「オルカン」という表現が流行した時期や理由に関するメモ

今回は自分自身への簡単なメモです。今、「インデックス・ファンド革命」という書籍の書評を書いていて、いわゆる「オルカン」という表現がいつから普及しはじめたのかな、と感じました(気づいたら一気に流行していたという印象です)。

「オルカン」については、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」というインデックスをトラックするインデックス・ファンドを想像されるかもしれません。もっとも、「オルカン」というと、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という商品を指すことがほとんどだと思います(下記はその一例です)。

オルカンとは、投資信託の銘柄名「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称で、全世界(日本を含む先進国・新興国)の株式を主要投資対象としています。

オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)とは?初心者におすすめの投資手法を紹介 | マネックス証券 (monex.co.jp)

この背景には、三菱UFJアセットマネジメントが商標登録をしていることがありますが、そもそも、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」が単一市場のインデックスじゃない分、低コストに抑えてトラックするのが相対的に難しい中、eMAXISのオルカンは低コストを何年間もそれを維持してきたという意味で定評があったということも指摘できると思います。

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という商品はそれほど歴史が長いわけではなく、2018年10月に設定された商品です(「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」はそれ以前よりあるインデックスです)。下記が残高ですが、近年になり急速に伸びているということがわかります。

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/253425/253425_202403.pdf?_gl=1*qiuvsm*_ga*NDMwMzg2MjMyLjE3MTA4MDk1MzU.*_ga_3ZNV996Y9H*MTcxMzcwMzQyNi40LjEuMTcxMzcwMzUxNi41OC4wLjA.&_fsi=Zz5lsK4A

下記がグーグルトレンドの推移になりますが、この1年ちょっとで爆発的に検索されるようになってきているということが分かります。すなわち、「オルカン」という表現はここ数年で普及した表現なのだとおもいます。

実際の流入額をみると、今年になり爆発的に増えており、上記のトレンド変化と整合性があるとみることもできます。


なぜ「オルカン」という表現が爆発的に増えたかについて、よく言われることは、NISAの受け皿になったという側面が大きいことです。ただ、下記で指摘されているように、タイミング的に円安が重なり、利益が上がりやすく普及した、ということに加え、2022年に商標登録がなされ、金融機関によるマーケティングが本格化したという点も見逃せない事実だとおもいます。後藤さんの「投資の教科書」でも「オルカン」という表現が使われていたのを覚えています。

私個人は、「オルカン」という表現は置いておき、NISAを契機に低コストのインデックス商品の認知が爆発的に増えたということに関心をもっています。何も考えず低コストのインデックスというトレンドを皮肉に見る意見もありますが、実体として、私の周りの実務家のほとんどは、低コストであるインデックスファンドを選ぶ中、金融機関の窓口では必ずしも低コストファンドが推奨されないという現実がありました。これがNISAを契機に、インデックスファンドが爆発的に一般的に普及したのであれば、NISAがもたらした金融教育の効果として看過できないかなと感じています(その観点で私は特に注目をしています)。

ちなみに、パッシブ・ファンドにおいても運用会社の努力も看過できず、その詳細を知りたい場合は下記の記事が参考になります。

新NISA、オルカン運用部隊の1日 コスト圧縮へあの手この手 追跡オルカン(上) - 日本経済新聞 (nikkei.com)

今日は雑感になりましたが、必要に応じて加筆・修正します。


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