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【退職エントリ】マネーフォワードでの2年半

あと2日で2023年も終わり、2024年が始まろうとしています。2024年は閏年ですね!閏年チェック、ちゃんとしてますか?新年を迎えると同時に、私はマネーフォワード(以下マネフォ)を退職いたします。この2年半、私にとってとてもいい時間になりました。感謝の気持ちと、これからマネフォの一員になる人に向けて、このエントリを書ければいいなと思います。


なぜ入社したのか

私がマネフォに入社したのは、2021年の7月のことです。前職はハコスコ、というスタートアップの会社で、VR事業のプロダクト管理部のマネージャーをしていました。前職ではスタートアップっぽく、QA、カスタマーサクセス、カスタマーサポート、WEBマーケ(かじっただけ)などなど、ひとつの役職に限らず、幅広いことに広く浅く取り組んでいました。
退職を期に、次は前職とは違って「1つの職を深く極めたい」「1つの職についてもっと学びたい」「できればテスト自動化やりたい(経験ゼロ)」と思ってQAE職での転職活動を行っていました。

マネフォへの入社を決めたのは、当時QAグループのリーダーをしていたSammy @AWorkingholiday が「開発エンジニア自身で品質を担保してリリースできる組織」になりたいとnoteや1次面接で語っていたからです。品質を作り込めるのはQAEではなく実際にコードを書く開発エンジニアですから、コードにより近い人が品質の知識を持っていると言うのは品質を作り込んでいく上ではとても理に適っていると感じました。

また、一次面接〜内定までのスピードがとても早く、オファーメッセージも充実していて、採用活動自体も好感触でした。私のマネフォ生活の始まりです。

入社してみて感じたこと

リモート勤務の難しさ

入社時期、ちょうどコロナの全盛期真っ只中で、出社必要最低限となっていました。入社日は流石に出社したものの、それ以降はほぼリモート生活が続いたのではないかと思います。
マネフォのオンボードはとても充実していて、職務を始めるにあたり特段困ったことはないものの、チーム内でのコミュニケーションには課題を感じていました。その内容については以下の記事にまとまっています。

組織の柔らかさ

当時はHRの開発部自体がそれぞれのプロダクトチームでの日々の開発にフォーカスしていて、それぞれのチームがそれぞれのチームのやりやすい方法で仕事をしている(個別最適)印象でした。いい点としては、各チームが裁量権を持って動いているので、スピードが出しやすいところ。よくない点としては、それぞれがそれぞれの方向で進んでいるので、部としての統一は図れていない。そのためチーム間の移動は難しく、部としての持続可能性を考えたときには難しい点が出てくるのではないかというところです。例えばテストひとつとっても、テストケースも設計方針もチームによってバラバラ。なのでQAEはアサインされたチームのやり方にまず合わせる必要がありました。

ですが柔らかい組織だからこそ、できることは無限にあります。これから何か始めたい!人にはうってつけの環境だったのではないかと思っています。

アウトプット重視の評価

何を成し遂げたか、に重視した評価が徹底されている印象でした。もちろん成し遂げるまでの過程も大事ですが、それよりも何を成し遂げてそれが周りにどう影響したかを評価される。QAEという立場ではここが結構な悩みどころでした。
というのも、当時はQAEは開発チームの品質サポートという取り組みを行っており、テストケースのレビューをしたり、テスト設計のやり方についてエンジニアさんと相談したり、というのがメインの業務だったので、それのアウトプットって何?と考えるととても悩みました。
テストレビューしたとして、テストの質がどう良くなったのかはあまりわかりません。テスト設計のやり方をエンジニアさんに伝授した後に開発スピードが上がったか、少しでも不具合が減ったかどうかなんて、誰にもわからない。数値で取っていたとしても「相関関係がある・・・かも?」までしか言えないと思っています。
自分のアウトプットをどう評価するのか、これは入社以来ずっと難しかったことのひとつです。(そもそも自分が評価されることに対して興味がないというのもあったりします)

