世界に帰っていくわけです。

では最後にもう一つだけ、私の妄想をお伝えして、本記事の結びとさせていただこうと思います。


私も例外ではなく、いつかはあちらの世界に帰っていくわけです。そこはすべてが満たされた、何の願望も発生し得ない世界なのかもしれません。ですがもし許されるのであれば、その世界に一つだけ、とある願望を持って行かせてはいただけませんでしょうか。

人事部長に命令されたわけでもないのに、勝手に何度も何度も出張に行ってしまうような、そんな厄介者でいさせていただけましたなら、甚だ幸いでございます。

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