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Yahoo!エキスパートコメント一気に4本

「最近、なにか忘れている気がして仕方ないんだけど、なんだろう…」としばらく気になっていたのですが、ようやく思い出しました。
私、Yahoo!の「エキスパート」という、Yahoo!のヨーロッパ関連記事に専門家コメントを書かせていただく仕事をさせていただいていたのでした。

しかし、4月以降のドタバタですっかり更新を忘れており、4月のコメントは僅か1件…。これでは仕事をいただいている身としてはあまりに失礼なので、今後はもう少し頻繁にコメントを書こうと心に決めたのでした。

たまたまGW中に、コメントしたくなる記事が沢山掲載されていたので、一気に4本まとめてコメント。いや、こういうムラっけはあまり良くないのですが、物事には勢いも必要であります。

①「ロシア内務省 ウクライナ・ゼレンスキー大統領を指名手配」
https://news.yahoo.co.jp/articles/797acc22b321112a792b4bee76e84ed6054839d5

・・・あまり日本ではそこまで大きく取り扱われなかったように感じており、心配する必要もなかったかもしれませんが、ウクライナが行き詰まっている今、こうしたニュースも安易に「どっちもどっち」論に利用されてしまう恐れもあるのではと思い、プーチン大統領へのICCの逮捕状と、今回のロシア内務省のゼレンスキー大統領への逮捕状の基本的・決定的な違いについて書いておきました。

②「ロシア、対ウクライナで攻勢 強気の姿勢と交渉示唆で揺さぶりも」
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e521ff50032b21f3dd355db06da4064f47c294c

・・・こちらは、基本を確認させてくれる良記事だと判断して紹介しました。ロシアによる「停戦」発言はウクライナおよび西側諸国に対する揺さぶりだと見なす方がよい、というポイントと、ロシアの国際政治学者のトレーニン先生は今ではロシアの現政権の意向を拡散する役割を担っているので、その言葉通りに受け取るのは要注意、というポイントです。

③「中国の習近平主席が欧州3カ国訪問開始 5年ぶり訪欧でマクロン仏大統領らと会談へ」

・・・こちらは、すでにTV等では何度もお話ししていることですが、大事なことなので確認しておきたくてコメント。
今年に入って中国が欧州に外交攻勢をかけているのは、実際に欧州と中国とのあいだに多くの問題(欧州と中国の貿易不均衡や中国によるEVやソーラーパネルへの補助金問題、新疆ウイグル自治区の強制労働問題等)があるからには違いないのですが、ロシアによるウクライナ侵略を背景に、中国側が「米欧離反」を真剣に狙っており、可能な限り欧州の対中批判を封じ込めたい(米中が対立した際、欧州を米国に加担させない)、という意向があります。

ただ、本日予定されている習近平・マクロン会談では、マクロン大統領が経済問題とウクライナ問題を巡って習近平国家主席に厳しい見解を伝えるとの見通しも出ており、報道から眼が離せません。

④「『完全に失敗』の対ロシア制裁に、新たな手段 中国経由の抜け道封じに一定の成果、さらなる課題も」

・・・今回コメントした最後はこの記事。
中国の銀行がロシアとの取引を打ち切っているという報道があってから、この話はずっと気になっており、詳しそうな人に教えていただいたりしていたのですが、47NEWSから3ページにもわたる詳しめの記事が出ていたのでご紹介しました。

2月には朝日新聞からこのような記事が出ていまして、とても気になっていたのですが、

(余談ですが、上記のYahoo!の記事と朝日の記事、見出し画像がほぼ同じで紛らわしいですね・・・)

上記の朝日新聞の記事のベースとなったのかどうかはわからないまでも、2月に次々とロシアとの取引を停止した中国の主要銀行の具体名を含めた情報と、米国からの二次制裁を恐れてようやく中国がロシアとの経済関係を控えはじめたことを示していたのが、以下のウィルソン・センターのブログだったようです。気になりつつ多忙にかまけてなかなか探し出せていませんでしたが、今回ようやく見つけました。

中国としては米国による二次制裁の恐れだけではなく、自国の経済が低調気味であることもあり、今後はこれまでのようにロシアとの協力を進められる状況にない、このため中国との経済関係を米欧諸国のそれに「取って代わらせようとする」ロシアの試みは成功が覚束なくなりつつある・・・という分析でした。

中国がロシア経済の下支えを縮小させることは、ロシアの継戦能力を可能な限り削ぎたい欧州にとっては非常に重要です。その点、中国への二次制裁の恐れは中国に対ロシア協力をやめさせるうえで有益である可能性がある・・・というのが、上記47NEWSとウィルソン・センターのブログの趣旨ですが、そのわりにEUの中国への企業制裁の広がりは鈍いのが問題点です。

とはいえEU側も問題は自覚しており、中国企業への二次制裁はもう少し広げていくべき、という議論もあるようですが、実はあと2ヶ月でEU議長国がバリバリの親中国ハンガリーになると言うこともあり、2024年中はあまり実効的な二次制裁を進められる状況にはない可能性もあります。

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