日本人が罹った病「デフレマインド」~私たちは他人に貧しさを強いてきた?~
こんにちは!ハマネコ(@hmnk_cfp)です!
あけめしておめでとうございます。
元旦から大きな地震があり、翌日は航空機の炎上事故
不穏な一年ですね…
被災された皆さまの無事、および亡くなられた海上保安庁職員の方のご冥福をお祈りいたします…
さて、2024年1発目の記事は、タイトルの通りデフレマインドについてです
もう安さを求めるのは、やめませんか?
突然ですがこの前、電車に乗っていたらこんな広告を見かけました
元ネタは駒場東邦中学の入試問題で、内容はミクロ経済で有名な非協力ゲーム理論
それにしても、軍縮とは小学生が解くにはテーマ重すぎません??
※ちなみに駒場東邦中学は首都圏じゃ開成・麻布に次ぐ超名門私立(早慶より上)ですので、決して今の小学生のスタンダードではありません
私も一応は経済学部の出身で、非協力ゲーム理論は知っていました
なので言わんとすることは理解できましたが、ここでふと思ったことがあります。
「これって日本経済が低迷している原因をうまく表せるんじゃないかな?」
そこで下の図を作ってみました。
左上が今の日本、右下がアメリカをはじめとする経済成長国です。
■安さを求めた日本人の末路
左下は、「商品は安ければ安いほど良い」場合を表しています。
かつての牛丼家のように値下げ合戦を行うと、我々消費者としては嬉しいですよね。
短期的には。
しかし安い商品やサービスを提供している、お店の方はどうでしょうか。
当然売上は低迷します。売上に従ってコストも下げればよいのですが、固定費のようにどうしても下げられない項目というのが存在します。例えば牛丼を安売りしたところで、店舗の家賃が下がるわけではないですよね。
売上は下がるけれども、コストは変わらない。そのしわ寄せはどこに行くのか…?
人件費
そう、一般的にはリストラやレイオフと呼ばれる、人件費のコストカットに繋がるのです。
ただし日本の場合は労働者の解雇規制が厳しいので、既存労働者の解雇には至らないでしょう。
代わりとなるのは、ベテラン社員への希望退職依頼、従業員に占める非正規割合の拡大、新規採用者(特に中途)の給与水準を下げる、最小限の人員による過剰労働(ワンオペ)などでしょうか。
高スキル人材を低年収で雇おうとする求人が、たびたびネットでも話題になりますよね(あろうことかデ〇タル庁とか)
こうして企業側は現状維持がやっとの状態になり、新規事業への投資が出来なくなる。
成長しなければ、市場におけるシェアを資本力のある外資系企業に奪われるか(例:家電メーカー)
あるいは新たな市場が生まれても参入に遅れ、外資系企業に席巻される…(例:スマホデバイス)
また労働者側も給料が上がらず、生活に余力が無くなる。
そうすればますます安い商品を求めざるをえないか、あるいは消費活動そのものをしなくなる。
「今の若者は車や時計を欲しがらない」と言われて久しいですね。
それはもちろん娯楽の多様化という面もありますが、なにより「そんな経済的余力ねえよ!!」というのが本音ではないでしょうか。
あえてやや誇張して言いますが、
安さを求めるのは、その企業・従業員に「私のために貧乏になれ!」と言うのと同じです。
これが私が考える、日本が30年間陥ってきた「デフレマインド」です。
その末路は、己の貧困と外国による経済侵略。
高級タワマン、買っているのは誰でしょうか?
高級ホテル、泊まっているのは誰でしょうか?
高級クルーズトレイン、乗っているのは誰でしょうか?
