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【VRChat童話】インスタンスの隅から

ひとつ、いいかな。

いいだろうか?

たとえばここに、アリの巣

いや…

う~ん、ライオンの、群れ?

違うか

まあ、
大勢で喋っている人たちの中で、
一人ぽつんと隅にいて、
輪に入りたいのかどうかはよくわからない人が
いるとしますよね?


一緒にゆっくり考えてみようね。

大丈夫、正解とか不正解とか、ないよ。
考えてみようと思ってね。
そういう時間って大人になると
少ないだろうからね。





じゃあ答え、行くね。





僕だったね。



僕だよ

VRChatプレイヤーなら一度は味わう
孤独のアレだね。

インスタンスの隅で動けなくなって、
怖くて震えてしまうよね。
己の矮小さにさ。

でも、そうなるのには
いろんな理由があるとされているよ。

じゃあまず、インスタンスの隅で
動けずにいるときの理由を考えてみようか。


理由【1】
知らない人が多すぎる場合


そうだね。
パブリックワールドなんかだと
ほんとに顕著だよね。

ちょっと勇気を出して
声をかけてみたら
あまつさえ無視されたなんてね。

でも、声をかけた相手が
偶然自分に興味がなかったとか
忙しいとかさ。

かわいいアバターの
パンツ覗くのに忙しいとか


それは仕方のない事だと思うんだ。

VRといえど、
なんだかスースーしちゃうよね。

でも、VRChatにはいい人が多いからね。
コミュニケーションを取るゲーム
とも言われているね。

ちゃんと諦めずにいたら、
誰かは反応してくれるし、
そこからフレンドになったりね。

周りが知らない人ばかりだからって
あまり怖がるのもよくないよね。

怖くないよ、
こっちへおいで。

まるで保護犬のようだね

大丈夫、じゃあ
せっかくフレンドができたんだし、
ちょっとインスタンスへ
お邪魔してみようよ。

大丈夫、君ならできる。

理由【2】
知らない話題で盛り上がってるね


あるよね。
ホビートークとかさ。

具体的なホビーのジャンルを
ここで挙げると
一瞬で消し炭になっちゃうから例えて言うけど、


例えば考えてみてね。
フレンドさんができて、
インスタンスにお邪魔するじゃん。

そしたら、

例えば僕はうんこの話しかできないけど、
そこはおしっこの話で大盛りあがりしていたりね。

そういうこと。

いくらうんこの話をしたいとはいえ、
おしっこの話をしている所へ
いきなりうんこの話をしには行けないよね


えっ、
行けるって?


まあ、それは行けるか。
う~ん、困った。
うんこまった
うんこ


ごめんね、
うんこの話をしてしまったね。

まあでも、
せっかく盛り上がっているし、
相手は大切なフレンドさんや、
その仲間たちだからね。

邪魔をしたくないなら、
そっと見守るのも手だよね。

まあでも、挨拶はしてみよう。
挨拶してから考えよう。

それからさ、
ちょっとじっくり、
見守ってみようよ。

あっ、でも、
みんなが挨拶を返してくれたよ!

さあ、ショータイムの始まりだ!



理由【3】
二の矢が継げない


どうしたっていうのさ。
せっかく挨拶を返してくれたんだから、
なにか自分の話をしてみようよ!

なんてね、わかってるよ。
挨拶した後、もう
なんもないよね。

きっと、今日は冷え込むね、
とか言うつもりだったんだよね。

でも、それはそれで、
言った後なんもないもんね。
おすすめのエアコンメーカーの話でも

しようか?

しないよね。わかるよ。
勇気なんか、使い切っちゃったよね。
よくがんばったね。

あっ!ちょっと!
どこへ行くってのさ!
誰もいないインスタンスの隅じゃないか!


話したいけど、話したいのにね。


いいじゃん、もう、
目一杯頑張ったって。

ちょっと勇気出して声をかけた相手が
偶然気づいてないのを

他の誰かに確実に見られていて
「あっ…」ってね。
恥ずかしいよね、アレ。

なんか、目撃者も
気まずくなってシュッと去ったりね。
武士の情けってやつかな。

不思議とミラー近辺で
よく起こる現象だそうだよ


あ~あ、
隅で震え始めてしまったね。
かわいそうに。でも大丈夫だよ。

上手な人を見てみたらどうかな?


みてみよう!


もう、十分頑張ったんだから、
次のために中心にいる人たちがどうやって
人望を集めているか、
みてみようよ


ほら!また笑った!
みんな笑ってるね。
あの人はきっと、楽しいお話をしてるね。

あっちを見て!
静かだけど、なんだかみんな
リラックスしているね。
そういうのもあるんだね。

どう?
できるんじゃないかな?
あんな風に喋ってみたらどうかな?



なーんて、ね。
そうだよね。わかるよ。
あれは超能力に近いからね

じゃあ、そろそろ移動しようか。
挨拶を忘れずにね。

コンドームをつけれないヤツは
挨拶ができないヤツと一緒だよ。

明日仕事が朝早いとか、
適当に理由つけてね。

でも、寂しいよね。


そうだよね。そう言うと思った。
じゃあ、こういうのはどうかな。
インスタンスの写真を撮ってさ、
自分も写っておこうよ。

パシャッ!

うん、いい笑顔だね!
そういうところが素敵だよ。

待って待って、
寝るには早いよ。

Twitterに投稿しなくちゃ。
色々、黙って話を聞いたからね。
いろんな話が聞けたんじゃないかな?

◯◯さんのこんな所が面白かった!
とか、◯◯さんのアバターがキレイだった!
とかさ、

なるべくきれいな言葉で投稿しよう。
ほら、フォローしてもらえたね。
フォロー返しておこうね。

イイこともあるもんだね。

じゃあさ、
次はその人に会ってみたら、
どうかな。

仲良くなれるといいね!

おしまい

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