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バス停のある風景:緑町(小田原市)

2024年4月

緑町バス停。
神奈川県小田原市。
小田原駅を発車したバスの最初のバス停。
箱根登山バス、伊豆箱根バス、富士急バスの三社が停車する。

バス停の近くに日栄楼という中華料理屋があった。
老夫婦と思われる二人が店を仕切り、すいていると客席で新聞などを読んでる手伝いの?おじさんがいた。
この三人の関係はよくわからないが、たいていいつも三人いた。
中華料理店というより町中華といった方がいいだろうか。
この店の自慢は長方形をした春巻きのような焼き餃子だった。
かつてはこの餃子、この店の登録商標だったらしい。
現在は、一般名称で餃子を登録することはできないが。
そしてその昔、東京で餃子を広めたのはこの店だともいわれているらしい。

中国では焼き餃子が飲食店などで提供されることはないらしい。
中国で餃子といえば水餃子で、その残りものを焼いて食べるのが焼き餃子。
だから、売り物にはならないし、焼き餃子というとイメージがよくないらしい。

日栄楼、気づいたら跡形もなくなくなっていた。
残念だ。

この緑町バス停のある道路には、かつて路面電車が走っていて、緑町の停留所があった。
半世紀以上昔の話。
そういえば小田原と大雄山を結ぶ伊豆箱根鉄道大雄山線の小田原駅の次の駅が緑町駅。
バス停の緑町から500m余りも離れた位置にあるのに同じ緑町。
そして今、小田原に緑町という町はない。
駅もバス停も小田原市栄町にある。
不思議だなと調べたら、かつて緑町という町が存在し、バス停のある場所も駅のある場所も離れてはいるが、同じ緑町の町内だったということだ。

小田原の町は神奈川のほかの町とは雰囲気が違う。
やはり城下町だからであろうか。
多くの武家屋敷があるでもない、江戸期からの商家が数多く並んでいるわけでもないが、やはり雰囲気は違う。
私の住む横浜から遠くもないが、箱根まで足を伸ばさなくても、小田原に来るだけでも旅した気分になれる。

そんな街のたかがバス停、されどバス停 緑町