第7回:『ゲームジャンル』 ソシャゲはゲームなのかという話
ゲームを語るときは、概ねそのプラットフォームでグループ分けされることが多い。ビデオゲームであれば対応機種(Nintendo Switch・Play Station5)など、非電源ゲームであればボードゲームやTCGといった具合に。
その中でも、どのグループにも分類しにくいものがある。スマホアプリ、いわゆるソーシャルゲームと呼ばれる類のゲームだ。
今回は、ゲームと呼ぶのに一筋縄でいかない、これらソシャゲに焦点を当てて、語ってみようと思う。
1.ソシャゲ特有の性質
以前はソシャゲと言えば「携帯電話でプレイできるゲーム」くらいの感覚で使われていたが、現在では多様化が進み、スマホ以外でもソシャゲのような作品があったりする。
この「ソシャゲのような」とはどういったものか、共通して多く見られるシステムを挙げてみよう。
・基本無料かつ石課金
とにかく片っ端からユーザーとして取り込んで、気に入った人は買いたいだけ買ってね。というのが基本スタイル。昔はよくスーパーの試食に例えられた。
・ガチャシステム採用
客単価を上げつつ、ユーザーの射倖心を煽って満足度を高めるための策。ガチャの内容はキャラクターだったり強化要素だったりスキンだったりまちまち。過渡期にはパチンコより酷いギャンブルだと言われ社会問題となったことも。
・ログインボーナス、デイリーミッション、スタミナの存在
いずれも、一気にプレイしてコンテンツがなくなり飽きられるという事態を防ぐ。特にスタミナは負の遺産の面が強く、課金して回復する前提のゲームがあったりしてこれも問題になった。
他にもソシャゲらしい仕様はいくつかあるが、代表的なものはこんなところだろう。
2.ジャンルでなく、要素によって決まるカテゴリである
こうして見ると、「原神」「エーペックス レジェンズ」といったモバイル以外で展開して(なおかつヒットを飛ばして)いる作品にも取り入れられている仕様が多い。しかしこれらをソシャゲと呼んでしまうと、少し違和感が残ると思う。
そもそも、ソシャゲという言葉を聞いて、どのような「ジャンル」が連想されるだろうか。おそらく、これといったジャンルではないはずだ。これは、ソシャゲが「上に挙げた要素を多く持つスマホゲーム全般」を指すからである。ゲームというカテゴリの中の、更なる小カテゴリなわけだ。
第4回でも語った通り、これらの境界線は曖昧だ。リズムゲーは音ゲーのうちに入るが、音ゲーだと紹介されると違和感を感じると思う。この違和感と、先程の違和感が同質のものなのだ。
3.継続圧と課金圧
ソシャゲの特徴として、長くプレイするように仕向けてくる場合が多い。1章でも挙げたが、プレイ時間をコントロールして、数ヶ月から数年単位でアクティブユーザーに留まらせる仕様が多々あるのだ。
ログインボーナスやデイリーミッションなどは、ガチャ用の石が『プレイするだけで』手に入るので、ついプレイしてしまう。そして長くプレイすると、頻繁なアップデートにより環境や対人ランキングが変わり、新しいガチャを引きたい欲求が出てくる。
このあたりで大体のゲームが、無課金ではガチャを回せなくなるので、プレイヤーは2つの選択肢を迫られる。少なくない額を課金するか、引退(と呼ばれる休止)をするかだ。
こうなると、延々と重課金し続けるか、ついて行けずに本格的に引退するか、とどんどん二極化が進んでいく。環境を気にせず無課金ゴーイングマイウェイなプレイヤーは希少種である。
ソシャゲ以外でも長年プレイするような作品はあるが、それらはユーザーが好んでプレイを続けるし、プレイを休止する期間があっても、復帰してからまた続きから楽しむことができる。要するに「やらなきゃ感」がないのだ。
結びに
筆者はこれまでにスマホゲーやソシャゲのことを「ポチポチゲー」「戦わなければ生き残れない」「盆栽ゲー」などと揶揄されるのを見てきた。特に強く惹かれた表現に「ソシャゲは金か時間をかけなきゃ楽しくない」というものがある。そういうものなのだ。
こういった性質のゲームを、他のゲームと同列に並べてしまうのはやはり違うと思う。
それこそスマホとガラケーが似て非なるデバイスなのと同じように、ソシャゲは今までのゲームに近いが違う、親戚のような存在であると考えるのが良いのかもしれない。
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