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経営本のスゝメ 9.

この話の最後に、一部ではあるけれどお薦めの経営本を改めてご紹介しておく。

ビジョナリーカンパニー 
ジェームズ・C・コリンズ
稲盛和夫の実学 経営と会計 
稲盛和夫 
生き方 
稲盛和夫
おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ 
正垣泰彦 
『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』※追加しました
正垣 泰彦
サイゼリヤ革命 世界中どこにもない“本物”のレストランチェーン誕生秘話 
山口芳生
はじめの一歩を踏み出そう 
マイケル・E・ガーバー  
コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった
マルク・レビンソン

ぼくがやっていた店の新宿時代、若いのに知識や技術がとても高く、頭もいい人なのに惜しいなぁ、と感じるスタッフがいた。
そのスタッフに「是非、これを読んでみて」と、プレゼントしたのが「はじめの一歩を踏み出そう」だった。
小規模で経営をされている人にとっては、とても素晴らしい名著の一冊だと思う。

「コンテナ物語 」は、以前にビル・ゲイツさんがお薦めされていたもの。
これもめちゃくちゃ面白い。
「技術革新」と見聞きすれば、ともするとテック企業やその最新技術に目が向きがちになるけれど、規格化された「ただの箱」であるコンテナが物流を変え、世界経済を変えたという、まさに目からウロコがポロポロと落ちる大発明のお話。
視点を変えればモノの見方が変わる、という教訓であり、これぞイノベーション。
推薦しているのが象徴的なテック企業を創ったビル・ゲイツさんというのが、また面白い。


しかし、気をつけてほしい点もあるので補足しておく。

この国は今、約30年間も続いたデフレから抜け出そうとしている真っ只中にある。
若い人からすれば、物心ついてから今日まで当たり前だったものがそうでなくなるほど、世の中が大きな変化に直面しているということでもある。
まだこの先どうなるかわからないけれど、今の止まらない物価高を鑑みれば、それは貨幣価値さえ変わるほどのことであると否が応にも実感させられる。

こちらで紹介した本は、いずれも日本が長いデフレの間に刊行されたものであり、中にはそういった時代背景を追い風に成長した企業もある。
そのため述べられていることが必ずしも今の時代に合うとも限らない。
この点は、注意しておく必要がある。

とはいえ、だからといってこれらの経営本が形骸化したともぼくは思っていない。
そこから汲み取るべきは手法やマニュアルでなく、やはり著者の視点や思考、普遍的な原理原則の部分なんだと思う。

ぼくは現役のとき、職人さんであれ経営者であれ、尊敬する人たちの言葉に耳を傾けてきた。
学ぶこと、感銘を受けること、敬うことはもちろんあったけれど、それでもすべてを鵜呑みにすることはなかった。
理由は、その人たちが活躍された時代背景と自分が現役でいる時代とにズレがあると感じていたからである。それらが違うのであれば、先人も違った方法や考え方をされたのではないか、ずっとそう思っていた。

昔正しいとされたことが、今も必ずしも正しいとは限らないことや過去の成功例を踏襲したところで現在の成功につながらないことがわかる。

ぼくがいま読んでいる本の中に、進化論で知られるイギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィンの名言とされる言葉が出てくる。

「最も強い者が生き残るのでなく、最も賢い者が残るのでもない。唯一生き残るのは変化する者である」

これも言った言っていない、正しい間違いだの諸説あるようだけれど、ぼくは進化論に興味があるわけでもなければ、言った言わないはどちらでもいい。
ただ、お店や事業をしていく上でこの言葉は的を得ていて良い言葉だなと思ったし、それが正しいというよりも大切なこと、本質に思えた。

経営にはルールはあっても、どんな時代でも成功するといった普遍的や絶対的な正解、経営術なんてものはおそらくない。

独立した元スタッフへの言葉と、経営のこと 2.

だからぼくは、尊敬する〇〇さんならこういったとき、どう考えられただろう、どうされるだろう、とよく考えた。

結局どれだけ名著を読んでも、どれほど有難い言葉を聞いても、最後は自分の頭で考え判断することが大切なんだと思う。
鵜呑みにするだけならそれもまた思考停止であり、無条件で他人へ依存するだけの信仰と何ら変わらない。



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