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美容師の働き方に起きたイノベーション

操作イトウです。

今回は「面貸し」と「業務委託」についてです。

これらは美容師の働き方の名称です。この働き方に切り替える美容師、美容室が、ここ数年で飛躍的に増えました。

どちらも会社に仕える「従業員」ではなく「個人事業主(フリーランス)」として仕事に就きます。仕事に応じた報酬を貰う、今までのような会社との主従関係ではない、対等な関係での仕事ができます。従業員の様に拘束時間に縛られることがなく、副業や家事、子育てや趣味などの時間を、その人の配分で用意することができます。

仕事とプライベートの両立という価値観の変化、それによる働き方の多様化、ここにきてのコロナ禍は、会社側が柔軟に変化する事を余儀なくされています。

「面貸し」とは

美容室の空いている席(業界では「セット面」と呼びます)をフリーランス美容師が1席借りて、自分が抱える顧客をやるスタイルです。

美容室側がセット“面” を “貸”すことから「面貸し」と呼ばれています。自分の顧客からの売上から美容室にロイヤリティを支払う形で、ロイヤリティの中に材料費なども含まれていることが多いです。美容室側からしても、空席のままのセット面は売上を上げられないのでwin-win。

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最近では面貸し専門の美容室も増えています。1席ごとにセパレートされた個室型の美容室が多く、美容師が席の空き状況と当てはまる時間に予約管理をするので、プライベートや副業などと併用しやすいのが特徴です。

「業務委託」とは

ざっくり言うと、お店を運営する会社側が『店舗にお客様を集客するから、いらっしゃったお客様をやってね』というスタイルです。

会社は店舗展開されていることが多く、個人店よりも大きな資金を使って、某クーポンサイトで積極的な集客をします。お客様が沢山来るお店を用意して、そこにフリーランス美容師が当てがわれる形です。

これは今までの『来たお客様を従業員として迎え入れる』美容室の運営とは異なります。営業時間内の従業員は、予約が無くお客様が来ない時間もお店に留まり、「拘束時間」の間は雑務をこなしたりしています。

ですが多くの業務委託の場合、フリーランス美容師は接客をすることを専門に雇われます。お客様に施術する以外の拘束はなく、予約の無い時間にお店に駐在する必要がありません。お客様を担当する時間以外は自由なのです。

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集客力の薄い個人店でお客様を待っているよりも、集客力がある業務委託の美容室に雇われる方が、沢山仕事ができるようになります。

給与面も、従業員の時の「基本給+歩合制」ではなく、仕事をした「お客様からの売上」に対する報酬になります。なので、今までと同じ仕事料でも手取りが多くなったり、限定された時間でも報酬が得ることができます。

背景は、ヘアスタイル写真の進化

90年代まで、美容室の集客はヘアカタログ雑誌への掲載にありました。雑誌に載る美容室は表参道、原宿の人気店が多く『うちのお店でしかできないヘアスタイル』を打ち出し、その写真を見たお客様が押し寄せる構図でした。

00年代になると、美容室は自社のホームページ上にヘアスタイル写真を載せるようになります。お客様は住んでいる地域をネット検索して、カッコいい写真を載せている美容室を選び取るようになりました。この頃に某クーポンサイトも始まっています。

10年代には徐々にスマホが普及し、より気軽に検索できるように。中でも、手軽な某クーポンサイトでの検索が当たり前になりました。

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この頃には、どの美容室のヘアスタイル写真もお洒落でカッコよくなり、お客様の選択肢も多くなりました。

一方で、美容室側は某クーポンサイトに掲載するにはロイヤリティがかかり、サイト内でもより上位に掲載されるためにはプラス料金が必要になるため、集客には資金力が必要になります。

そして、SNS時代の到来。

美容師は、毎日の営業で作っているヘアスタイル写真を載せるようになり、スマホでより手軽に、直ぐにSNSにアップできる。SNS上で直接連絡も取れるため、新たな集客の手段になっています。

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某クーポンサイトの普及とSNSの進化によって、美容室ごとの差別化は難しくなりました。集客は自分でも出来る。より集客力のあるお店で働きたい。すると、美容師は美容室に所属する必要性が薄れます。

なので、独立してフリーランスになる美容師が増えているのです。この点は某芸能事務所に相次ぐ、タレントの退所、独立に似ていますね。

フリーランスで働くデメリット

どの業界のフリーランスにも共通することですが、確定申告のための経理をする手間や、クレジットカードやローンの審査が通りにくかったりと、経済的な不安定さを覚悟する必要があります。

美容師は、職人気質で経営についてを勉強していない人も多いので、準備なしに始めて戸惑う方も多いようです。

美容界には大きなイノベーション

SNSでの発信はそれなりに労力の要る作業ですし、自分の美容師としての価値がハッキリと出ます。そのためフォロワー数やイイね!の数に現れる人気は、一極集中しがちです。

宣伝広告のための投稿はより派手に、より目立つ様に作るために、中には過剰に誇張した宣伝や、売り文句が出ているのも事実です。写真が当たり前に加工されている為、実際の見た目の印象が違うこともままあります。

ですが美容界にとっては大きなイノベーションです。お客様側には選択肢が溢れて難しくもありますが、最良の美容師さんに巡り会えればイイですね。


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ではまた。

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