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「投資に乗り遅れた」と言う人がいるけれど、むしろ飛び乗らなかったことを喜ぶべきだと思う

日経平均が順調に上昇していて、ここ最近、ニュースなんかで取り上げられることが多くなっています。
「何億稼いだ」みたいな人たちの話も出てきて、「それなら自分も」みたいな人も多いのではないかと思います。

新NISAが始まったのも重なって、今まで投資に興味を持っていなかった人すら、急に興味を持ち始め、ここ数ヶ月で、何人かの人に「投資ってやったほうがいいの?」と聞かれました。

投資をやっていることを公言している人は、たぶん同じ質問をたくさん受けていると思います。
思うに、投資はやったほうが良いと思うけど、今の波に乗って期待するような儲けを出すことは、ハッキリ言って期待しないほうがいいです。

日経平均が最高値というニュースを見て、「乗り遅れた」と思う人たちは、前提として、「やれば利益を出せる」と考えていますが、そこに抜けているのは、「損をする」という全く逆の未来が待ち受けている可能性です。

例えば、サッカーでも野球でも、プロと試合をして勝てると思う初心者はいないはずです。ところが投資になると、なぜか始めたばかりの人たちも、「勝てる」という前提でゲームに参加してしまいます。

それは投資の相手方が見えないからでありますが、例えば、誰かがある株を買うには、それを売ってくれる誰かが必要です。
あなたは買い時だと考えるから買うわけですが、その相手方は売り時だと考えているわけで、その相手方は、百戦錬磨の投資のプロの可能性もあるのです。

その根底にあるのは「投資は運」という考えかもしれませんが、投資の世界は、運だけで勝ち続けられるような世界ではありません。
ある株を買った時、その先の未来は上がるか下がるかの2択ですが、右肩上がりで資産を増やすためには、勝ち数の積み上げ、あるいは大きな利益の幅が必要であり、単なる幸運だけでは継続して勝ち続けることができません。

いま利益を増やせているのは、ずっと前から準備していた人たちです。テレビのニュースで美味しいと放送されてしまったレストランは、料理にありつくまでに時間がかかる、割に合わない選択肢なのです。もちろん、時間が有り余っている暇な人には良いかもしれませんが。

投資で勝ちたいなら、まずはプロになることが重要です。プロになるとはどういうことかというと、今起こっていることや、他の人の投資を見て、自分なりの意見を持てるということです。
投資初心者や、負けてばかりの人たちは、一つ一つの売買に根拠がなかったり、なんとなく上がりそうといったような感覚で売買したりしています。

例えば、短期間(数分〜数日)で売買しているのに、テクニカルチャートと呼ばれる、売買指標の読み方すら知らない人たちもいます。中長期間の売買をしているのに、決算書(貸借対照表など)の読み方すら知らない人たちもいます。
常識的に考えて、そういう人たちが勝つことは無理だと思います。

私自身、デイトレードに挑戦したこともありますが、こてんぱんに他のデイトレーダーにやられました。「上がってるから今だ!」と思って買うと、なぜか買った途端に下がり始めるのです。一度や二度ならまだしも、面白いように、自分の判断とは逆にいくのです。

「なぜそうなるのかがわからない」
この状況は、プロのカモになっている状況です。

一方で、中期的な動きなら、決算書やテクニカルチャートから、ある程度期待値の高い判断ができますし、他の人の売買について、指摘をすることもできます。もちろんまだまだ学ぶことは多いですが、デイトレードでの負けっぷりに比べたらマシです。

投資を始めたばかりの人、あるいは興味を持っているだけの人たちは、最初から勝てる、あるいは勝ちたいと考えます。損はしたくないと考えるのです。進んで損をしたいと思う人はいないはずなので、ごく自然な思考ですが、大事なことは、「まず勝つ」ではなく「まずプロになる」ことです。

結果という利益がついてくるのは、ずっとずっと後なのです。スポーツだって、例えばプロになるとしたら、まずお金を支払って練習して、お金をもらう側になれるのって、プロになった後のことだと思います。野球少年の練習にお金を支払う人はいないですよね。

それは仕事も同じです。義務教育を終えて最短で働く場合であっても、まず支払って学ぶ過程が存在します。投資も同じです。同じなのに、始めから自分は受け取る権利があると考えて、身の丈に合わない資金で売買したりして、「もう投資なんてたくさんだ!」となってしまったりするのです。

はじめにやるべきことは、少ない資金で売買して、経験を積み重ねることです。値動きの大きい企業の株を買えば、短期間で大きく稼ぐことができます。それこそ、少ない資金であっても、会社で働く日給分を数時間で稼ぐことができます。

でも初心者のうちは、利益が出るということのコインの裏面には、損する未来もあったことを常に頭の片隅に入れておく必要があります。

日経平均が上がることは良いことだし、新NISAで投資に興味を持つ人が増えるのは良いことだと思いますが、賢明な方であれば、「投資をすればすぐに生活が楽になる」みたいな、度を超えた希望は持たないほうが良いと思います。

そうじゃなくて、「今回は乗り遅れたけど、老後に3,000万円くらいになっていれば良いか」くらいの期待感で臨むのが現実的だと思います。大事なのは、まず勝つではなく、まずプロになることです。当てずっぽうで勝つくらいなら、正しく負けたほうが、長期的な視点でみれば確実にお金は増えます。

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