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【学級通信】これは、誰の仕事?

予測が困難な時代において、「自分で考え」「自分で決めて」「自分から行動し」「成長のために自身の在り方を問い続ける」自律・自立した人が増える社会づくりに貢献する

ことを活動理念として、大人の学び合う機会を創るために教員を19年で終えました、内藤正臣です。
以前担任していた保護者さんが自身の活動の価値を感じてくださり、幼稚園の先生方への研修を私に依頼してくださいました。大変有り難いことです。出会った方にしっかりと「価値」を提供できるように日頃から学びをブラッシュアップしていきたいです。

さて、学級通信シリーズです。
今回は、「誰がやるか決まっていない仕事は誰がやるんだろう?」をテーマにした内容です。
学校や社会には、役割が決まっていない仕事があふれていると思います。でもそれは、どこかで誰かがやっているからこそ、回っているんだろうなと思います。

今回はそんなお話です。
では、以下学級通信です。どうぞ!!


~アンサング・ヒーロー~

クラスには、人知れず皆のために動いている人がたくさんいます。
日頃の学級生活様子で、思いつくままにいくつか挙げてみたいと思います。

☆給食の牛乳パックの片付けが乱れているのを見つけて、そっと揃えているAさん。
☆英語の時間の前に、皆の教科書やファイルをサッと配っているNさんやOさん。
☆音楽の前に、全員分の鍵盤ハーモニカを学習室から教室までわざわざ運んでくれるMさんやHさん。
☆移動教室で、防災頭巾を持って行き忘れた子のために、それを持っていってあげるCさん。

☆さようならのあいさつの後、算数で居残りしている子のために、マンツーマンで教えているAさん。
☆給食のおかずが足りなくなった時、すぐに反応し、量が多い子から集めようと動くFさん。
☆テストを出す時、用紙が乱れているのに気がついてそれを整えているYさんやEさん。
☆学級委員の影で、着席や帰りのしたくの呼びかけをしているRさん。
☆図工の版画の机用意を進んで行ったり、授業後の板を運んだりするKさんやGさん。
☆床に落ちている図工の削りカスを、人の分まで掃いて集めているUさん。
☆みんながほとんど帰った教室の机を、こっそり整頓しているDさん。
☆さようならの後、背面黒板の係札を全員分裏返して明日使えるようにしているWさん。


子どものこれらの行いは、決して褒められたくてしているわけではないのだと思います。
なぜならば、上に書いたような行動をしている子どもたちと、私の目が合うことはないからです。
私に「アピール」している訳ではないのです。

きっと、その行動の力の源は、「みんなの役に立ちたい」「だれかが喜んでくれたら嬉しい」「クラスの一員として何かできることはないか」というような思いなのではないでしょうか。

こういう子たちを「アンサング・ヒーロー(unsung hero)」と言います。「その功績が歌に歌われて、称えられることのない英雄」という意味です。
クラスは、そんな目立つことのないヒーローの動きによって支えられています。

日本のフランス文学者である内田樹さんは、アンサング・ヒーローについてこう言っています。

「アンサング・ヒーロー」たちは、たぶん自分たちの英雄的行為を、なにげなく、特に「こういうことをすれば、これこれの結果が導かれるかもしれない」というような予測もせずに、ごく日常的なふるまいとして行ったのではないか。
「アンサング・ヒーロー」とはどういう人か。それは、

誰かがしなければいけないことがあったら、それは自分の仕事だというふうに考える人

のことです。誰かが余計な責任を引き受けたり、余計な仕事を片付けたりしないといけないなら、自分がやる。そういうふうに普段から考えている人。そういう人は高い確率で「その功績を歌われることのない英雄」になります。


クラスの中には、溢れるほど「誰がやるかなんて決まっていないこと」があります。そんな、生活の隙間を多くの子が互いに気を利かせながら埋めてくれていることで、クラスの学級生活は笑顔に包まれています。

子どもたちに感謝です。


以上、学級通信でした。
これらアンサング・ヒーローたちの行為は、その素地に「非認知能力」が備わっていることが大きいのではないかと思います。
「感じること」「動くこと」「考えること」・・・まさに、これからの社会で必要な感性ではないでしょうか。
私も、最近始めたことがあります。
それは朝の散歩の時に通る公園や道路で見かけるゴミを拾うことです。
それほど人間ができていないので、「ゴミを拾って住みやすい街作りを!」というレベルでは決してありません。
「誰が捨てたか分からないゴミを拾うのは、自分の仕事だ」という「感性」を養うためです。要は、私にとっての修行です。
私には慣れないことなので、なかなか意識しないとできませんが、そのうち無意識でもできるようになると、非認知能力が上がるかな?と、思っています。

今回も、お読みいただいた皆様に感謝します!!
皆様のコメント、お待ちしています。

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