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弁えてます

小さい頃から罪悪感があった。
「自分はなんてダメなんだろう」

好きな人には告白出来なかった。タイムスリップしたとしても告白しないだろう。それは弁えていたからだ。
顔がブサイクだと自覚していた。自分と話す時と、クラスの美形と話す時とでは、表情の緩み方が違った。明らかにメスの顔をしていたのだ。

教師とだって喋りたくなかった。後ろめたいから。
そして期待されるのも嫌だった。能力もないのに。

表舞台の芸能人ではなく、裏方の漫画家を目指したのは、容姿に自信が無かったから。
かつあまり人には言いふらさなかった。
これもやはり弁えていたからだ。漫画家って暗いし。

そして同級生とプライベートで会っても単体では喋らなかった。というかそもそもマスクをしてコソコソ街に出ていた。後ろめたかったから。

仕事も真面目にやっていた。
無能だと思っていたからだ。
波風を立てたくなかったし、なにより忠実でありたかった。でもやっぱりプライベートで同僚や上司には会いたくなかった。後ろめたかったから。
対等な関係にはなれないと、最初から下につくのだ。
猿はマウンティングという行為をするが、される側もそれを望んでやっている。マウントを取る側が取ろうとする前に、取られる側の猿は尻を向けるのだ。

大人になっても変わらなかった。仕事が出来ないから、謙虚にしていた。
空気も読みますし、自分が無能で社会的なゴミであることは弁えてますから、石投げんといて下さいな。

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