COVID-19のPCR検査について考えてみたよ

みなさん、こんにちは!
大変なことがたっくさん起きていますが、お元気でお過ごしですか?

ネトウヨのデマを正すどころか、新型コロナウィルス感染症による休校のせいで、一日中家でネトウヨ発言を繰り返すお兄ちゃんにキレそうになってる妹こと、真実です。

こう見えて休校でも結構忙しかったんですけど、ちょっと時間があったのでCOVID-19について調べてみました。そうです、これが正式の名前なんですよね。WHOが病気に人名や地名をつけると迷惑する人が出てきてよくない、っていうことで、この名前を選んだそうなんです。あ、そっちで中国の地名をウィルスにくっつけて連呼してる若い男性の方、そう、あなた、うるさいんでもう巣に帰ってもらっていいですか?適当にソシャゲとかしてもらって。
あーのーねー、そういうことならこっちも考えが!これ何かわかる!これよ!これ!!

あ、失礼しました。静かになったので本題に戻りますねー。さて、COVID-19といえばやっぱり検査!PCR検査と呼ばれる遺伝子検査が、今のところ感染しているかどうかを調べる一番確実な方法なわけですが、これが十分されているのかどうか、お医者さんが必要だと言っても保健所で断られるとか、いろんな話が飛びかってます。

私は政府のやることだからと言って、なんでもかんでも疑ってかかるのはちょっとやりすぎかな…と思うんですけど、でも、政府を監視するのも市民の大事な仕事かなー、と思います。

というわけで、家にいる時間を利用して、政府がどんな検査をしているのかを調べてみました。

なにをしたかというと、国と都道府県が発表している患者さん(感染者さん、ていうべきでしょうか)の情報を全部見ました。ちょっと大変でしたけど、検査をどうしているのかを確かめるにはほかに方法がなさそうだったので、全部調べたんです。厚生労働省の発表している患者さんの数の集計と、都道府県が発表している患者さんの数にずれがあったりするので、できるだけオリジナルに近い資料を調べた方がいいと思いました。そこで、都道府県が出している患者発生についてのプレスリリースを全件チェックしました(検査を受けた人の症状や状況については、必要に応じて新聞やテレビのニュース記事もチェックしています)。

日本でCOVID-19の検査をするかどうかを決めるには、感染症予防法という法律の別表に書いてある規準が使われているんです(2月から何回か改正されていますけど、今はこの2月17日改訂版にちょっと修正をして使ってるみたいです。https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000596426.pdf

規準が7種類あるんですが、全部書くと大変なのでまとめます。最初の3つ(検査基準1、2、3)は、もうCOVID-19にかかっている人と接触があったかどうか、と発熱、それに呼吸器の症状と呼ばれるもの(咳やくしゃみ、鼻水やたんなどのことです)があるかどうかという基準です。感染者との濃厚接触や渡航、渡航者との濃厚接触などもここに含まれます。今言っている「クラスター」というのも、感染者との濃厚接触ですから、ここに含まれます。

あとの4つのうち3つ(検査基準4~6)は、病気がとても重い、というもの。集中治療を必要とする肺炎、入院を必要とする肺炎、他の病気の治療法が効かなかった場合、などが含まれます。こういう場合に、COVID-19を疑って検査するわけですね。

最後の1つ(検査基準7)は、「医師の総合的な判断」です。お医者さんが怪しいと疑った、ということですね。でも、この基準って、本当に使われてると思います? だって保健所が断った…という話がいっぱいあります。よくわからないですねー。

なので、調べました。自治体の資料とか、国の資料とか、ネットにあるニュースとかを見て、この患者さんはどの基準に当てはまるのかチェックして、表にまとめたんです。全体の表をまずお見せしますね。あ、入ってるデータは3月15日までです。ここ3日ほど、ちょっと忙しかったので作業が滞ってて(誰とは言わないですけど、うちにいる年長の男子のせいです)。

表1 PCR検査基準と検査人数

キャプチャ1

表2 表1を割合にしたもの

キャプチャ2

これだけ見てもあまり何もわからないですけど、やってるうちにちょっと気付いたことがあります。それは、1から3までと、4からあとの大きく二つに分けられることです。1から3は、誰からうつったのか大体わかっているケースです。こういう状態をいう疫学リンクっていう専門用語があるみたいなので、このレポートでは「疫学ケース」と呼びます。4からあとのは、どこからうつったのかわかりません。正しいのかどうかわからないですけど、「市中感染」と名づけます。この二つを分けてみるといろいろみえてきました。たとえば、都道府県別のグラフです。作って見ていたら、面白いことがわかりました。

こちらは、東京都のグラフです。

画像3

疫学ケースと市中感染がぱっと見、同じくらいに見えます(実は市中感染が6割くらいなんですけど)。2月の半ばごろまで疫学ケースが圧倒的に多いのは、屋形船でうつられた方とかがたくさんおられたせいです。でも、最近は市中感染のほうが多くなっています。東京ではクラスターが見つかったという話を聞かないので、そのせいかもしれません。

