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ダサくて嫌いだった滝沢歌舞伎を観劇したらダサさが癖になってきた

僕はSnow Manのお仕事は基本的に肯定的に受け止めて楽しんでるんですね。新曲が出ます!テレビ出ます!ライブやります!表紙やります!などなどお仕事が決まるたびに、よかったね〜〜頑張ってね〜〜と孫を可愛がる気持ちで愛でています。

が、たま〜〜に、これどうなのよ、と思うお仕事もあるんですよね。その代表格が言わずと知れた「滝沢歌舞伎」でした。

究極の和のエンターテイメント、、、?

このnoteはおそらくジャニーズに詳しくない友達たちも読んでくれていると思うので、滝沢歌舞伎とは何やらについて、すっごい掻い摘んだ説明をしますけど、もともと滝沢秀明がメイン、Snow Manはバックについていた舞台です。タッキーの引退に伴い2019年からはSnow Manが主演を引き継ぎ『滝沢歌舞伎ZERO』として毎年上演されています。
ここ数年の構成は、第一部がダンスやフライングなどのジャニーズ的なショーに加え、殺陣や太鼓などの演目を7〜8個やります。太鼓は正確には「腹筋太鼓」という題目なんですが、ワイドショーとかで見たことないですかね。上裸で腹筋しながら和太鼓を叩くというアレです。あ?歌舞伎ですよね?歌舞伎は第一部の一つの演目という位置付けで、尺で言うと5~10分くらいかな。
第二部は主に時代劇コメディで、終盤に水を使った大掛かりなアクションあり演者がずぶ濡れになったと思えば、2〜3分後に早着替えして、大団円のフィナーレを迎えるという構成です。
何かこうやって概要をまとめただけでも若干不穏な構成である気がしてきました。歌舞伎を謳ってる割には全体の1割未満の体感だし、腹筋太鼓とかいう児ポスレスレ(※多分18歳未満の演者は参加してないと思いますが)の演目があるし。2021年のダイジェスト映像があったので貼っときますね。何となく雰囲気は伝わるんじゃないかな。

で、滝沢歌舞伎にはキャッチコピー的なフレーズがありまして、それは『究極の和のエンターテイメント』です。開幕の時にリーダー岩本くんが「究極の和のエンターテイメントに皆様を誘います」的な挨拶をしてくれるのですが、何度か観ている僕はなんとも言えない気持ちになります、、、。そもそも究極の和のエンターテイメントとは何か?モヤモヤして咀嚼しきれていなかったのですが、具体的に書いていこうと思います。

正直、、、ダサくないですか、、、?

、、、いきなり身も蓋もない小見出しを入れてしまいました。なぜ滝沢歌舞伎をあんまりよく思ってなかったか、まあ単刀直入に臆面もなく言うと、単純にダサいと思ってたからです(ただ、同じこと思っているけど、おくびにも出さないファン層っておそらく一定数いると思っているんですがどうなんでしょうか。MVのスタイリッシュさやオシャレさとのギャップがあるので、曲から入った新規ファンは面食らうと思うんですよね、、。しかしこの舞台は、滝沢氏から襷を渡された大事な仕事であるのでネガティブなことを言いにくい雰囲気が蔓延ってるなと、、。まあ僕はそういうファンコミュニティには属してないので、全然触れちゃいますけど)。

どうダサいのかと言うと、まず、究極の和のエンターテイメントを謳うだけあって、和のモチーフは多用されるんですけど、それが「桜」とか「花鳥風月」とか「泣き笑い」とか陳腐なんですよね。泣き笑い、って何だよ。侘び寂びですらない。J-POPかよ。

また演出も絶妙にダサいなと思っていて。例えば、舞台には新体操の女性の演者さんも出演するんですけど、ダンスやリボン・バトンの動きに合わせてプロジェクトマッピング的な映像が流れるんだけど、それがWindows XPのスクリーンセーバーみたいな完成度に思えてしまうんですよね、、。あとフィナーレで、スクリーンに映る「LOVE」という文字が「命」という文字に変化するやつも、なんか意味ありげでそれっぽいけど、それ以上ない気がしてしまって表面的だなあという気になってしまう。うーん、これ映像で伝えられたらいいんだけどYouTubeとかで共有できないのが残念、、。映像化されてるもので言うと、「ひらりと桜」という舞台のテーマソング的な曲があるんですが、何故か「Hirarito Sakura」というローマ字表記になってる件(リンク先参照)とかかな、、。

