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373 年金制度


はじめに

今日は、最近何人かの高校生からもらった年金制度に関する質問について少しお話してみたいと思います。高校生からしてみるとどうしてもイメージや実感が持てない話題ですが、いずれ年金制度を支える側になりそして受給される支えられる側になることを認識しておくことはとても重要です。

年金とは

年金制度は基本的には、日本に住む20歳〜60歳までの働ける世代の人たち全員が加入し、その保険料を以て高齢者や本当に保障が必要な人たちに年金を給付する仕組みです。
世代と世代の支え合いという考え方に基づいています。このことを賦課方式(ふかほうしき)と言いますが、将来の生活における様々なリスクに対して「世代を超えて社会全体で備える仕組み」と理解しておけばよいでいょう。
賦課方式こそが、年金制度の根幹なわけです。賦課方式では、年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する方式をとります。これにより現役世代から年金受給世代への仕送りをするようにお金が支給されていきます。 現役世代が高齢になって年金を受給する頃には、その下の世代が納めた保険料から自分の年金を受け取ることになるという想定でいますので、今負担している分は、未来における自分の老後の需給を若者が支えてくれる期待にもつながると考えていいわけです。

年金の問題

年金に関する問題と言えば、少子高齢化が進んだことで年金受給者の比率は急増しています。そのため、積み立てられた年金の原資の運用利回りの低下で公的年金の運営状況が悪化している問題が長年あげられています。
少し前から、生産年齢人口が3人当たりで1人の高齢者を支えています。それが、少子高齢化が進展していけば、2人で1人の高齢者を支えることになります。このように2人が1.5人で1人を支えるといったようになっていけば、次第に極端なことを言えば、0.5人で1人を支えるようなことだってあり得るわけです。これはもう負担ばかりが大きくなるような話で、年金制度自体の存続にかかわる問題となるわけです。

問題解決のためには

具体的な問題解決のために検討する内容はある程度明確です。
①年金の支給開始年齢の引き上げを検討する
②保険料率の見直しを検討する
③所得に応じた給付額の調整を検討する
④少子化対策をすすめ、現役世代を増やす方法を検討する
⑤高齢者の労働力参加の促進を検討する
⑥移民政策などを通じて労働力人口を増やす政策を検討する

いずれも、私たちの国では八方ふさがりといった状態の政策転換の議論です。年金制度は賦課方式(ふかほうしき)と言いましたが、先に示した検討を有する話題以上に、世代を超えて支え合うという意識そのものがもうすでに崩壊しつつあるのかもしれません。
あと30年後の年金は、何歳からもらえるのでしょうか。また、いくらもらえるのでしょうか。私たちは、社会保障全体の改革の時期に来ていると言い続けながらも、この問題と真剣に向き合うことができていなかったのかもしれません。
選挙などで表面的な話題ばかりに目が行き、こうした国民生活の根幹にかかわる政策に目を向けてこなかった国民は、今後の未来にどのような責任を果たしていくべきなのでしょう。

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