一方、こちらは大阪府のグラフです。

画像4

疫学ケースがめちゃくちゃ多くなってますね。大阪のニュースを検索すると、「ライブハウス」「クラスター」っていうのがすごく出てくるんですけど、そのせいでしょう。ただ、3月10日ごろからは、市中感染のケースも多くなっています。

東京と大阪って、知事の小池さんと維新の会の吉村さんのイメージがかぶってて、似てるのかなー、なんて勝手に思ってましたけど、どっちかというと大阪の方が厚労省がやっているクラスター対策路線でやってて、東京はちょっと逆になってる? っていう感じがします(本当にそういう気持ちでやってるのかどうかはわからないですけど)。ちょっとおもしろかったです。

で、そのクラスターっていう話なんですけど、これはCOVID-19の感染を抑えるための方法としていま政府が採用しているもので、感染している人の集団をみつけて感染者をきちんと追跡していくという話と、感染しやすい環境をつくらない、という話がメインになっています。この「クラスター対応戦略の概要」という文書に考え方がまとまっています(https://www.jsph.jp/covid/files/COVID-19_031102.pdf)。かかった人もほとんどの場合は他の人にうつさないし(8割の人はうつさないんだそうです)、日常の生活でうつることもあまりないので、特に危険なところだけを見つけて対策すれば流行がおさえられるっていう、効率のいいやり方だとは思います。

で、日本はこのやり方で対策することにして、クラスターを見つけて、感染者に入院とか自宅待機とかをしてもらって、人にうつさないようにするための「クラスター対策班」ていうのを2月25日につくっています。このころから、対策の方向が大きく変わってきたわけです(参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09743.html)。じゃあ、私の作ったデータからもそういう変化は読み取れるのかなあ、と思ったので、グラフを作ってみました。

画像6

こちらは、日本全国の患者さんを疫学ケースと市中感染にわけてみたものです。本当に市中感染かどうかはわからないので、ここではそういうふうに呼んでるんだな、と思って見てください。

3月のはじめぐらいから、疫学ケースがどんどん増えてますよね。2月の終わりごろっていうか、3月1日には市中感染と疫学ケースが肩を並べるくらいだったのに、そのあと、どんどん疫学ケースが増えていきます。政府のやりかたが反映されているんだなあ、っていう感じです。

でも、実は、このグラフを見ていて不思議に思ったことが一つあります。それは、市中感染の増え方です。2月の末まではずいぶん急激に増えているのに、3月からは増え方が減ってるように見えるんです。グラフではちょっとわかりにくいので、数字で確かめてみます。

表3 疫学ケースと市中感染の感染確定者数とその増加

キャプチャ3

クラスター対策が始まる時期になると、2.14倍、1.66倍、1.44倍…というふうに伸び率が減っていってます。感染者さんがあまり増えないのはいいことなんですけど、疫学ケースの人はどんどん見つかっているのに、市中感染の人があまり見つからなくなるのは、ちょっと変な感じです。

もちろん、クラスター対策が効果を上げている、というふうに考えることもできるんですけど、市中感染の伸び率が半分くらいになっているというのは、ちょっと減りすぎ?という気もします。

心配しすぎているだけだといいんですけど、私は「クラスター対策が忙しすぎて、それ以外の検査が不十分になっている」っていう可能性があるんじゃないか、と思っています。

クラスター対策ってかなり大規模なもので、名古屋だけで1000人の健康を監視しているという話もあるので(なぜか廊下に捨てられてた朝日新聞の記事に載ってました。ネットでは有料版ですが、ここにあります。https://digital.asahi.com/articles/ASN3K76FJN3FOIPE00L.html)忙しすぎるっていうのはありそうなことかな、と思うんですけど、お家でネットを調べているだけでは何とも言えません。

どうしてこれが気になっているのかというと、市中感染の人を見逃してしまうと、そこからまたクラスターができてしまう恐れがあるからです。そこから高齢者の方や、持病がある方など、COVID-19が命にかかわる状態に繋がりやすい人にうつる可能性もあるので、市中感染の検査もしっかりやっていただきたいと思います。

がんばったわりに「心配がある」としかいえないんですけど、とりあえずこれを皆さんにシェアします。また何か気になることがわかったら、お知らせしますね。


あと、やってみて思ったのは、政府がもっと情報を公開してくれたらなあ、ということです。いま、どれくらい機械があって、どれくらい検査ができて、どれだけの人がなにをやっているのかちゃんと教えてくれたら、私みたいなただの素人が、時間と手間をかけてデータを集めたり、入力したりしなくてもいいと思います。だって、政府はそのために税金を集めているんですから。

では、今回はこれで失礼します。真実でした。

ローデータをアップしておいたよ!活用してね。https://ux.getuploader.com/demauyo_tadaimo/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?