お金はしっかりと掛けられていて派手なんですけどね(チケットは端席でない限り13,000円とかします。まあまあ高い)。派手ではあるんだけど、豪華絢爛という訳ではなくて、所々安っぽさが気になる感じ。派手と安っぽさは共存しますよ。驚安の殿堂でおなじみドン・キホーテ的なことです。

そういうダサさにも関わらず、Snow Manはじめ演者一同は、あたかも歴史ある由緒正しき伝統芸能かのように、誇りと尊厳を持って挑むのよ。いや、実際にタッキーが10年強に渡りライフワーク的に行ってきた歴史があり、ジャニーズ村帝国における伝統であることには違いないのだけど、村の外から最近やってきた移民(=僕とか)からすると、内容に比重した重みには正直ついていけてない部分はある。

Snow Manとしての曲やMV、アートワークは無難にカッコよく仕上げてくるだけあって、特にKISSIN' MY LIPSとかSuper Sexyとかが好きな自分からすると、なぜ滝沢歌舞伎は洗練されないのか…という落胆にも似た気持ちが否めないところでした。ダサいものをカッコつけて取り組んでしまっているという姿勢が輪をかけてダサくて、しかも応援しているアイドルが、、やり切れないなあなんて思ってしまってました。

と言うのが、DVDや配信などでの映像作品で観ていた正直な感想でした。まあネガティブな話ばかり書いてしまいましたが、全般ダメな訳じゃなく、5割ダサいけど残り5割はかっこいいし、映像作品も購入したし、劇場版(2020年は舞台が開催できなかったので映画版が作成されました)も観に行ったりしていました。滝沢歌舞伎をもっと理解したいし、もっと好きになりたい!!!!!そんな気持ちで鑑賞していたら、今年2022年、なんとチケットが取れてしまったんですね。

実際に観劇してみてどうだったか

頭の処理が追いつかない

実際に観劇してどう思ったかというとですね、まず頭の処理が追いつかなくなりました。何を見せられてるんだろうという。映像作品で過去作は何回も見てるにも関わらず、です。
というのも、和のエンタテイメントを歌う割には、変面という中国雑技団的な演目や、新体操やバレエ、ローラースケートなど、和でない要素も盛りだくさんなんですよね。中でも、深澤・渡辺・宮舘の殺陣がてんこ盛りで凄かった。ざくっと言うと、暗闇の中でライトセーバー的な光る刀(これがまた妙に安っぽい)で殺陣をやるんですけど、衣装は西洋の騎士エッセンス。女性もいるんですが、BABEMETALの劣化版みたいなメイド服(服にもライトが取り付けられていて曲に合わせて光る仕様)で登場。で、殺陣が始まるのかと思いきや、突然ミディアムテンポのEDM風な曲を歌い出す。で、その曲および題目が「Into the sky」。歌うんだ。そして英語なのかい。舞台用の新曲というだけでも面食らうのに、展開や衣装や状況が予定調和をぶち壊してくるので咀嚼するのに時間を要しました。

あと、アイドルなのに白塗りや変面で、顔を見せないってのも謎展開なんですよね。実はかなりの良席を引き当てまして、2-3m先に推し(阿部くん)が来てくれたんです。目があったような気もしまして(←ファンの思い込みあるある)、キャー!ワー!と一瞬は興奮したものの、女形姿だったので「これは阿部くん、、、!?」と混乱しました。少なくとも僕の好きなアイドルとしての阿部くんではなかった。いや〜〜〜意外と気持ちの処理のさせ方が分からなかったですね、これ。

口を挟む暇を与えないほどの熱量

映像では何度と観ていたのですが、現場では感じ方が異なる点がいくつかありました。総じて言えるのは、熱量がすごいということ。300万枚の桜を降らしたり、9トンの水を使ったアクションなど、規格外にすごいだろうけど、桁が桁だけにどのくらい桁外れか分からない演出は、やっぱり見応えがありました(脱線しますが、桜の後始末どうするのか気になってましたが、あらかじめ敷かれていたシートで網漁のごとく掬い取っていました。その時間わずか1秒ほど。さすが手慣れている、、と裏方さんへも感動がありました)。

