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シンデレラファイトDAY9観戦記

シンデレラファイトも気が付けば9日目。
このタイトル戦の優れている点は、団体の垣根を越えてたくさんのプロが観られることだと私は思います。
私は連盟のプロの麻雀を観る機会が多いのですが、他団体のプレイヤーの麻雀を観るきっかけを提供してくれるので、その点において魅力のある場だなと感じています。

さて、いつもは我が北海道から参戦している木下遥プロの応援演説をしている私ですが、この日の対局を観戦して、新たな「推し」に巡り合えたような気がしています。

小西雅プロ。
最高位戦の所属で主戦場は関西ですが、出身は北海道の美唄市。
この時点でかなりの親近感を覚えているのですが、この日の対局を観ていて私は一気に小西プロのファンになりました。

ある局の終了時の映像です。
小西プロの手元に注目していただきたい。
前に残った壁牌がキレイに下ろされています。
小西プロは、点棒の授受が終わったタイミングで壁牌の上側を手前に引いて下ろし、次の親のアクションを待っています。

この映像の何が美しいか?
小西プロの何が素晴らしいのか?

ご本人に聞いてみないとわかりませんが、卓の中に牌を収める際に、少しでも牌にダメージを与えないようにという配慮で行っていることなのだと私は思います。
実際はたった数センチの差。それを励行したからと言って、実益はどれだけあるのか?と言われればそれまでです。
しかし、これは気持ちの問題。
そういう配慮が自然とできるプレイヤーって、私は美しいなって感じるのです。

遅ればせながら。
今後小西プロに注目していきたいと思います。

もちろん、この日の対局者である川上レイプロも、梶田琴理プロも、牌の扱いは一流。
そして二人とも放送対局を数々経験されているのでしょう、打牌のスピードも視聴者寄りに上手く調整しながら対局を進められていて、観ていてストレスを感じませんでした。

そして、個人的な話で恐縮ですが。

以前から好きな梶田琴理プロ。ため息が出るくらい美しい。
川上レイプロ。応援しているファンも多いことでしょう。

このビジュアルですよ。
注目すべきことが多すぎます。

さてさて。
トップが勝ち抜け、ラスが即脱落という前半戦。
このゲームは、まずトップ目が仕上がるのが本当に早かったですね。
(以下敬称略)

木下が2,000(+3,300)、3,200と2つ和了を拾って、迎えた東3局の親番。

ダブ東がトイツの配牌をもらいました。
と、そこへ、

下家の川上が1打目に場風の東を打ち出します。
木下はこれをポン。

和了2つでアイドリングが終わり、エンジンをふかし始めた木下の勢いは本当に恐ろしい。

梶田から6ピンを捕まえて6万と3ソウのシャンポン待ちで聴牌。
そこから、2ソウを引いて、

1-4ソウ待ちに変化させます。

ただ、敢えて木下に苦言を呈するならば、

次巡に引いた2ソウを空切りしたところ。
ターツを嫌ったように演出したのかもしれませんが、対局者から見て2ソウ手出しには疑問符が付くでしょう。
1ソウがドラなので、なぜこのターツを嫌ったのか?という点について、明確な答えが見つかりません。
序盤からピンズが打ち出されているので、ホンイチに見えませんしね。

では、単にターツを嫌ったわけではないのでは?と、読まれてしまえば、この1-4ソウ待ちは思慮の外に置かれることはないので、和了を拾うことが難しくなります。
スッとツモ切りしても良かったかな?と私は感じましたが、さて…?

まぁ、これとて揚げ足取りの部類の話。
この日の木下にはそんな細かいことは関係ありませんでした。

川上、そして梶田にリーチをぶつけられ、めくり合いになった刹那に高めの1ソウツモ。
2,000オールにリーチ供託2本をせしめて、一気に独走態勢に持ち込みます。

そして、木下のこの表情。

自身に満ち溢れた時の凛々しい佇まい。
勝負モードでありながら、前がかりにならない余裕も漂わせています。
私はこの姿を観止めたところで、今日も良い勝負ができるだろうなという確信めいたものを感じています。

そして、その手応えが形になったのは次局。

小西のドラ暗刻仕掛けや、

梶田のホンイチ仕掛けをかいくぐり、

中盤にこの形でリーチを放つと、

6ソウが一発目に手の中で踊って4,000は4,100オール。
そういえば、前回登場時に窮地を救ったのも6ソウでしたね。

木下、しばらく6ソウの手応えを忘れられないことでしょう。

2,000オール、4,100オールと、木下が3者から均等に点数をかき集めたおかげで、注目は脱落者を決めるラス争いに。

大きく局面が動いたのは南1局。先制リーチは親の小西。

高目一気通貫に仕上げて抜け出しを図りたいところでしたが、リーチ後に和了牌が山から無くなってしまいます。

そんなことを知ってか知らずか、粘り強く回り込んで聴牌を入れたのが川上。

終盤に差し掛かるところで追いつき、無筋の7ソウを叩き切って応戦。
そして、流局まであとわずかというところで、

小西が無情にも赤5ピンを打ち上げて川上への放銃。

最終的にこの失点を挽回できず、小西雅が#1で敗退となりました。

それにしても、あの手格好でリーチを打たない選択をどれだけの人が出来るのか…。
はたまた、あの手格好に仕上げない手順があったかどうか…。

抗うことが出来ないスパイラルに入り込んでしまった小西があまりに不憫でなりませんでした。

しかし、ここは明と暗のコントラストをより鮮やかに見せる場所。
敗退してしまった小西プロは、冒頭で書いたように美しい所作で最後まで打ち切っていらっしゃいました。
きっと、またどこかの場面で道産子である小西プロの麻雀が観られるでしょう。
その時を楽しみにしたいと思っています。


ここまでシンデレラファイトを観戦してきて、今日ほど落ち着いて観られるゲームはありませんでした。
それは、応援する木下プロのゲーム進行が盤石だったから…ということでありません。

勝負に入り込みすぎると、どうしても打牌スピードが速くなりすぎてしまいがちですが、このゲームは優雅でたおやかに局面が進んでいき、

「観戦者に見せる」

という共通認識で展開され、まさに放送対局のお手本とするにふさわしいゲームだったように感じます。
対局された選手に、心から拍手をお送りしたいと思います。


そして、我らが木下プロですが、今回は順風満帆過ぎて書くべきことが見つかりませんでした(笑)。

ただ、順風満帆に時が過ぎていったのは何故か?と考えれば…

前回の死線を潜り抜けたご褒美?
というのは、あまりにオカルティズムが過ぎますか?
でも、厳しい場を潜り抜けてきた人にこそ、牌は応えてくれると私は信じていますし、木下プロはそういう麻雀を見せることを目指していると思うので。
今日のところは、そういう結論で締めくくりたいと思います。

更なる高みへ。
北海道で応援している仲間を、一緒に連れて行って欲しい!

がんばれ、木下遥!!!

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