"人"の良さ

接する全ての人とストレスなく2年半を過ごすことができました。これだけ人がいるとひとりくらいは「こいつ・・・!」と思う人がいるものなのですが、そういった純粋な人間関係でのストレスを感じずにすんだのはとてもありがたかったです。これはカルチャーマッチする人を採用しているのが大きな理由のひとつかなと思っています。
特に印象的だったのは、自分がこれからやりたいことの話をすると「それって無理じゃない?」と言う人がいないことです。「難しいかもしれないけど、こういう方法はどうだろう」「こうしたらもっと良くなるんじゃないか」「こんなこともやってみたら」と誰と話しても話が膨らんでいくのはとてもいいなと思いました。

在籍中の取り組み

開発チームのQA活動サポート

入社後の少人数編成で開発チームもQAチームも動いていた頃は、QAEがメインでテスト計画〜テスト実行をこなすことは少なく、ほとんど開発エンジニアと二人三脚でQA活動を行っていました。入社してすぐに担当になったクラウド人事管理チームでの取り組みは、以下スライドにまとめてあります。

<やってみてわかったこと>

  • テスト技術、奥が深い

  • 開発エンジニアでテスト技術に精通している人はほんのわずか(少なくとも出会った人の範囲では)

  • なんとなくリストアップしたテストを作ることが多い

  • "仕様"の確認だけを行っていることが多い

  • Automationなどを駆使して、テストの工数を減らすことに積極的(QAEよりも貪欲かも)

  • 実装の前段階でテスト設計もしくはテストケースを作成しておくのはその後の不具合を減らす上で効果的

  • 開発エンジニアがQAEの知識を全て習得する必要はないと思う(品質保証のプロセスがあーだこーだとか)。ただ、テスト技術は知っておいて損はない

E2Eテストの自動化

E2Eテストの自動化は、マネフォに入社していちばんやりたかったことです。私の入社時にはすでにE2Eテスト自動化ツール「mabl」の導入が80%くらい確定していたので、波にのってそのままmablを利用させてもらうことにしました。mabl導入時のお話は、以下ブログにまとめてあります。

<やってみてわかったこと>

  • E2Eテストの自動化、奥が深い

  • 未成熟な期間(実質PoC)でもあったので、テストシナリオを意図的に増やしすぎないようにしたのはよかったように思う

  • 意外と不具合は引っかかる(本来は前工程で見つかるべき不具合ではある。連携している他サービスのアプデ起因の不具合も見つかっている)

  • ローコード、ノーコードのツールはコーディングの知識がなくても本当に使える&オンボードコストがとても低い

  • 自動化楽しい。APIもやりたい

社内勉強会&登壇

社内での勉強会は、なんとかアウトプットを増やせないかという考えの元の苦肉の策でもありました(笑)。だけど、始めてみたらみんなで勉強することはとても楽しく、最後の方はもうほとんど趣味で続けていた気がします。

<勉強会&登壇(一部抜粋)>

  • JSTQB FL 勉強会 全8回

  • 品質特性ワークショップ

  • Special Session 不具合を防ぐために

  • Spring Bootcamp(新卒研修)2022

  • テストケースレビューの目的と効果

  • 障害について考えよう

  • テスト設計についての勉強会

  • ソフトウェアテスト技法練習帳を用いた勉強会

社外勉強会&登壇

外に出て何か話すことにはあまり興味がなかったのですが、当時QAアドバイザーとしてジョインしてもらっていた Mark @mkwrd さんのおすすめもあり、始めてプロポーザルを出したのがスクフェス札幌でした。それ以外でもMarkさんには都度登壇資料のアイデア出しや添削(ほかにもたっくさん!!!)でとってもお世話になりました。
一回登壇すると登壇へのハードルがものすごい下がって、他にも色々とお話させていただける機会をいただけたことはとてもうれしかったです。なんでも第一歩が大事なんですね。

<勉強会&登壇(一部抜粋)>

  • スクラムフェス札幌

  • mabl Experience 2022 Japan

  • STAC(ソフトウェアテスト自動化カンファレンス) 2022

  • 品質保証の歴史と QAエンジニア for A社社内勉強会にて

  • 『教えて、先輩ユーザー!』GIHOZ活用事例共有会

  • QA組織の立ち上げと価値あるテスト設計のために必要な3つのこと

社外コミュニティーの立ち上げ

E2Eテストの自動化でお世話になったmablのユーザーコミュニティー「mablers_JP」を立ち上げたのもマネフォ在籍中のことです。コミュニティーの立ち上げと運営なんて始めてだったので、立ち上げ期、いろんな人にアドバイスいただき、今でもいろんな人に支えてもらって運営できています。マネフォは卒業してもコミュニティーにはしばらく居座ろうと思っています。立ち上げのきっかけ等については以下の記事にまとまっています。

