見出し画像

キャリアと家庭の両立に奮闘。母親キャピタリストが実践する、GBでの働き方

グローバル・ブレイン(GB)で情報発信を担当している岡本です。

2024年3月現在、GBには11名の女性キャピタリストが在籍していますが、そのうちの1人であるPartnerの坂本祥子さんは、出産を経て育児をしながらキャリアを積んでいます。そんな坂本さんに、GBでの働き方について、産休や育休の経験も含めて話を聞きました。


「新しい価値創出」の虜になり、VCの世界へ

──入社の経緯を教えてください。

GBに入る前はNTTドコモや楽天に勤めており、楽天では楽天モバイル事業の立ち上げ期から5年間、マーケティングやサービス企画に従事していました。

楽天モバイルで行っていたのは、立ち上げからMVNOシェアナンバーワンまでの急成長フェーズでの、サービス戦略や料金プラン、各種施策の策定実行などです。世の中に新しい価値や習慣を提供できていること、業界構造を変革できていることにとても充実感があり、今後も世の中に新しい価値提供がし続けられる仕事をしたいと考えていて。そんなとき転職エージェントで働いていた知人から「それならVCで働くのもいいのでは?」と言われたのがきっかけでVCに関心を持ちました。

スタートアップがこれまでになかったビジネスを創出し、新しい価値や習慣を生み出すために必要な資金を用意して伴走するというVCの仕事は、まさにその思いを叶えられるものだと考えました。また、VCの中でもCVCを多く運営しているGBなら、事業会社での経験がより活かせると感じて入社を決意したんです。

坂本 祥子:スタートアップ投資を通じて人々の生活に新しい習慣や価値観を生みたいという思いで、ソーシング、投資実行、投資後支援、オープンイノベーション推進など一連のキャピタリスト業務に従事。産業構造や生活様式の変革を促す幅広い領域のスタートアップへ投資を行う。

──実際に、前職の経験が活きていると感じることはありますか?

そうですね、スタートアップの投資検討では、新規事業を始める時の考え方が活きてると思います。新規事業は何もないところからの立ち上げなので、やりたいサービスや施策がたくさん出てくるものです。それを闇雲にやるのではなく、市場環境や競合の動き、費用対効果を見ながら、何をどの順番で実行していくかを決め、マーケティングや開発など様々なチームを巻き込んで実行していく必要があります。

この「外部環境やリスク/リターンを鑑みて意思決定し、ステークホルダーを巻き込んでいく」流れは、抽象度を上げるとほとんどキャピタリストの業務と一緒です。投資をする対象がサービスか会社かの違いはあるものの、共通点が多いので過去の経験が活きていると感じます。

また、スタートアップと大企業両方の視点を知っていることも役立っている経験の1つです。

初期の楽天モバイルは本当に小さな組織で、ものすごいスピードで状況が変わっていくスタートアップ的な環境でした。一方で、NTTドコモや楽天グループを横断的に見るマーケティング部門にいた経験もあり、大企業が価値を置くところや社内で物事を進めるために気にしていることも理解しています。

GBではスタートアップだけでなく、LP(Limited Partner:ファンドの出資者)である大企業の方とも関わりが多く、両者の間に入って協業を繋ぐ役割も担います。そういった際に両者の視点を持ち、双方にとって良い連携策を提案できるのは大きいですね。

──キャピタリストとして、どのようなスタートアップを支援したいと思っていますか?

特に領域は絞らず、toCスタートアップを中心に幅広く投資させてもらっています。強いて言えば、衣食住やインフラなど、人の生活に欠かせない部分に新しい価値をもたらす企業を応援したいです。

この思いは1社目にNTTドコモを選んだ頃から変わっていません。学生時代におサイフケータイが登場したんですが、小銭を持ち歩いていた人たちの習慣が一気に変わったのを目の当たりにして。テクノロジーで生活が効率化してより良くなることにすごく魅力を感じたんです。そのときの気持ちが、いまのキャピタリストとしてのモチベーションにもつながっていますね。

産後1度復職してからの育休へ

──産休と育休を取られていましたが、そのときのことを教えていただけますか?

