ツアーで行くときはもちろん、一人で行くときは必ず、「交通スーツ」という人のYouTubeで予習してから、旅行をするようにしている。そうするとYouTubeの運営の方から、頼んでないのに、勝手にいろんな旅行コンテンツを紹介してきてくれる。お陰で、いろんな角度から旅行の予習が出来るし、準備がしやすくなる。どのコンテンツもすごく良く出来てるし、無料だし、感謝しかない。行きたい神社や場所について5本ほど予習すると、行った気分になったりする。でも、姫神様たちは「行かなくていい」とは言ってくれないので、その場に足を運ぶことになる。実際に行ってみると、予想していたのと全然違う。情報は正確だったし、道順などは参考になった。むしろ観光案内としては100点満点だ。しかし、行くと、必ず新たな発見がある。画像からは分からなかったことが分かる。特に施されてる呪術は実際に行ってみないと分からない。どうしても画像では見えない。匂いとか明るさとかは画面越しには分からない。もちろん今後もコンテンツにはお世話になります。今後とも、皆様にアップして頂くと助かるなと思っています。

 取引先の人が暑気払いに飯倉のキャンティに連れて行ってくれることになった。三島由紀夫なども足繁く通っていたという名店だ。六本木で待ち合わせして細い道に入る。せっかくだから夏越しの祓えに参加していくとのこと。普通に歩いていたら絶対見逃すような朝日神社。織田信長の室の朝日姫が広尾の辺りを通りかかったときに見つけた観音を祀ったのが始まりといわれている。こじんまりとした良い神社だ。本殿の前に並んだ簡易な椅子に腰かけて儀式を拝見する。場所柄なのだろうか、襟の抜けた、着物を着慣れた美人がわんさかいる。夕方とはいえ、夏だ。暑い。蚊も来る。結構来る。でも、せっかく祝詞をあげて下さっているのに、動けない。やっと祝詞が終わり、封印されていた茅の輪の封印が解かれ、参列者が順番に配られた紙に書いてある祝詞を唱えながら回っていく。レストランに行くのでお洒落して露出の多い服だったので、蚊に刺されまくる。でも、姫神様たちはとても喜んでいる。かなり強力に浄化されるとのこと。こっちは痒くて煩悩でいっぱいです。やっとの思いで茅の輪くぐりを終え、キャンティに向かう。
 これも普通に歩いていたら見逃しそうなお店。思っていたよりかなり地味。中は階段を登ったり降りたり、不思議な作り。一番奥?の洞窟みたいな部屋で食事をする。いちいち選択肢を示されて、5品のうち2品を選ぶくらいの選択をし続ける。ちょっとメンドクサイ。どれも確かに美味しい。周りを見渡すとブランド物は持ってないが、絶対お金持ちだと分かる人達が沢山居る。最後のデザートは全部、食べてもいいと思うくらい、美味しそうなものがあったが、3品までと言われて苦渋の選択をする。今日、食べれなかったのを、また食べるために訪れるのかもしれない。私は、もう行かない。お呼びでない。大人の時間を楽しませてもらった。オトタチバナヒメ様はとてもご機嫌。こういうのがお好きなのかもしれない。
 茶会に行くと殆どが女性なので女性特有の世界がある。朝日神社で見たような襟の抜けた、着物の着方をするのは、お茶席では好まれない。そんな着付けをしていようもんなら、小声で
「あの方は粋だから」
と言われる。最初は誉めてるのかと思った。「粋」というのは誉め言葉なように思う。茶道の習わしというか、私が所属していた、その世界のルールだったのかもしれないが、その時は、ある女性が「粋」という言葉のターゲットになっていた。もともと水商売をしていて、大金持ちの後妻になったとのこと。どれほどの着物を着ても、道具を揃えても、彼女は「粋」とだけ言われて仲間に入れてもらえることはない。そのことを知ったとき、冷や水を浴びせられてような気がして、それ以降、少し茶道から足が遠のいてしまった。姫神様たちは、そんなもんです、と気にも留めてくれないが、私のつまらない、些細な正義感が、違和感を持たせる。


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