出演のお知らせ:BS-TBS「報道1930」(2024.5.23および2024.6.10)

日本に帰国して以降、「報道1930」さんによくお声がけ頂いていまして(とても光栄です。ありがとうございます)、
5月23日と6月10日の2回の出演が確定しています。

5月23日はヨーロッパ最新情勢ということで、ウクライナの戦況、ウクライナ大統領選を巡る情報戦、スロバキアのフィツォ首相襲撃事件、ジョージアの「反スパイ法」を巡る動きなど、盛りだくさんです。

私自身は2024年3月にスロバキアを、2022年9月にジョージアを調査や講演のため訪問しており、(ジョージアは2年弱の時間が経ってしまいましたが)そのときの経験も織り交ぜながらお話ししたいと思います。

ウクライナについては、本来3月末に大統領選挙が実施されるはずであったところ、戒厳令下で実施出来ませんでした。これによって、もはやゼレンスキーは大統領としての正当性を失った、と主張する向きが増えています。

しかし、これは端的に間違いです。

ウクライナで大統領選挙が実施出来ないことは、まずなによりもロシアによる侵略の結果に他なりません。

戦時下のウクライナで選挙が実施出来ないことを問題視する人は、その問題の原因をこそ除去するように働きかけていただきたいものです。ロシア軍がウクライナの国土から撤退すれば、ウクライナの選挙は可能となるのですから。

これに加えて「ロシアは大統領選挙が出来るのに、ウクライナは出来ない。だからウクライナはロシアに比べて劣っている」という指摘も耳にします。

「侵略国ロシア・被侵略国ウクライナ」の構図に照らして、そのような指摘はフェアではありませんし、そもそもロシアの大統領選挙が民主主義国家の選挙の要件を完全に満たしているかどうかについても、考えていただく余地があるでしょう。

全体的な背景については、このBBCの記事が非常に重要と思われます。ただすでに様々なところで指摘されていますが、「政権満了後も政権を継続」というタイトルはミスリーティングですね。

以下で指摘されているとおり、選挙を実施しないことに対し、ウクライナ国内での批判の声は(皆無ではないでしょうが)大きくはない一方、侵略を継続しているロシアがゼレンスキーの正当性を問題視しているという、極めてねじれた状況が発生していることに注意が必要です。

ウクライナ国内で大統領選挙の実施を求める声が少ないどころか、100以上の市民団体が選挙を「実施しないよう要請」しているという記事がこちらです。
(ウクルインフォルムを引用することに対してはしばしばご批判の声をいただきますが、ウクライナの状況をきちんと理解するにあたって欠かせないメディアと考えています)

この記事によれば、市民団体側はむしろ国際社会が戦争の終結に協力し、ウクライナで選挙が正常に行われる日が来るよう支援して欲しい、と呼びかけているんですね。

ウクライナ側も、なにも選挙を「やりたくない」わけではなく、選挙を行えないのは望ましくない状況であることを理解しています。
同時に、ロシアがこの状況を、「選挙も実施出来ない半人前の民主主義であるウクライナ」というプロパガンダを流していることを問題視しています。

23日の「報道1930」では、こうした諸問題についてお話ししたいと思います。

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