産前休業+生後8週間の産後休業の後に復職をしました。キャリアのブランクをなるべく短くできればと思っての復職でしたが、その後、夫の仕事の都合で家族でアメリカに移住せざるを得なくなってしまって。そのため、そのタイミングから改めて育児休業を取った形です。

アメリカに居住する期間も休まずリモートで働きたいという思いもあったのですが、キャピタリストは投資先の緊急時に迅速な対応が求められる一方、時差の関係で日本のスタートアップの支援が十分にできずに逆に迷惑をかけてしまう懸念があり、育休を取ることにしました。柔軟に対応してくれた会社や、休みの間、投資先やLPの方々の対応を引き継いでくれたGBの皆さんには感謝しかないですね。

産後1度復職してから、再度育休に入るという変則的な形での取得ができたため、仕事のブランクを最小化しながら、子供が小さいうちに家族全員で一緒に過ごすというかけがえのない時間を持つことができました。

──復職後、GBでの働き方はどう変わりましたか。

子供がいる生活になったことで以前とは異なる働き方にはなりましたが、GBのフレックス制度や、こども家庭庁の「ベビーシッター券」なども活用しながら、可能な限り効率的に仕事を進めることを心がけるようになりました。

最近は妊娠中での資金調達や、出産後に早期復職する女性起業家も増えてきました。育休を積極的に取得する男性起業家もそうですね。子育てもしっかり行いつつ、キャリアプランも実現したいと考える価値観の多様さと、それを認め合う風土がスタートアップ業界・VC業界でもさらに浸透していくといいなと思ってます。

同僚として、親として。GBメンバーとの関わり方

──いまGBのメンバーとはどのように関わりながら業務を進めていますか?

GBには専門分野を持つメンバーが多く在籍しており、皆さんの力を借りながらチームで動く場面が多いです。

たとえばキャピタリストならAI、Climate Tech、ヘルスケア、ロボティクスなど特定領域の知見を持った方がいます。新しいスタートアップと出会った際に、より解像度高くわかる人に聞けるのは心強いですね。しかも皆さんサポーティブなのでありがたいです。

法務、知財、財務などの専門家もおり、その面で助けられるシーンもあります。たとえば以前、LP企業が投資したあるスタートアップと協業を行ったときの話です。

LP側とスタートアップ側で協業のビジョンがなかなか一致しなかったので法務のメンバーに協力してもらい、リーガルの観点で各社の協業ビジョンがもたらすリスクを挙げてもらいました。「ここまで行うと上場時にリスクがある」など、法務観点での事実を揃えて着地点を見出したんです。

こういったアプローチは1人では到底できません。交渉の材料を専門家からもらえる環境があるのはGBの特徴の1つですね。

──たしかにそういった点はGBの強みですよね。ちなみに仕事以外の部分だとどうでしょう。たとえば子育てに関してGBメンバーと話すことはありますか?

たまにしてますね。いま私の子供は2歳の「イヤイヤ期」を迎えていて日々育児に奮闘しているんですが、先日同じく子持ちのメンバーから「2歳、難しい年頃ですよね」と励ましてもらって。「3歳になれば親からの『交渉』ができるようになるのでもう少しの辛抱です」とも言ってもらいました。

使わなかった子供服やベビーフードをたくさん譲ってくれたメンバーもいて、本当に助かりました。さらに別のメンバーとは「子供に自転車をいつ買うべきか?」とか「子供の英語教育をどうすべきか?」みたいな相談をさせてもらったこともあります。

子供が生まれても「いい意味で変わらない」

──子育てと同様にキャリアにも重きを置いていらっしゃる坂本さんですが、ライフステージが変わって仕事で成し遂げたいことや展望に変化はありましたか。

そこはあまり変わっていません。もちろん子供の可能性を広げるような教育系のサービスに対する、親目線での解像度は高まりました。ただ基本的なスタンスは変わらず、世の中に新しい価値観や習慣を生みたい気持ちは、昔もいまも同じように持っています。

真摯に良いスタートアップへの投資や支援を継続すれば、結果的に投資先スタートアップの成功やファンドパフォーマンスの向上につながると思っているので、いい意味で変わらずキャピタリストの仕事を続けていきたいですね。

環境変化が早い中で、常に世の中が求めることや価値提供すべきことは何かに注目しながら、スタートアップを発掘していけたらと思います。先ほども話したような、人の生活の必要不可欠な部分をより良くするスタートアップと、これからもたくさん出会っていけたら嬉しいですね。


この記事が参加している募集

社員紹介

仕事について話そう