見出し画像

今週の読書録

こんにちは。
GWに向けて一足早く部屋の片づけを始めたところ、ついつい読書タイムに切り替わり中断する週末を過ごしました。

今週は女性作家さんの書籍4冊を読了。
様々な環境にあっても、おかれた環境でもう少し頑張ってみようかなと思える作品は、長期休暇のおともにいかがでしょうか?

ボタニカ

朝井まかてさんの『ボタニカ』は、2023年朝ドラの主人公として注目の牧野富太郎にまつわる作品です。

植物学者として有能な牧野富太郎は、研究以外では際立ったダメ人間だった?!
頭はよくても社会性は皆無で金遣いは荒い。
家業を支えてくれている郷里の妻をないがしろにして、東京で若い妾を囲い、勝手気ままに研究に邁進する。

何とかと天才は紙一重を地でいく、変人っぷりはいっそ清々しいほど。
多額の借金、浮気、大学に出禁になるほど空気の読めない言動…今でいうダメンズどころか、周囲にいれば相当迷惑な人間に違いない。
周囲の人に妬まれることもありながらも、なぜか後援者にも恵まれるのは天のめぐりあわせか?

家業を傾ける程熱中し、後世に名を残した牧野富太郎の生涯は創作の題材にもピッタリ。
朝井さんの森類を描いた作品とも重なる丁寧な人物描写が読み応えのある一冊です。

コスメの王様

高殿円さんの『コスメの王様』は、産経新聞連載時から気になっていた作品です。
書籍化して真っ先に手に取りましたが、味わいのある装丁にも注目。
作中でも登場する洗顔粉のパッケージを彷彿させる表紙は、レトロ可愛いデザイン。

明治・大正・昭和の激動期を、「真心」の製品作りと斬新な宣伝手法を武器に乗り切り、大阪で100年を超える会社を創業した“東洋の化粧品王”と呼ばれた男の一代記!

クラブコスメチックの創業者をモデルにしたフィクションには、二人の主人公が登場します。
大切な人たちに喜んでもらえる自身も納得できる商品に並々ならぬ意欲を燃やす利一、幼馴染で利一のピンチや迷っている時には何かと手を差し伸べ続けるハナ。
激動の時代を力強く、しなやかに生きていく二人の姿は、深い関係にならなかったからこその独特な透明感と距離感が漂います。

働く人たちのひたむきさが伝わり読むと元気になれる気がするのが、私が高殿さん作品を好きな理由です。

派遣社員あすみの家計簿3

青木佑子さんの『派遣社員あすみの家計簿』シリーズは、早くも3冊目が登場。
実は発売時期を逃しており、今月になってようやく手にしました。

あすみちゃんが派遣社員でなくなってしまうとタイトル変更の危機?!
一見するとゆるふわ女子のようですが、実はプロ派遣のあすみちゃん。
今作でも恋に仕事に毎日頑張ります。

前作までとは異なり、節約生活色は薄くなり、家計簿ページも日記の延長のような感じに。
手軽に読めるのでGW期間中のリフレッシュタイムにもいかがでしょうか?

金木犀とメテオラ

安壇 美緒さんの『金木犀とメテオラ』は、北海道の女子高に通う中高生が主人公のお話です。
本を整理していたところ、数年前に購入していた単行本を発見。

数年前の単行本読了時、メテオラとは何だろう?と調べた記憶があります。
メテオラとは、ギリシア語で「中空に浮かぶ」ことを語源とされる言葉で、岩山の頂きに建つ修道院なのだとか。
多くの登場人物が親元を離れて、寮生活を送る築山地域。
多感な年代の少女たちそれぞれの心境や願いを連想させる言葉だと思った記憶があります。

本来、育たぬはずの北の大地に根付き、花開かせる金木犀。
奇跡って意外と多く起きるという言葉は、閉じた世界で苦しむ少女たちの心に一筋の希望の光を灯すきっかけに。

クラスメイトとの放課後の買い物、高校生活最後の合唱コンクールなど、自身の学生生活にも重なることがあり、久しぶりに読んだ後はしばらく高校時代の夢を見る日が続きました。

今年発売された文庫本では、スピンオフ短編も収録されているとのことなので、改めて文庫本も購入しようか迷っています。
また、来月には安壇さんの新作も発売になるようでこちらも気になっています。


この記事が参加している募集

読書感想文

休日のすごし方

サポートして頂けると嬉しいです。あなたの応援が励みになります♪