(ななつぼし in 九州 乗ってみたい)
今の日本の高級サービスは、日本人ではなく某国の富裕層に向けたものです。
目先の得(安さ)を求めた「デフレマインド」が、長期的には自分の首を絞めているのです。
■適度な物価高で経済は成長できる
今度は図の右下について考えていきます。
まず経済成長する国というのは、2つのパターンがあります。
一つは、そもそもの経済・社会インフラが未成熟な国。
主に発展途上国。
例えるなら成長期の子どもであり、放置しても勝手に成長していきます。
もう一つは、すでに社会インフラが整備されているにもかかわらず、イノベーションを起こして更なる成長を遂げる国。
代表例はアメリカですが、香港やシンガポールなども該当するでしょうか。
これも例えるなら成熟した大人が、筋トレや健康管理を続けて高いパフォーマンスを維持するパターンです。
前置きが長くなりましたが、ここで私が述べたいのは後者の方です。
理屈は簡単で、さっきとは逆のパターンが起きます。
物価が上がれば、売上が上がる。企業は賃金として従業員に還元する。お金を得た従業員は、さらなる消費活動を行う…
かくいう日本も、バブル崩壊前まではこの状態でした。
どんどん経済成長を遂げ、消費活動が活発になり、給料が上がる。
まぁ日本の場合はペースを上げすぎて息切れしてしまいましたが、それを適切なペースで行っているのがアメリカなどです。
ただもちろん、物価が上がりすぎればいいわけでもありません。
必ず取り残される人が出てきます。
アメリカでは家賃が上がりすぎて払えない人が、NYをはじめとする都市圏で続出しているそうです。
ランナー全員がついていける程度の、適切なペースでの物価高が経済の最適解です。
■それ以外のパターンは?
ちなみにそれ以外のパターン、図の右上と左下の場合はどうなるのでしょうか。
まずは右上の場合。
お客さんは安い方が良いと思っていますが、お店は値上げしたパターン。
この時は値上げしても、商品は売れませんよね。
お客さんは商品を買わないか、より安く提供している競合他社に移ってしまうからです。
お店は売り上げが出ない状態ですので、泣く泣く値下げをします。
すなわち、左上(日本)の状態になってしまうのです。
続いて左下の場合。
お客さんはある程度高い金額を出しても良いと思っているが、お店は値下げしているパターン。
いわゆる薄利多売戦略を採っているケースです。
この時お客さんは、わざわざ安い商品に対して高い金額を払う理由は無いわけですから、結局左上(日本)に収束します。
わざわざ280円の牛丼を食べ、400円払って「お釣りはいらねぇキリ」とかやりませんよね(笑)
まさに、非協力ゲーム理論が成り立ちます
■値上げ叩きはやめよう
日本が右下の状態になり、再び経済成長を遂げるにはどうすればよいのか。
難しい金融政策・財政出動はお偉い方々に任せるとして、私たちにできることは何か。
それは、
値上げを叩かない
ということでしょう。
最近でこそ少なくなりましたが、少し前まで商品やサービスの値上げを企業が発表すると、メディアやSNSでは袋叩きにする光景が目につきました。
テレビでは街頭インタビューで「もう行きません」とか「だったら他のやつ使います」と切り捨てる通行人の映像が流れ、SNSではハッシュタグや引用RT(引用ポスト)で公式アカウントを非難する…
炎上を恐れた企業は、値上げ断念と利益縮小を受け入れざるをえなくなり、従業員への還元が出来なくなる…
あるいは内容量を減らす、サービスは改悪するなどの、ステルス値上げを実施する。
こんな負の循環は、もうやめませんか。
■さいごに
最近では、戦争・インフレ・円安により値上げも「仕方ないよね」という雰囲気になってきています。
ベースアップを表明する企業も、増えてきました。
もちろん企業側にも、過剰な内部留保など改善すべき点はあります。
とはいえきっかけが外圧な点はともかく、日本人にもようやく「デフレマインド」を脱却できる雰囲気ができているのは、素直に良いことなのではないでしょうか。
もう「憧れるのを」
ではなく(笑)、
「貧しさを強いる」のはやめましょう。
2024年が、経済回復の起点となる年になりますように!
ハマネコ
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