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暮れの一大事

みんな書いてるけど、『ゲット・バック』ね。ビートルズの。

『マンダロリアン』目当てですでにディズニープラスには加入していたので告知を見て「ああ、映画館じゃなくて配信でやるんだ〜」くらいの気持ちでした。正直。もちろんビートルズには多大な影響を受けているので「見れば面白いんだろうな〜」とも。でも8時間ってマジ? そんな長尺で見るほどゲット・バック・セッションって面白いのかな? そこまでマニアックじゃないおれが見て面白いのかな? と、意外と腰が重かったのが予告を見た時点での感想。

で、これがねえ…これが、びっくりするくらい面白かったです。びっくりした。すごいドキュメンタリー映画でした。噂には聞いていましたが、よくもまあこれだけの膨大な素材を残していたもんだという驚きと、それを8時間という限られた時間にまとめ上げたもんだと。つうかあらためてザ・ビートルズというバンドの魅力ね。これ。このバンドの底力。やっぱりすごかったんだ、という事実をまざまざと叩きつけられた感じ。

ちょうど配信開始時期がレコーディングと重なっていて、スタジオから帰ってきて0時過ぎ。パート1を「冒頭だけでも見てみようかなと」再生開始したのだけど止めるまもなくあっというまに2時間半。興奮しながら一気に見てしまった。翌日もレコーディングだったのでなんとかネタバレ(というのもなんというか…なんというかなんだけど)をしないように話したいのだが興奮が続いているので止めようもなく、マスクをしていなかったら確実に飛沫がバンバン飛ぶ勢いで喋ってしまったり。でまあその日も0時近くに帰宅してパート2。きりもみで分解しそうなバンドのリアルなドキュメンタリー3時間をまたも一気に見てしまい、翌日もレコーディング。で帰宅してパート3も一気に。40代で睡眠時間を削るなんて命を削るようなもんですが、それでも止められなかったです。

よく考えると30前のバンドで、世界的な成功もして、それぞれが曲を書き、自分たちがひとつの時代を作っているという明確な自覚もある…ということになるとバンドの緊張が一気に高まるのはこれはもうしょうがない。ジョンはすでに次のフェーズへヨーコと共に移行しようとしている段階だし、ジョージは確固たる個性を確立しようとしている最中。ものごとがすんなりと進むわけもないのは当然なのだけれど、それでもエンターテイメントとしてザ・ビートルズを結束させようと奮闘するポールと、口数は多くないけれどマイペースでセッションに付き合うリンゴ。ザ・ビートルズ・ヒストリーとして文章で読んで知っていた事実のひとつひとつ、それがこうやって映像で眼前に差し出されたときの、まるでタイムスリップしたようななんとも生々しい感動。このあとの解散をめぐる流れまでの一連の歴史(と呼びたい)を知っている50年後の我々が、あたかもトゥイッケナムのその場の寒々しい空気を同時に吸っているような錯覚さえ覚えるすさまじいドキュメンタリー。

というわけで人生で一度はビートルズに心動かされた方は迷わず見ることをおすすめします。ぱっとディズニープラスに加入して見終わったらぱっと解約しちゃえばいいんですよ。おまけに『マッカートニー3, 2, 1』の配信も開始しましたし、せっかくなので年末年始の時間があるときにじっくり楽しむことをおすすめします。

ぜんぜん書き足りないけどね。
この間ビバヒルメンバーで集まって8時間いっきに観たときは感想を語り合う気力もなかったけど、この12月、久しぶりにビートルズを聴きまくっていた。おおげさに思うかもしれないけど、少なくとも自分のなかでこの『ゲット・バック』以前/以降でビートルズの聴こえ方がまったく変わってしまった。そういう実感があります。なんだったら各人のソロの聴こえ方も随分変わってしまったところもある。高校生以来かな、「もしジョンが生きていたら…」という歴史のIFを真剣に考え込んでしまったのも久しぶり。

バンドって素晴らしい。心のどこかで「もういちどバンドやりたい」と「二度とバンドはやりたくない」って拮抗しますが、それでも遅々として進まないセッションの行方をハラハラしながら見ながら考えていたのはなんかそんなことです。

それはそうと、治療中の仮歯の一部が壊れてしまって、どうしたもんかと飛び込みで近所の歯医者に行ったらちゃちゃっと治してくれて、しかも「大したことないのでお代は結構です」ってマジ? こんなことあるんですね。サンタクロースはいました! けっこう近所に。ラピュタは本当にあったんだ!おしまい。



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