カープダイアリー第8606話「こどもの日の九里は2発に沈み、DeNA佐野は”夢”を語る」(2024年5月5日)

5月5日の広島市内は野球日和になった。尾道市のぶんちゃんしまなみ球場では春季県大会準決勝が行われて第1試合では広陵が決勝に進んだ。中国地方の公式戦では40連勝という無類の強さを誇る。

午後1時半プレーボールのマツダスタジアムには試合後、広陵OB佐野の声が響いた。

「プロ野球選手を夢見るこどもたちへ」と振られると「夢を諦めなければ、ボクみたいにぎりぎりでプロ野球選手になっても試合に出られるんだっていうのを見て欲しいと思います」と答えた。

甲子園出場の「夢」は断たれ、明大を経てプロの世界へ。ただし2016年のドイラトは9位指名でセ・リーグでは最後という“雑草スタート”になった。

超満員のスタンドにはきっと広陵OBもいただろうし、「夢」を追いかけて白球を追う少年少女たちの心にもその言葉は響いたのではないだろうか?

一方でコイの季節を本拠地で迎えたカープナインは、前日の“二刀流”森下と代打3ランの松山のバット以外でどれだけの「夢」をこどもたちに与えることができたのか?2日前に0対2で悔しい負け方をしたばかりなのに、この日もまた0-5の完敗に終わった。28試合中9試合で無得点だから3回に1回という異常事態だ。

異常事態はそれだけではない。開幕投手の九里はとうとう6戦未勝利というところまで追い込まれた。

序盤3回はパーフェクトピッチング!赤と白の風景をバックに投げる姿には伝わってくるものがあった。

だが四回、先頭の桑原に中前打されてセットになってからリズムが乱れた。DeNAはここまでリーグ最多の18盗塁。続く蝦名をランナーの足を警戒しながら抑えにかかったがボールが先行して4球目でスタートを切られてサードゴロ。今季初スタメンの羽月は二塁をチラリと見て諦めて一塁に送球した。

得点圏に走者を背負い1点も与えたくない思いが九里の手元を狂わせた。佐野へ投じた初球、甘く入った変化球はライトスタンド一直線となりネット裏のファンから悲鳴が上がった。

2点を失えば、もう勝ち投手の可能性はほとんどないと言っていい。前日の森下は7回1失点で3勝目、その前のアドゥワは東と投げ合って6回2失点で負け投手、その前の大瀬良は阪神・伊藤将司と投げ合って5回2失点で負け投手、その前の4月最終日に投げた床田は6回3失点で負け投手でこの日も打線は阪神・村上に完封された。

開幕戦でも度会への1球に泣いた九里にとって悔やんでも悔やみきれない形での失点となり、この1球は尾を引いた。六回の一死一塁では牧にもレフトスタンドに持っていかれたのである。

先週日曜日のバンテリンドームナゴヤでは7回4安打無失点で“無援”に泣き、今度は2発に沈んだ。バッテリーを組む坂倉も成す術なし…

七回には二番手でマウンドに上がったケムナも佐野に適時打された。逆にDeNA先発・大貫の前に7回3安打に終わった打線は最後まで点火しなかった。

打点リーグトップは24打点のヤクルト・オスナ(6本塁打)
第2位は21打点の中日・細川(8本塁打)
さらに18打点がヤクルト・サンタナ(2本塁打)と4発目を放った牧
17打点が阪神・森下翔太(5本塁打)
16打点が巨人・岡本和真(5本塁打)と阪神・佐藤輝明(3本塁打)
14打点がヤクルト・村上(8本塁打)と中日・中田翔(3本塁打)
13打点が阪神・大山(3本塁打)、そして今季1号の佐野と続く。

カープトップは菊池で10打点1本塁打、続いて小園で9打点0本塁打、野間が8打点0本塁打。攻撃の出力においてリーグ内で見劣りするのは間違いない。9試合ぶりスタメン起用された田村俊介は形を崩したまま初回の二死満塁で一ゴロに終わるなど4の0で一度も打球は外野に飛ばず。羽月も同じく4の0…

ディフェンスに目を移せばチームの総失点は76。1試合平均では2・6点しか失っていない。まずは3点をどうやって奪うか?あすからは敵地・甲子園での3連戦…


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