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映画「バービー」について(ライアンとジミン、そしてビリー)


1.ケン(ライアン・ゴズリング)とジミン

映画『バービー』を見てきた。
バービーといえば、ケン役のライアン・ゴズリングさんとジミンさんとのSNSによる豪華なやリとりがあった。
ケンの衣装が、BTSの「Permission to Dance」のMVでのジミンさんの衣装とかぶっていたことから、ライアンさんからジミンさんへツイッターを通してメッセージを送り、映画で使用したギターをプレゼントした。

映画公開前日の投稿なので壮大な宣伝広告といえばそうなるわけだが、後日、ジミンさんの元にギターが届けられ、ジミンさんからライアンへお礼の動画をインスタグラムにアップしている。

そういうジミンさんの一番好きな映画は「The Notebook (邦題:きみに読む物語)」。

この映画の主役がライアン・ゴズリングさんで、その彼から自分宛てのメッセージをもらい、ギターまでプレゼントされるなんてすてきな話。

2.バービーを歌うビリー

映画「バービー」で、ビリー・アイリッシュが歌う「What Was I Made For?」が流れるシーンがとても感動的だが、何度聞いても胸に刺さる曲でヘビロテしている。

当時、ビリーはスランプに陥っていたらしく、未完成段階の映画「バービー」を見て、その日のうちに一気に書き上げたという。(詳細な記事はこちら

「Lollapalooza Chicago 2023」で「What Was I Made For?」うたうビリーの表情がとても気持ち良い。


3.映画「バービー」の感想(ネタばれあり)

で、本編の感想(深読みしすぎかもしれないが・・・)。
実は、この映画を3回見にいった。
3回見て分かったことだが、この映画のもつ情報量が多いこと。その情報量の多さに圧倒されて少し混乱したところがあり、その確認のために回重ねた感じ。
要するに面白かった。

久々にハリウッドの底力を感じた作品。
単純に楽しめるエンターテイメントの部分と、人間が抱える普遍的なテーマを問う哲学的な部分、その両方を持っている作品。

いろいろ巷で評論されているが、この作品にある種の思想や考え方を当てはめてラベリングしようとすることはダサいとしか。

バービーを主人公とした物語の流れが主軸だとすると、それ以外の登場人物を借りた別のストーリーも並行して流れており、主軸の物語にそれが絶妙に織りこまれている。そのどれも重要だったりする。
メタファーとして置かれていたり、シニカルなコメディ的な要素もそこかしこにあり、どこに焦点を当てればいいのか、みるべき着眼点が多すぎて混乱する。
個人レベルの話もあれば、社会レベルの話もあり、視点によって物語の範囲のスケール調整も行いながらみていく必要もある。

一番すっきりしたシーンは、紆余曲折を経てライアン演ずるケンが、「『ケン』は自分だ!」、「Ken is me !」 そう叫びながら滑り台を楽しそうにすべりおりたシーン。
当たり前のはなしのように聞こえるが、バービーに依存していた自分を、バービのおまけのような存在としての自分を、ビーチにいるただの人と自称していた自分を、そういう自分の殻を打ちやぶった瞬間だったから。
人間界に影響され一時的だが借り物の権威主義に陥いりそうにもなったケンだったから。
自分という存在の価値を真底から肯定することって本当に大変なことなんだと、ケンを通して考えさせらた。

映画を観ながら、なぜ人形なのか、なぜ「バービー」なのか、なぜ「ケン」なのか、人間でない彼らを通してこそ伝えやすい何かをぼんやりと察知したつもりだったが、明瞭にはなっていない。とにかく作品として秀逸。

どこに身をおくか(人間界か、バービーランドか)、限りある時間を設定するのか、そうでないか、自分が選択権をもっていること、選ぶ自由があること、何者かに付随しただけの自己の存在ではないこと、誰もが主体的な自己を確立することができること、そして社会的な役割を担えること、そういうことを明確に打ち出している。

映画「バービー」の華やかな絵面から、少しイメージの違った感想。

Dua Lipaの「Dance The Night」が流れるディスコシーンは大好き。

いくつかある華やかな演者のスキルの高さを示すダンスシーンは本当に見応えあり。

4.感想追加・ライアン・ゴズリングについて

この作品で、ライアン・ゴズリングの歌のうまさ、ダンスのうまさ、そして演技のうまさに気づいた。
映画の冒頭で、サーフボードをもって動かない偽物の波に自らぶつかりいって宙返りをするお馬鹿なケンを観た時に、変に人間臭い「ケン」のキャラは一気に伝わった。
卑屈で、劣等感をもち、自己評価の低い「ケン」だが、バービーに対しての一途さや、お人よしな可愛いさあり、憎めない性格でもある。
そのケンがいて(ライアンの演技力があって)、映画「バービー」は成立している気がした。ケンの良さは3回見てやっと気づいた点(遅)。

分かりづらい感想になってしまったが、まだ言い足りないくらい。
アカデミー賞の候補作品として一押し。





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