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アグリテックビジネスの最新トレンド、ベンチャー投資傾向を読み解く

ベンチャー企業が創り出す新市場や産業の未来を考えるヒントをお伝えする「FUNDINNO未来産業レポート」の第一弾です。

今回は「アグリテック」をテーマにお伝えしていきます。

※以下掲載のURLから遷移するWebサイトは、全てFUNDINNOのものではありません(YouTube動画を除く)。

アグリテックとは?

IoTやAI、ロボットなどの技術を活用し、農業や食料問題を解決、発展させていくためのテクノロジー分野のことです。

なぜアグリテックが注目を集めているか?

日本国内では、農家の高齢化、人手不足の課題などが深刻化しており、農林水産省を中心にスマート農業の普及に向けた取り組みが強化されています。

平成31年農業構造動態調査によると、農業従事者の平均年齢は61.9歳となっており、テクノロジーの力で産業を再設計していくことが急務となっています。

農林水産省のスマート農業実証プロジェクトレポートで、国内の取り組みの全体像を理解することができます。

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「2025年までに農業の担い手のほぼすべてがデータを活用した農業を実践」

とおかれている通り、農業分野のデジタル化を急速に進めていることが理解できます。

続いて世界に目を向けてみましょう。

人口増加、中間層の拡大により農産物の需要が1.5倍に拡大することが見込まれ、2025年には食料と水不足に直面することが予測されています。
また、世界規模での温暖化や異常気象などにより、特に発展途上国の農業に悪影響を与え、小規模農家を危機的状況に陥るケースが増えています。

そのため、社会課題解決を視野に入れた、ESG投資インパクト投資の対象としてもアグリテックベンチャーに注目が集まっています。

下記は、アグリテックのベンチャー投資額推移を表しています。徐々にアグリテック領域にも資金が流れていることがわかります。
※2020年第4四半期の数値は確定値前

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今後、市場がどのように変化していくのかを整理していきます。

拡大するアグリテックの市場規模と増えるプレイヤー

また、矢野経済研究所のレポートによると、スマート農業の国内市場規模は2026年度には501億円まで拡大する予測が出ており、今後もビジネス機会の拡大が予測されます。

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2020年にスマ農ラボより発表された、アグリテックのカオスマップは、生産支援、経営支援、販売支援の3大カテゴリーに分類されており、各カテゴリーの新規プレイヤーは年々増加しています。

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さて、市場規模の拡大が見込まれるアグリテックですが、どのようなベンチャー企業が注目を集めているのでしょうか。

農業分野の変革を本気で進めるとなると、革新的な技術と発想で切り込むベンチャー企業の存在が欠かせません。

インドのアグリテックベンチャー

農業分野における「ベンチャー投資」の流れも加速しています。
まずはインドのスタートアップ関連ニュースを紹介します。

インドではアグリテック領域のスタートアップに対する投資が盛んになってきています。

かつては見過ごされてきた、インドのアグリテック系スタートアップが、注目を集め始めている。米国時間1月19日、農家にフルスタック農業サービスを提供するオンラインプラットフォームのインド企業DeHaat(デハート)は、パンデミックにもかかわらず加速するその成長を維持するために、新しい資金調達ラウンドで3000万ドル(約31億2000万円)を調達したことを発表した。

中国のアグリテックベンチャー

国土が広く、農業にテクノロジー導入が求められるのは中国も同様です。

中国でもアグリテック領域のスタートアップに注目が集まっており、ソフトバンク・ビジョン・ファンドも投資をしています。

農業用ドローンなどを手がける中国のアグリテック企業、極飛科技は11月16日、百度資本(訳注:検索大手の百度[バイドゥ]傘下の投資ファンド)およびソフトバンク・ビジョン・ファンドが主導する投資家グループから総額12億元(約190億円)を調達したと発表した。

ノルウェーのアグリテックベンチャー

インドや中国だけではなく、アグリテック企業の代表企業は北欧にも存在します。オスロ証券取引所に上場しており、150万匹のサーモンを3名で管理。「ハイテク養殖施設」を管理SalMar ASA.は注目です。

・サケ・マス類の孵化から成育、加工、輸出(販売)を行う
・営業利益率は30%
・養殖の自動化も実施
・2018年に大型外洋養殖施設「Ocean Farm1」の運営実証に成功
・テクノロジーを活用し、運営3名のみ体制

最新アグリテックベンチャー企業は、「2030年のフード&アグリテック ―農と食の未来を変える世界の先進ビジネス70」を読んで頂くことがオススメです!

日本のアグリテックベンチャー企業

最後に、FUNDINNOで資金調達をしたベンチャー企業を紹介させていただきます。

①株式会社コーンテック

畜産と農業をITの⼒でアップデート!儲かる”畜産”の仕組みを創る「コーンテック」です。FUNDINNOでは、17,500,000円を調達しています。

解決課題
高コストが発生し続けている、“儲からない”畜産業界の現状を解決
解決方法
・畜産業の儲かる仕組みを「自家配合プラント」の形成により実現
具体的な取り組み
・運営の実績と高い投資回収率を証明しており、「儲かる畜産」に貢献
・エコフィード(ロス食材)を積極使用し、輸入に頼らない畜産サイクルを構築
資金調達後のビジネス展開
・自家配合プラントに最先端技術を組み合わせることで「ストック収益の拡大」と「ビッグデータの取得」を目指す
・畜産事業者の資金繰りをサポートする「アグリファンド」の組成化を目指す
・2023年に売上高12億円を創りIPOを目指す

事業内容の詳細はYouTubeをご覧ください。


②日本きくらげ株式会社

IoT×ICT技術を駆使し、コンテナで栽培可能な“未来志向型農業”を実現する「日本きくらげ」です。FUNDINNOでは、46,648,000円を調達しています。

解決課題
 ・個人の参入が難しい現代の農業の仕組みを解決する
解決方法
・栽培ノウハウや技術要素をパッケージ化し、効率的な次世代農業を提供
具体的な取り組み
・栽培パッケージや商品開発などを通して、多角的なマネタイズを実

・ 国内における流通〜販売チャネルを「リアル」「バーチャル」で保有
・「日本きくらげ」の徹底したブランディング戦略により差別化を実現
資金調達後のビジネス展開
・菌床工場を自社で設立し、仕入れコストや供給コストの削減に繋げる
・「配送の効率化」や「冷凍保存」などを通じ、“在庫が持てる農業”を目指す
・ マイルストーン:IPOは2025年を予定し、売上高は19億円以上を想定
・KPI:2025年までにきくらげ栽培パッケージ80フィールドの設置を計画

事業内容の詳細はYouTubeをご覧ください。

アグリテックのトレンドまとめ

コロナにより、アグリテックの分野への注目は高まっています。

・日本、世界ともに社会課題の顕在化、価値観の変化によりサプライチェーン変革が加速
・スマート農業は政府の推進、ベンチャー企業のプレイヤー数増加により市場拡大を見込む
・DX化が全産業で進み、農業の自動化も加速
・非効率なプロセスをテクノロジーの力で効率化したり、担い手不足を解決する動きが国内外で加速

上記のトレンドから、社会課題解決に向けてベンチャー企業に資金が流れている状況です。

今後も、新市場や産業のトレンドや挑戦するベンチャー企業の情報をわかりやすくまとめ、発信していくことができればと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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