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VPoE、育休を取る

メリークリスマス!グロービス VPoE の末永(@sue738)です。こちらはグロービスアドベントカレンダー25日目の記事です。今年もたくさんのグロービスの開発組織の様子が伝わる記事が出てきました。執筆いただいた皆さん、お疲れ様でした。

タイトルにもある通り、私ごとで恐縮ですが、11月に第三子が生まれて実は現在育休期間中です。そして5歳と2歳の上の子達に加えて0歳児が加入したことで我が家はてんやわんやです。せっかくなので、開発組織のトップとして育休を取ろうと思った背景、組織として育休が取れる状態がどうなっているのか、育休をとってみてどうだったかについて記事を書きたいと思います。

男性の育休というものも数年前から比べるとだいぶ世の中にも広まってきている雰囲気を感じますが、まだ取りづらいという企業もあると思います。少しでも参考になりましたら幸いです。

まずグロービスと私について

グロービスでは開発組織が100名を超える規模になってきています。私はグロービスの1人目のエンジニアとして入社をし、GLOBIS 学び放題の立ち上げから関わり、組織拡大を進め、現在ではVPoEという形で開発組織全体のリーダーシップをとっています。

以下はピッチ資料にもある現在の組織構成です。

キーワードは1人目のエンジニアで一番社歴が長いエンジニアであること、立場的にも開発組織のリーダーをずっとやってきている、そしてそこそこの規模にもなってきている、ということですね。気づかぬうちの属人性、暗黙知が生まれてしまっている匂いがぷんぷんします。
(早々にプロダクトは任せたりと極力権限委譲して任せてきたつもりですよ。それでも気づかない暗黙知はあると思ってます。どの組織にも。)

なぜ育休を取ろうと思ったのか

この問いから既に愚問な気もしますが、1人目、2人目の出産時は育休を取りませんでした(反省)。妻の実家も比較的近くにあることなど考えてのことでしたが、やはり1人目、2人目を経験して大変なのと、もっと子供や家族、私自身と向き合いたいという気持ちが強く、3人目の時には育休を取ろうと最初から決めていました。

それもありますが、グロービスの開発組織ができ上がってからずっと開発組織のリードを取っていたので、組織やチームにとっても私がいない状態を一時的に作るということにも価値があると思っていました。

  • メンバーのみんなにもっと思い切って任せてみたい

  • 機会創出も含めてリーダーシップの代理をお願いしたい

  • 自分がいないことで、意識的にも無意識的にも属人化してしまっていることを発見したい

一種のカオスエンジニアリングに近い考え方でもあります。組織もシステムと見ることができますが、トップがいなくても十分に価値を出し続ける組織というのは堅牢性が高いです。この機会を通して組織として脆弱になっている部分の発見にもしっかりなると考えました。

おそらく育休という機会を作らずとも任せていくことはできると思いますし、してきたつもりでもあります。でもやっぱり「いる」状態と「いない」状態では全然違うもの。
経営会議といった重要な意思決定会議にも代理としてEngineering Managerの方に出てもらったり、育休期間中の重要な戦略会議にも私は出ずに他のメンバーに出てもらうことにしました。

しっかりとこういった場、「打席に立つ」という機会を意識的に作っていくことが今後の組織拡大においては非常に重要になると考えています。ここまで組織もスケールしてきましたが、より高いスケーリングを達成するためには、次のリーダーシップが特に重要です。ここを育てていくためにも、しっかりと機会創出をしていくことが特に重要だと考えています。

育休が取りやすい仕組みがあるグロービスの組織

開発のトップが休みを取ることで組織が回っていく状態か?というのが気になるところだと思いますが、もともとグロービスが持っていた企業文化、そしてスクラムを中心とするチームファースト、顧客ファーストな動き、チームが横でつながり、定量的にも透明化が進んできたことで安心して開発トップとしても休みが取れる状態は作れてきたと感じています。

特にグロービスの考えで好きな言葉の一つに以下があります。

「Management by Order」ではなく「Management by Value」

命令(Order)によるマネジメントではなく、価値観(Value)によりマネジメントをしなさい、ということですね。命令によるマネジメントであればトップがいないというのは指揮命令が混乱をします。そうではなくて、共有した価値観、バリューをによってマネジメントをしなさい、ということを謳っています。グロービスでは個の主体性を特に重要視しています。

目標設定においても、リーダーからの伝達ではなくチームがOKRを決め、それを元に個々人がまず最初に自分で目標を立てていきます。決してヒエラルキー的に目標が降りてくる、ということはありません。
1on1なども行っていますが、それは上長のためではなく、メンバーのための時間。上長のための進捗管理のための時間ではなくメンバーがアジェンダを用意して自身の課題解決、認識のアップデートのための時間として使います。

難しいマネジメント体制を取っているとは思いますが、それが合うメンバーが集まっていますし、それをサポートする仕組みを作ってきています。根本としてヒエラルキー型なのか、個を前面に押し出すのかで堅牢性、人が1人欠けた際の安心感は全く違うものになると思います。

育休をとってみて感じたこと

育休を取る前はある意味忙殺されていました。特に育休開始の前日は丸1日MTGで潰れました。でもいざ育休をとってみると、案外何ともないんですよね。嵐が過ぎ去って急に静かになる感覚がありました(すぐに育児という別の台風が猛威を振るいましたが)。

  • 自分がやらなくても良いことはもっとある

  • 1日の時間はゆっくり流れるようにも早く流れるようにもできる

  • 俯瞰して全体戦略、配置をどうするのかがキーになる

比較的当たり前と言ってしまえばそうなのですが、忙しい日々を過ごしていたので、目の前のことに注視しすぎていたな、というのが反省としては強くありました。slackのようなチャットツールができてしまったので、来たボールを打ち返すようなことに時間を取られていたことも感じました。任せても問題がないことも見えてきました。基準を作ってもっと任せられることもあると考えることができました。

時間は作ればしっかりとあります。忙しくしてしまえばすぐに過ぎ去ってしまうものにもなります。俯瞰して、何に自分の時間、リソースを割くべきなのか。目指す「大きな」目標に対して足りないピースは何なのか、それを考えさせられる時間でした。

世の中のトップリーダーの皆さんに育休、長期の休暇おすすめです。スティーブジョブス含め、世の中のトップリーダーは病気などで長期休暇をとった後に大ブレイクしている方も多いです。

最後に

今回育休をもらうことに親身に協力をしてくれたメンバーの皆さん、不在中に頑張ってくれた皆さんにとても感謝をしています。ありがとうございました。

育休の相談をメンバーにしたところ、

  • 「末永さんが育休に専念できるように頑張りますよ!」

  • 「(最終日に)明日からslackの通知はオフにしてくださいね!」

といったコメントをもらいました。本当に嬉しかったですしとても頼もしかったです。

グロービスには1に個人の健康、2に家族、そして仕事はその次にしなさい、という優先順位の考え方があります。しっかりとメンバーの皆さんにも浸透していることを感じました。

今回私が育休を取りましたので、メンバーの皆さんが育休を取る際にもしっかり後押しをしていきたいと思います。ゆっくりと自分を振り返りつつ、子供の成長を見れるとても良い機会ですよ。

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