また、視点をグイグイ変えさせられるというのは現場ならではの気づきでした。舞台は、幅も奥行き、花道も最大限に使うのはもちろん、3階席上部や、昇降式の装置で上下にもダイナミックに移動します。映像で見てる時は、視点が変わるといっても画面内でしかないけど、現場ではあっち見たりこっち見たりで忙しかったです。特に、序盤に行われる演者の紹介を兼ねた演目「いつか」では出演者総出で短いスパンで入れ替わり立ち替わりで勢いを感じました(個人的にはこれが一番面白かった)。

熱量で言えば、IMPACTors(Jr.のグループ)は、爪痕を残そうとする気概をめちゃめちゃ感じました。目立つ出番が限定的、かつJr.の中では年齢の割に後発のグループだからでしょうか。上裸ジャケットに皮のピチピチパンツというコテコテジャニーズ衣装も見れて楽しかったです(思わずジュニア情報局(Jr.のファンクラブ)入り直しました)。

腹筋太鼓も生だとしっかり音の迫力あって面白かったです。演目は途切れなく入れ替わり立ち替わり続き、口を挟む暇も、咀嚼する暇も与えず、「お、おう」と頷くしかない感じでした。

とかく、頭の処理は追いつかないし、熱量に圧倒されるし、推しをみれた興奮やらで、非常に疲れました。観劇後は飲みに行くつもりが気力が湧かず直帰し、次の日は普通に起き上がれず仕事に遅刻しました、、、笑

究極の和のエンターテイメントは祇園じゃなくて歌舞伎町にある

で、考え直したんです。究極の和のエンターテイメントとかいうから、僕はてっきり祇園とか日本橋とか、歴史と伝統を尊ぶ方面に向かってると思ってたんです。実際に新橋演舞場とか京都南座とか歴史ある舞台で開催されますし、演者もそんな構え方だし。でもそれは完全に勘違いでした。究極の和のエンターテイメントを極めた結果、向かう先は歌舞伎町だったんですよね。ドン・キホーテ!ロボットレストラン!ゴジラ!

僕はジャニーズ村帝国へ移民としてやってきたのが最近なので、すっかり無意識でいましたが、思えばジャニーズとはジャポネスクの文化でした。KinKi Kids、Hey!Say!JUMPといった日英の垣根もクソもないネーミングセンス、古くは「スシ食いねェ! 」やら、最近では「JAPONICA STYLE」やら、海外からの日本像の体現、そういうジャポネスク的なジャニー喜多川氏の視点で滝沢歌舞伎を捉え直し、思い返したら、めちゃめちゃ楽しく思えてきました。

もう理屈で理解するのは野暮なんだろうなと。デタラメで分からなくても、謎の熱量があって、それが面白い。かしこまって語ろうとするのは無粋ってことでいいんじゃないかと捉え直したら、自分の中ではスッキリしました。

ダサいぞ!いいぞ!もっとやれ〜

2023年はどうも「スーパー滝沢歌舞伎ZERO」を海外も含めてやる構想があるんだとか。…いや「スーパー」って、、、。ダサい!イイね!最高!

この言葉の選択に、製作陣も自分達が歌舞伎町に立ってるんだと言う自覚があることを確信してしまいました。ここまで来たら、Hirarito Sakura とか言ってる場合じゃなく、マツケンサンバ的な出鱈目にカオスな曲でも作って、歌い踊ってほしい。まあマツケンサンバのヒットって狙ったものではなく偶発的なものなので、狙いに行くと滑りそうかな、、、。

とかく、2022年は無事千穐楽を迎えられたとのことで、演者の皆様大変お疲れ様でした。2021年はパンデミックの影響で休演もありましたが、今年は休演されることもなく無事完走できたと言うことで非常によかったです!

最後に好きな動画をあげときますね。ネット上には公式動画は数えるほどしか上がってないんで、タッキーがメイン時代(2018年)のものです。これ、僕は「CR滝沢秀明」と呼んでます。Jr.が前列で激しく踊り出したのが確変のサインで、タッキーの登場で大当たり確定の演出。元気がないときに見返したくなります。なんか出鱈目に馬鹿馬鹿しくて、気になっちゃいませんか?

「ZERO」版の映像作品のリンクも貼っときますね。


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