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焼きの女 2023.07.01

安部公房の作品で何が好き?と聞かれたら結構迷うと思う。安部公房好きなので。「赤い繭」もいいし戯曲の「友達」も絶妙にキモくて良い。「バベルの塔の狸」も好きだし、まあなんだかんだ「砂の女」もやっぱり最高だよねという話。

それはそうと2日前は友人の誕生日だった。せっかくなのでみんなで祝おうと、うちに招待して誕生パーティーをした。アメリカのいいところのひとつとして、頻繁にホームパーティーが行われるところを挙げたい。なんだかんだ安く済むし、気負いしなくていいし、なにより人を招待することで家を片付けるという利点がある。

そんなこんなでパーティーをすることが決まったが、ケーキをどうしようかという話になった。割と美味しいケーキ屋さんがあるにはあるのだが、買いに行くにはちょっと遠いし、他のケーキ屋は甘ったるいし、そうなりゃ作るか、と決めた。アメリカという土地は人をベイカーにするのかなんなのか知らんが、アメリカ留学中にやれブラウニーだのクッキーだのを突然やり出す留学生というのは珍しくない。例にも漏れず私もそのうちの1人で、アメリカ来てからベイカー、またの名を「焼きの女」として過ごしていた。

私は特にストレス発散のために凝った料理を作ったり、焼き菓子を焼くタイプだった。そのため、うちでは私が授業や課題に追われていたり、大きなストレスに晒されていると焼き菓子が出来上がるという謎のシステムが出来上がっている。

今回は特にストレスが溜まっていたわけではないが、色々忙しかった6月が終わってやっと訪れたベーキングチャンスだったので気合を入れた。ホールケーキなんて1から作るのははじめてだったけれどなかなかうまくいって、みんなが大絶賛してくれて嬉しかった。


クリームの塗り方は、アメリカでよくある「ネイキッドケーキ」というスタイルを参考にした。うちにはケーキ台とナッペするためのナイフがなかったので、このスタイルならできるだろうと考えてこちらを採用した。簡単なのにかなりお洒落に見えるので、お得である。

アメリカで「焼きの女」と化した私だが、「砂の女」よろしくスポンジケーキに囲まれて永遠とケーキを焼きながら過ごしているわけではないのでご安心を。

今度は久しぶりにレアチーズケーキを作ろうかなと思っている。ルームメイトがたくさんいるうちにたくさんお菓子を食べさせたい、そういう妖怪なので。


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