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■ 其の94■ 高校生のための戦争考学➀

🔣高校生に聞いてみると、テレビのニュースをちらっと見ることはあっても、ウクライナ戦争などを特集している番組を見ることはまず無いと言います。そこで、彼らに説明していく感じで、戦争とはどういうものなのかを考えながら書いていきたいと思います。

🔣雪だるまを作るときは、まず初めに両手で雪を取り、ギュギュっと固めながら雪の玉を作りますよね。そして、それを地面にころがしながら、どんどんサイズを大きくしていきます。国が出来るときも同じです。強度のある核となる存在が、周囲を少しずつ取り込みながら大きな国になっていきます。
 
かつて田舎の小さな砦(とりで)だった「モスクワ」は、徐々に周囲を支配しながら拡大し、「モスクワ大公国」になりました。その後、最終的にはモンゴル政権を倒して「ロシア帝国」という巨大な雪だるまになりました。
帝国とは、国境を越え、さらに広い領土を手に入れ、周辺の民族を支配することに掻き立てられた国です。強大な軍事力で国の拡大を目指します。

🔣さて、学校で使っていた地図帳があれば、ロシア連邦のページを開いてみて下さい。よく見てみると、あちこちに、〇〇〇共和国という文字が書いてあるのに気付きますね。これらは言葉や文化などが異なる民族の住む地域で、ロシアからすれば完全な子分です。
さて、どこかの共和国について、ウィキペディアで検索してみましょう。

➀ モンゴルの近くの「ハカス共和国」を開いてみます。
‥‥ハカス語を話す民族、モンゴル帝国などに服属していたが、17世紀にロシアに制服され、宗教も変えさせられたとあります。

② 多分一番耳にするのは「チェチェン共和国」ではないでしょうか。
調べてみると、
‥‥18世紀にチェチェン人はロシアに激しく抵抗したが、1859年にロシア帝国によって周辺地域とともに併合されたとあります。

🔣みなさんお気付きのように、親分のロシアは、子分達を大切になど思っていません。歯向かわないように力で支配し、利用する対象としか考えていません。戦争する時は、彼ら子分を戦場に行かせればいいと思っています。
ですから、気が強い子分の中には「独立したい」と考える者が出てきます。
1990年代、人口150万人(神戸市と同じくらい)のチェチェン共和国が独立を求めて1回目の紛争が起きましが、力で押さえ込まれました。
しかし2000年代にはまた2回目の紛争が起きました。この時はあのプーチンがロシアの大統領となって鎮圧しました。

🔣さて、ウクライナはかつてロシアと共に「ソ連」の一部でした。ですが1991年にソ連が解体した時に15の国に分かれて独立しました。日本と同様に完全な独立国です。しかしプーチンの心の中では、今でも他の14か国は「ロシアの元カノ」です。しかも元カノといっても「実は俺のオンナ」です。「俺のいいなりになるオンナ」でなければなりません。あなたが疑問に思おうと、そこに常識や理屈はありません。プーチンの思いなのですから。 しかし、ウクライナはロシアを嫌って、反対勢力のEUグループに入りたいと言い出しました。許せるはずがありません。

🔣みなさんは選挙が行われた際に、当選しそうもない場違いな雰囲気の「高齢男性」が立候補しているのを見たことがありますか。頑固で他人の意見に耳を傾けそうもない持論を吐き出すタイプの男性です。落選すれば地方選挙でも数十万、国政選挙なら数百万の供託金を捨てることになるのに、どうして?と不思議に思うものです。あれは、男の性(さが)なのだと思います。「男はスゴイと思われたい。女はステキと思われたい」それはもう人間の性(さが)です。
年を取って体力も社会的存在感も低下していく中、「まだまだ自分はこんなもんじゃない」「俺はここに居るんだぞ!」と言わずにはおれない衝動が湧いてきて、立候補という自己主張に走ってしまうのです。静かに人生の幕を降ろす訳にはいかないのです。

🔣ロシア人男性の平均寿命は68才ほどで、プーチンはすでにそれを超えています。あれほどの独裁者でありながら、まだ権力を強大にして、支配を広げたいのかと思います。でもプーチンにとっては解体されてしまったあの大国ソ連を取り戻さなければ、決して心は満たされません。
それはロシアという国のためでもなければ、ロシア国民のためでもありません。
くだらないし、馬鹿げてるし、狂っている。でもそんな怪物を生み出した源は、世界一巨大で冷たい国を造り出してしまったかつての「モスクワ」という小さな砦が、秘めていたエネルギーなのでしょう。




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