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「失う意味」【失恋から立ち直る方法 番外編3】

14年ぐらい前、mixiが流行っていた頃、作詞コミュニティで曲先の募集があってつけさせてもらった詞が出てきた。
依頼者からのお題が「失恋」で、心を込めて書いた記憶がある。

私は10代の頃、色々なJ-POPに傾倒した結果、割と本気で作詞家になりたかった。今でもその夢は心の中にある。

だから思春期は、本当に毎日と言っては過言でないほど詞を書いていた。授業中内職で書いたりもしていた。
純粋な作品数なら何千書いていると思う。

今思えば、公言して堂々と目指せば良かったのだけれど、その夢は語らず、プロフィール帳なんかにも、「2番目の夢は言葉のプロになること」みたいな書き方をしていた。

とはいっても行動力が伴っていなくて、某雑誌の作詞コーナーみたいなところに投稿して佳作ぐらいで取り上げられたりしたのが関の山だ。
コンテストにも応募したりしたけれど、才能が認められた訳ではない。

社会人になってからは生活が忙しくあまり詞を書くこともしていなかったが、数年前また書きたい気持ちが高まってきて、プロが主宰し、プロテストもあるような学ぶ環境を持った。

その時に、商業作詞家になるためには、マーケティングができないといけないという真理に気づき、思春期のような純粋な気持ちで書いていてはいけないと理解した。
仕事にするなら、できるだけ多くの人に刺さる、できるだけ多くの人が共感できる言葉を日々の観察の中から見つけて紡がないといけないのだ。
ファッション業界と同じで、常に先の季節(夏にクリスマスなど)を見据えて書かなければならない。納期もハードだ。

そうやって大人になってから一生懸命トライする経験ができたので、今々は、もうそこまで強い気持ちで作詞に向き合っている訳ではない。

ただ、共感する詞を見つけると、自分もこんな風に世の中の多くの人に寄り添えるような言葉を紡ぎたいなと感じる気持ちはまだある。

最近失恋をテーマに記事を書いていて、前出の昔自分が書いた詞のことを思い出した。

当時その曲を作られた方に、失恋に寄り添っていると、思いのほか喜んでいただけた記憶があるのだけど、十数年後、「失う意味」を考える自分がこの詞にもう一度向き合う時が来るとは誰が想像しただろう。

もう時効かなと思うので掲載します。


「失う意味」

Do you know how to regain your heart?

昨日と今日を堂々巡り
今日から明日へエンドスケープ
昼も夜も止まることなく
時間は今も進んでいる

グラスが落ちて破片になった
接着剤じゃ戻せないよ
簡単に外からは見えない
奥深く切れ込んだ傷

はらはら はらはら
舞い散る花びら
まさに諸行無常のシンボル
ふらふら ふらふら
漂う僕は街のスピードに随分置いてかれ

手を伸ばして掴もうとした
すり抜けていく感覚
もう二度とは取り戻せない
気づくときに強くなれる
それでも止まらない涙…

それが、失う意味

激しい雨に打たれる度に
あの日のことを思い出す
時間じゃなくて考え方が
僕の傷を癒すんだ

まだまだ まだまだ
認めたくはない
自分の弱さ 嫌なとこ全部
さよなら さよなら
無意味な見栄張り
さあ、本当の自分と向き合おう

もう過去には引き返せない
泣いても叫んだとしても
覚悟を決めて
この生命(いのち)生きてみよう
目の前の道
見据えたときに強くなれる

それが、失う意味

君との出会いと別れ 抱きしめてここにいる
なければきっと気づけなかった
君の全てにありがとう

手を伸ばして掴もうとした
すり抜けていく感覚
もう二度とは取り戻せない
痛みを感じながらも

過去には引き返せない
泣いても叫んだとしても
覚悟を決めて
この生命(いのち)生きてみよう
目の前の道
涙を笑顔に変えて…

それが、失う意味。

END.

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