外為市場における取引日に関するメモ:5月2日の介入との関係

先週は為替介入が日本時間の5月2日の早朝(未明)に実施されたということで市場で大きな話題になりましたが、その際、早朝に介入が疑われ、その日の夕方には為替介入の有無・その規模が算出されました。そのメモは下記で記載しました。
5月2日の朝に3.5兆円程度の為替介入か|服部孝洋(東京大学) (note.com)

上記のnoteで記載したロジックは、2営業日後に、日銀当座の財政等要因に反映されることを利用しているわけですが、為替市場は24時間開いているため、取引日をどのように定義するのか、という疑問があります。

これは私は共著者に教えてもらって知ったのですが、為替はニューヨーク時間の17時を基準に取引日が変わるという商慣行のようです。恥ずかしながら私はこのことを初めて知ったのですが、為替市場の実務家の中では皆当然のように知っているということでした。

ニューヨーク時間の17時ということは、サマータイムを考慮すると日本時間の朝6時ということだとおもいます。したがって、5月2日の早朝(未明)に実施が疑われた為替介入取引の決済日は5月1日という扱いになり、その2営業日後である5月7日分の「財政等要因」の日銀予想がその日の午後6時頃に公表され、介入の規模が推定できるという流れになったわけですね。

ネットでこのファクトを探したところ、下記のようにクイックにおける為替ディーラーのインタビュー記事が見つかりました。この記事でも「この認識は意外に浸透しておらず」としており、私以外にも知らなかったという人も少なくないのではと思っています。

外為市場ではニューヨーク時間17時に取引日が変わります。東京時間24時で日本の日付が変わっても、ニューヨークはまだ前日ですので、取引日も前日のままです。この認識は意外に浸透しておらず、取引日から2営業日後の受渡日やノックアウト等のイベントが発生したかどうかを判断する際に認識の齟齬が発生しますのでご注意ください。

為替ディーラーの1日に密着 | QUICK

これ以外にも複数の書籍をみたのですが、私の見た範囲では記載がなされているものを見つけられませんでした。もし今後記載が見つかれば下記に追記しようとおもいますが、この辺りについて記載がある書籍や論文等があればご指摘いただければ助かります。

ちなみに、BloombergでUSDJPY Curncy FX24<Go>で、東京、ロンドン、ニューヨークのスタートとエンド時間で区切ったチャートがみれます。下記のようなチャートです。

上記は5月3日ですが、5月1日をみると(下記の左側)、ニューヨーク時間(オレンジ)のエンドのギリギリで為替が大きく円高になっていることがわかります。

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