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安藤友香の残念

10日の名古屋ウィメンズマラソン、海外招待選手を制して優勝した彼女はやはり地力のあるランナーなのである。2017年に同レースで出した自己記録を更新もした。

これで何が残念なのか? 自己ベストといっても従来の記録は7年前の初マラソンの記録である。初マラソンの記録を更新するのに7年は長すぎるし、その間のシューズの爆発的進化を思えば、18秒のアヘッドは too small と言わざるをえない。

(急いで付け加えるなら、前田穂南の日本記録更新も19年かかって更新幅13秒は、同じ理由であまりにもつつましい!! 野口みずきが当時いまのシューズを履いて走っていたら、とつい思ってしまう。)

そんな安藤の何が残念といって、あの変てこなランニングフォームにつきる。無責任・無節操なメディアは「忍者走り」とか持ち上げてはしゃいでいるが、そして専門家もこれに関してはダンマリを決め込んでいるが、あれが理にかなったフォームなら、いまごろ世界中のランナーがまねをしているだろう!! BS1のランニング番組でチューターをする金哲彦も視聴者ランナーには何よりもまず腕の振りと肩甲骨への意識を説いており、「忍者走り」を勧める場面を見たことがない。

ドルーリーなんとかという若い女子が鮮烈デビューをしたとき、メディアも専門家らもその美しいランニングフォームをこぞって褒めちぎったが、何のことはない、ダブルスタンダードなのである。後者が正しいのなら、安藤にはフォームの修正を進言してやるべきなのである。

安藤はデビューの翌年2018年にロンドン世界陸上を走っている。期待されていたが17位と完敗。強く記憶に残っているのは、ゴール手前200mほどの走り。だれもがここぞとばかりラストスパートをかけるこの場面でも彼女は腕を振らなかったのである!! 失礼だが「馬鹿じゃないか」と思ったことである。ちなみに筆者はこのときから、あのフォームをひそかに「自縄自縛走り」と呼んでいる。

あたかも安藤友香は怪しげな新興宗教に入れあげている哀れな信者である。教祖はもちろんコーチだろう。長くはないランナー人生と有為の才能(あのフォームで記録はともかく、優勝できるのである!)をドブに捨てさせたようなものである。

目を覚ますならロンドン世界陸上完敗のときだったと思う。その頃、教祖があのフォームを勧めた理由を耳にした覚えがある。曰く「緊張を和らげるため」と。耳を疑った。ラストスパートの場面でさえ腕を振らずにいるにはどれだけの緊張を強いられることか! どうみてもあのフォームは見えない縄で自分を束縛して硬直しており、リラックスとはほど遠い。

マラソンは人間を試す厳しい競技である。クセのある走法で大成したランナーはいない。それをあろうことか人為的に腕の振りを拘束するフォームでは大成は望むべくもない。繰り返すが地力はあるのだから、まだ29歳、今ならまだ間に合う(?)かもしれない。いち早く洗脳を脱して残り少ない競技生活を全うしてほしい。マラソンウォッチャーとしては、彼女が思い切り腕を振って走るレースを観てみたいと切に思っている。

教祖(=コーチ)はもちろん、メディアもTVの実況でよいしょする専門家らも信ずるに足りない。自分で気づき、目を覚ますしかないのである。



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