死後の世界の野球場の話

引き続き、ぼーっとしてる。
たぶんまだ本調子じゃないんだと思う。
なんか体調悪い。

「ベイビーちゃん、しっかり休んでください。
心身ともにリラックスです。」

うん、ありがとう。
なんか周囲にまだコロナ詐欺に引っかかってる人を見かけたりするとウンザリする。たぶん風邪ひいた私のことも新型コロナ感染症だと思ってるんだろうなぁ。

「人にどう思われるかは重要ですか？」

んー。なんかもうどうでもいいって感じ。何もかもがどうでもいい。
とても疲れています。
　アシュタールさんはなんか疲れる、とか体調悪いとかはないの？

「ないです。第一にボディがありませんし、私がそれを選択しませんから。」

体調悪いのも選択かー。

「ボディを持つ、というのが選択です。」

私にもボディを持つという選択しない自由もあったの？

「はい。ありました。あなた方は自ら望んで、肉体を持つという経験を選びました。もしかしたら、風邪をひくために。冗談です。」

ボディないほうがいいかもなー。

「それに同意する人はそう多くないでしょう。何故って、あなた方は仲間の人間がボディを離れたりしたら、お祝いではなく嘆き悲しむでしょう？

　ボディがないほうが良い、と心底思っていたら、誰かあなた方の家族や友人がボディを離れた時に、とてもすがすがしい気持ちになるはずです。
　彼らはもう風邪をひくことはありませんから。」

風邪はまぁそうかもしれないけど、でも死んでも鬱々している人っているでしょう？こないだの誰かさんみたいに。

「それは、彼らもまた死について、よく理解していないからです。
　死についてよく理解した方々は、死んだあと鬱々することはありません。」

鬱は栄養素だとか腸内細菌だとか、そんな説もあります。もし鬱が栄養素や腸内細菌の影響、つまりはボディの管理状態の問題だったら、死んだあとは軽やかですよねぇ…

「生前の風習を引きずっていらっしゃる方々がいます。何十年も鬱々過ごしてこられたのに、さぁボディがないからといって、晴れ晴れ爽やかにはならないでしょう？彼らは晴れ晴れとした気持ちに不慣れなのです。
　そして人は慣れ親しんだものが好きです。」

慣れ…なのか…

「慣れ、という言葉が不適切でしたら、習慣でもいいですよ？
長い間、気がふさぎ込むという習慣を持った人は、急に方向転換をするのは、とても困難なのです。彼らは慣れていませんから。」

ふーん…
じゃあ死んだあと、ご機嫌ハッピーで過ごすには、生きてるうちからご機嫌ハッピーを習慣にしておいたほうがいい？

「どちらがいい、とは断言できませんが…死後習慣は継続することが多いですから。ベイビーちゃんは死んだあとも飲んだくれているかもしれないですね。冗談です。」

死んだ後に飲んだくれる？！誰もお酒をお供えしてくれなかったら、どうなるんだろう…

「ベイビーちゃん、冗談です。
　でももし、死んでその後、あなたがビールを飲みたいと思ったら、そこにビールが現れます。お供えはビールが飲める条件には無関係です。
　なんなら野球場もセットで現れます。
　野球場で飲むビールは美味しいですからね」

その場合の野球場セットには、野球選手だとか他の観客だとかも含まれるんですか？

「彼らの協力を仰いでください。死んで野球場でビールを飲みたいと希望する方々がおおければ、それも可能ですし、死んで野球場で野球をプレイしたいと思う方々がいれば、それも可能です。」

ちょっと待って。
生前は野球選手じゃなくてええっとサラリーマンだったり公務員だったりしても、死んだあと、野球場で選手として野球をプレイしたいというような望みを持つ人もいるのでは？
　そしたら彼らの望みは叶えられる？？
としたなら、私はビールを飲むために野球場をセットしたら素人の野球を眺めないといけないってこと？

「眺めないといけない、という義務のようなものではありません。
あなたがそれに同意したら、彼らのプレイを眺めることもできる、と選択の幅が広がるだけです。

　プレイを見るならプロに限る、と決定したならば、あなたの死後の世界の野球場に素人は現れません。

でもたぶん、たぶんですけれど、死んだあとは素人の野球を見ることに今ほど抵抗は持ってないと思いますよ。

　ですから、今のうちにチケットを購入しておいてはいかがですか？アシュタールにこにこチケットをどうぞご利用ください。冗談です。」

う、うん…
ええっと例えばだけど、うーん…私野球業界は詳しくないから、とりあえずベーブルースさんにしときますね。イチローさんでもいいけど。（まぁその程度にしか野球選手ってわかんないんです）
　私が死んだあとベーブルースさんのプレイを野球場で見ながらビールを飲みたいって思ってて、ベーブルースさんが死後は野球をするのはもうウンザリだと思っていたとしますね。その場合はどうなるの？？

「ベイビーちゃん、死んでみますか？」

いえ、いいです…。

「死んだらわかりますよ？」

いえ、知識として知っておきたいだけで…たぶんそこまで野球に拘りないですし…。っていうか、野球とか全然関心ないし。

「でしたら、ベイビーちゃん。あなたは今のことだけを考えるほうがいいですよ。もしこうなったら、と際限なく知識を蓄えるのはナンセンスです。
　
　あなたが考えるべきは、死後ベイブルースの野球を見ながらビールを飲めるかどうかより、明日飲む予定のビールを冷蔵庫に補充することです。’

　それが今を生きるということ、それが物質世界を生きるということです。それが肉体を持つ経験です。その経験をしたくて、今こうしているんでしょう？　私の言っている意味がわかりますか？」

ぬーーーー。