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好きなだけ一人

娘は毎朝、私と別れる時「ママー、ママー!」と大声で泣く。
あまりに泣くので4月当初は私も戸惑い、「まだ幼稚園に入れるのは早かったか」と悩み、一緒に涙ぐんだりした。
けれど先生の話を聞いてみると、私の姿が見えなくなった途端、ニワトリに餌をあげに行ったり、給食室に挨拶をしに行ったりするらしく(今日の給食はなんですか)、子どもとは親が思うよりも案外タフで切り替えが早いものなのかな、と思うようになった。

午後に迎えに行けば、満面の笑みで教室から飛び出して来て、その顔は涙と鼻水と砂と給食にまみれている。
靴も服も泥だらけで、彼女が私の知らないところでたくさん学び、頑張っている姿を想像することができる。

この一か月半。
新しい環境や生活に慣れるため、夢中で過ごしていた。
エネルギー不足だった去年に比べると自分でもよく動いているなと思うけど(料理もなんとか作ってます)、心と体はやはり正直で、ひと月の間に2回発熱し(娘は1回)、連休中もほぼ体調不良だった。

私はストレスが溜まりに溜まると、「逃避」する癖がある。
抱えているものや縛られているものを一旦すべて脱ぎ捨てて、「私はいつだって自由だ!」という感覚を確かめたくなり、家を飛び出す。

連休中もこの発作に見舞われて、実母に助けに来てもらい、取るものもとりあえず帰る時間も決めずに、ただひたすら森を歩き回った。

実質、2時間ほどのことだったと思う。
それでも「自分の気が済むまで、好きなだけ一人でいていい。何も気にしなくていい」と自分に許すことは、確実に私を癒した。

ここのところ、気づけば絵も文もかけなくなっていた。
次第に自分と向き合うことが怖くなり、そのことでまた自分を責め始めていた。
最近は、スケッチをしたりキャンバスに色を塗り重ねたり、少しずつ調子が戻ってきている。

母であること、自分であること、創作者であること。バランスを取るのは難しい。

けれど、うまくいかないことも含めて「なんだかんだ、生きるの面白いな」と思えるくらいには、私も図太くなってきた。これはきっと、娘のおかげだな。

ここからまた、やっていこう。
いい季節だなぁ。

登園中。なかなか進みません

©︎綿草ひろこ

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