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10周年を迎えさらなる進化を続ける、食物アレルギー配慮食品「いっしょがいいね」の次なる挑戦

石井食品には、定番のおべんとクンミートボール・ハンバーグに加えて、「いっしょがいいね」というシリーズがあります。

この「いっしょがいいね」は、食物アレルギー特定原材料7品目である「卵・乳・小麦・えび・かに・そば・落花生」を使っていません。このシリーズも、みなさんに愛されながらすでに10年を迎え、次なる新たなチャレンジを進めています。

今回お話ししてくれたのは…

坂本 梨名さん
入社7年目。入社当初は工場見学に来てくださる生徒さんたちの対応や、石井食品本社1Fにある「Viridian-ヴィリジアン-」の運営、その他営業支援に関わる。4年目からは現在の顧客体験デザイン部に所属。「いっしょがいいね」の他、おせちなどの季節製品も担当している。

東日本大震災をきっかけに商品開発が加速。他社よりも厳しい独自基準でお客さまに届ける

— この製品が生まれたきっかけは何だったのでしょうか?

大きなきっかけは、2011年にあった東日本大震災です。避難所で非常食が配られても、食物アレルギーをお持ちの子どもたちは気軽に食べられるものがなかったというお話を、当時の担当社員が耳にしました。非常時でも食物アレルギーを気にせずに口にできるものが作れないかと考えたのがこのシリーズです。

震災がきっかけだったとはいえ、石井食品は2011年以前から、定番のミートボールは食物アレルギーにも配慮し、卵や乳成分を使わないパン粉を特注で用意し、使用しています。

定番のミートボールの原材料の変遷

食物アレルギー持ちの方のお悩みとして、特に多いのが「洋食のレパートリーが少ない」ということです。ソースなどに小麦や乳成分が使われることが多いため、開発が難しいことが理由だとされています。また、一部の食品のみ、例えば「卵・乳成分不使用」のアレルギー配慮食品は発売されていても、特定原材料7品目全てを使用していない製品が作れることは石井食品の強みといえます。

— 石井食品は、食物アレルギー配慮食品を作るにあたって、製造工場から専用施設の中で管理を行っています。この製品を生み出す上でのこだわりは他にもありますか?

はい、石井食品は専用施設を京丹波(京都府)に設けています。この施設には、食物アレルギー検査で合格した原材料だけしか持ち込まれません。食物アレルギーに対応していない製品を作る場所にはいっさい立ち寄らず、専用工場に直接入荷するようにしている徹底ぶりです。

他にも、専用施設で働く従業員の作業着・調理器具は色分けし、間違いが起きないよう区別しています。また、小麦が空気に乗って飛んでしまうと小麦成分の混入リスクが高くなるため、空気や水まで管理を徹底し、他の工場間で移行がないように空気圧を工夫して管理しています。

京丹波にある専用工場。別の製品の製造ラインとは施設から分離されている

— 初めて専用施設の話を聞いた時は驚きました。他にも独自の厳しいアレルギー検査基準を持っていますよね。

食物アレルギーの原因の多くはタンパク質のため、石井食品ではタンパク質の含有率を調べる方法を用いた、アレルギー検査を実施しています。一般的には「10ppm未満」、つまり1gの中に「10万分の1グラム未満」であればアレルギー検査を合格とする企業が多いようです。

しかし、石井食品はさらに10倍の数字である1ppm未満(100万分の1グラム未満)という検査結果が出ないと出荷しません。安心してみなさんに「いっしょがいいね」をお届けするためにずっとやり続けています。

このレベルの検査をクリアするためには、原材料の農場のレベルから把握する必要があります。例えば、特定原材料7品目を使っていなくても、隣の農場で小麦が作られていたら、風に乗って成分が付着してしまう可能性があるのです。


11年目のちょっぴり勇気のいる挑戦。もっと街中で手にとってもらえるように

— そんなこだわりの中で10年間にわたってご愛顧いただいている「いっしょがいいね」ですが、なぜこのタイミングで新しい挑戦を行うのでしょうか?

石井食品が掲げている、子育て応援を軸とした「今の子どもたち」そして「未来の子どもだち」にも続く持続可能な製品づくりには欠かせないものだと考えているからです。この「いっしょがいいね」を通じて、子どもたちの笑顔を創出したいと考えています。

最近では食物アレルギー自体も多様化しているようです。子育ての中で、食べられる既製品が少なければ、親御さんも食事の準備に苦労されると思います。これまではオンラインショップや直営店を中心としていましたが、より手軽にお手にとっていただけるよう、この商品を必要としている親御さんが集まりやすい、幼児向けのアパレルショップなどでも、お取り扱いを継続、または新規にスタートしていただくことになりました。

— 石井食品の直販店やオンラインストア以外でも取り扱いをスタートするにあたって、「箱」に工夫を加えていますね。詳しく教えてください。

箱のままお店に陳列が可能な「シェルフレディパッケージ」という方法を、新たに採用しました。みなさんもスーパーなどで、届けられた時の箱に入ったまま陳列されている商品を見たことがあるのではないでしょうか?箱自体にデザインが施されていたりすることで、そのままお店に置いても見た目が良く、陳列するお店の方の手間がかからないのが特徴です。

しかし、石井食品は省力化のためにこの「箱」をリニューアルしたわけではありません。食物アレルギーをお持ちの方の症状の度合いによっては、ほんの少量の接触でも、症状が出てしまうことがあります。

そのまま陳列可能な箱を採用することは、お店の方が1袋ずつ商品を棚に出さなくて良い分、パッケージに人が触れる機会を減らすことに繋がります。販路を広げることで安全性が損なわれてしまうことは石井食品の本望ではないため、ここまでこだわることにしました。


食物アレルギー対応にご理解いただいた店舗のみなさまに支えられた、石井食品の挑戦

— 私たちのこだわりがお客さまに伝わると嬉しいですね。今回、お取り扱い店舗が広がるにあたって、小売店のみなさまからの反応はいかがでしょうか?

今回は、お子さま向けの商品を多数取り扱っていて、なおかつ石井食品の食物アレルギー配慮の取り組みに対して理解を示してくださる企業様とのみタッグを組ませていただきました。

一般的な小売店であれば、棚に陳列した商品がどのくらいのスピードで販売されていくのか。いわゆる「回転率」を気にされると思います。もちろん回転率が悪い商品は入れ替えの対象となるでしょう。

しかし、今回石井食品がお届けする商品を求めている方は、通常の「おべんとクンミートボール」に比べたら少ないことは確かです。しかし、棚からなくなってしまうと困る方も多くいます。このような商品特性を理解してくださり、長く安定的に取り扱っていただける企業様とお取引を広げさせていただくことになりました。大変ありがたいことです。

お子さんの食事を準備されていて困った時に「あのお店に買いに行こう!」と思い出していただけるような存在になるためにも、店舗のみなさまとも協力していきたいです。

— 最後に、日々子育てを頑張っている方々に向けて、メッセージをお願いします。

私たちが「いっしょがいいね」を通じてみなさんに届けたいのは「お子さんの笑顔」だけではありません。食物アレルギーをお持ちのお子さんの食事を準備する親御さんの「笑顔」、そして「ほっとできる時間」も届けたいと考えています。

「いっしょがいいね」があることで、少しでも楽ができ、浮いた時間でお子さんと楽しい時間を過ごしていただけたら、これ以上に嬉しいことはありません。

— 坂本さん、ありがとうございました!

オンラインストアでも販売中