退職する今感じていること

リモートかハイブリッドかオンサイトか

コロナ禍は完全リモート推奨だったマネフォも、現在は週2出社が基本となっています。いわゆるハイブリッドな状態です。働き方は人それぞれかなって思いますが、どの働き方にもメリデメはもちろんあるので、個人的にはハイブリッドが一番柔軟な選択肢なのかなぁと思っています。
誰かと一緒に進めたければオンサイトで、ひとりでもくもく集中作業したいのであればリモートで(まあ家庭環境にもよるよね)がやりやすい、というのが私自身の意見です。コミュニケーションの取りやすさは圧倒的にオンサイトだと感じます。リモート化で人から得られる情報量と、オンサイトで得られる情報量との差が大きいと感じるからです。(目線、間、顔色などなど)

持続可能性のある組織への進化

入社当時は良くも悪くも「柔らかい」組織だったマネフォは、この何年かで事業の持続にも向き合える組織になってきたのかなと感じています。QAにフォーカスすると、ダブルCQOとして高橋寿一さんと池田暁さんをお迎えし、QAEにとっては他には例をみない成長の場だと思いますし、CQO職の設置は会社にとっても大きな変化だったのではないかと思います。

私としても、このQA組織で学びたいことは山のようにあったのですが、自分の年齢とこれからのキャリアパスを考えた結果、今回の退職にいたりました。これからQAを極めたい、成長する組織で働きたいという方にはマネフォは推せます!ぜひ!

マネフォで得たもの

QAEとしての経験とスキル

この2年半でいろいろなことをやってきました。実は(?)私、マネフォに入るまではそんなにQAの知識が厚かったわけでもなく(今でも???だけど)、JSTQBのFLの内容もマネフォで行った勉強会を通してやっと理解できたレベル。E2Eのテスト自動化についても未経験から始めた取り組みでした。
そんなわたしでもどこそこ登壇できたり、社内で勉強会できるようになったことは1人のQAEとしてはとても大きな成長だったのではないのかなと思います。QA活動において大事な基礎の部分をたくさん学べたことは大きな財産です。

英語力

マネフォでは2021年の年末くらいに英語化に向けて具体的な取り組みが始まっていったのではないかと思います。当時は英語なんて見ても読めないし、翻訳と書くのはDeepL任せ(これは今もかも)、リスニングはからっきしだめ(英語というだけで脳がストップ)だったわたしも、この英語化によってかなり英語力を身につけることができました。

英語研修開始前は400点台だったTOEICも780点に。履歴書に書けるレベルまでが約半年。まだまだスピーキングは苦手ですが、リスニングは大体言ってることがわかるレベルまで成長しました。
英語がわかるようになってよかったなーと思うのは、コミュニケーションの幅が広がったことです。言語の壁というのがひとつ取り払われたことにはすごく価値があるし、この研修にはとても感謝しています。
今では採用条件に英語力も入っていますが、当時ダメダメだった私を見捨てずにここまで導いてくれるのは、マネフォ特有の温かみだなーと感じます。

社内外とのつながり

マネフォ在籍期間は社内外問わずQAエンジニアの方や開発エンジニアの方など、近しい業界の方とたくさんお知り合いになりました。在籍期間中に仕事用で開設したTwitterアカウントは0 → 800フォロワーに!(といっても趣味の繋がりが半分くらいです)
このご縁はこれからも大切にしていきたいと思っています。

さいごに

わたしのマネフォ生活も2023年でおしまいです。
振り返ってみても一人でできたことはとても少ないとは思いますが、今回の退職に際して「QAに関することをいろいろ教えてくれてありがとう!」というメッセージをPdMさんやエンジニアさんからたくさんいただきました。自分としてはなにも教えたつもりはないのですが、そう言っていただけるということは、何か少しでもQAEとして伝えることができたということで、素直に喜んでもいいのかなと思っています。

そして、2024年からはまた新しい業界で新しいことにチャレンジできればいいなと思っています。何をやっているかは来年の私に乞うご期待!マネフォに入社して関わりを持つことができたすべての方に感謝を。

よい年の瀬をお過ごしください。
Happy New Year!

honamin


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