とある6枠の視点から~イブラヒムの部屋ごと人生ポケモンSP参加記録~

長文を書き連ねるのもなんではあるのだが、いつか自分が振り返るときのために置いておきたいと思う。

※なんの間違いか知らないのにここを開いちゃった人は、まずは本編をご覧ください。

2021/12/12 追記
記事中のイブラヒムの言葉等は動画で確認まではしておらずうろ覚えのため部分的に正しくない場合があります。


イブラヒムによるダイパリメイクの「部屋ごと」が行われることになり、「手持ち枠」の待機所が6つ、用意された。

観戦でもよかったが、手持ち枠に入ったのはなんとなくの気まぐれだ。
正直自分はポケモンの知識なんてものはペラッペラだし、しばらく出番はなかろうと、一番後ろの「6」に入った。
結構そんな感じでゆるっと入った人も多い部屋だったと思う。
最後の枠だから、強いポケモンが入る可能性が高いのでは…という算段で入った人もいたと思うが。

伝説か、さもなくばかわいいやつ希望。
だだをこねたものの、俺たちに宛がわれたのはイシツブテであった。
名前は、「グレネード」。
初代からいるし、珍しくもないし、見た目的にもあんまりかわいくはない。
ヒョウタ戦直前のレベル上げの過程で、なんかゲットしとくか、という感じでなってしまったポケモン。
なんなら最終進化が通信なもんだから最終進化してくれるのかどうかもわからん。
といったわけで、やることがなくて矢印を出してイブラヒムをいじったり、くしやき先輩を炙っていた6枠は、「どうにかして死んでやる!!」という空気でポケモン人生をスタートした。


■そう簡単に死ぬなと、お前が言うので

初日、第1の関門であるジムリーダーヒョウタ戦は激戦であった。

俺たちは、死ねなかった。

誰か一匹は死ななければ打開できないような状況で、イブラヒムは「死ぬな!」と説得してくるやら、
「ひるませます」と宣言してマジでひるませたボルサリーノ先輩の活躍、「よけます」と宣言してマジでころがる回避したVIPPER先輩の尊い犠牲などがあり、まさかの生存ルートである。
俺たちは「レベル上がって、じばく入手したら死のう!!」と誓い、解散した。

イシツブテの生活はわりとゆるゆるであった。
あんまり出番がないのと、とにかく隙あらば死にに行く精神で何にでも「いけます!」と言っていたら部屋の人が増えていた。おそらく他の5枠よりにぎやかな部屋だったと思う。
「まるころと爪をVIPPER先輩の遺産として大事にする」
「じばくはしたい」
「いけます」
「だりゃあああああ」
「どりゃあああああ」
「←石差別」
バラバラの百何人が、だいたいなんとなくこの方向で一致していた。

が、じばくを覚えても、ゴローンになっても、俺たちが死ぬ機会はなかった。
びゃおびゃーお。
なんなら何故か限定公開の部屋なのにやってくる荒らしに飲まれまいとわーわーやってる間はじばくどころの騒ぎではなかった。
マジでなんでこっちに来たんだ。映りたがりか。

さて、じばくしようと思えばできないわけじゃなかったが、イブラヒムも死ぬなというし、先輩方も「だいばくはつまで待て」という。

じゃあ、シロナのガブリアスに大爆発するか、そうでなくとも四天王~チャンピオン戦とかで誰かピンチになるようなことがあれば、代わりに盾になって死ぬ方針でやっていこうか。
でっけえ花火をあげようや。

ということで方向性はまとまりつつ、隙あらばじばくを宣言していくというピンに指をひっかけた状態のグレネードとしてやっていくことになった。
かくして、自らの死を盾にしてやたらとワガママ放題を言う岩ができあがったのだ。

ワガママを言っていたら、イブラヒムが成瀬鳴くんと交換をして進化させてくれた。
ありがたさのあまり、俺は成瀬鳴くんのチャンネル登録をした。
なんかしらんがイブラヒムもかわいがってくれとる。石なのに。
馬鹿な子ほどかわいいというやつなのか?
実際、連れ歩きでゴロゴロしている俺らは割とかわいかった。
かわいいやん、俺ら。
他枠の人たちもなぜか「せんせいのネイル」が決まるとかわいいよ! とか褒めてくれて、謎のかわいがられポジションが成立していた。
「ギガほしい!ジャイロいらん!」
「ネイルほめろ!」
「なるくんとこ帰る!!」
とんだワガママグレネードである。
しかも割ときいて貰えるし。

でも、配信終わった後、イブラヒムがあんまり俺らのワガママきいてくれるもんだから、「他のライバーさんの名前だすのは控えめにしような」って、居残りしてた人たちはちょっとだけ反省会した。
多分、リゼ様とかの名前だしまくってた人たち、もう残ってないよ、と俺は思った。

■信じてる、お前を殴ったら殴り返してくれるって

ポケとイブとの関係は、殴り合いながらも信頼関係だなあ、と道中思う。

イブラヒムは以前の配信などでも、俺たちリスナーのことを「ぞんざいに扱ってもよい存在」であると思っている旨の発言をしていた。
俺たちも、一定の常識的なラインはあるものの、多少殴りかかっても許してくれると思って、適度なプロレスを行うのがイブラヒムの配信というものだ。
ポケモンになっても俺たちは結局イブラヒムのリスナー、結局は下水の民。
見る専の方々が俺たちポケモンの中身を面白いなあ、と思ってくれていたのなら、暴れる俺たちを笑って捌いてくれるイブラヒムのおかげだ。

配信に言葉が載ってしまう以上は、「こんなこと言ったら視聴者を不快にさせやしないか?」と俺なんかはちょっと考えてしまうほうだ。
やりとりがしつこすぎやしないか? ウザくないか? キモくないか?
流れが止まらずだいじょうぶかな、なんて思っていると、イブラヒムが適当なとこで「キモいからやめろ」と捌いてくれる。
俺たちは「は?」「←ハゲ」とか返事しながらも従う。
結果としていい具合にイブラヒムの定めたラインの内側で俺たちが遊び倒す図の出来上がりだ。
適度に殴ってもいい、殴られてもいい、でもなんやかんやイブラヒムのことが好きだから従う、の関係が出来上がっているから成立するバランスだ。

なんやかんや積み上げてきたイブラヒムと下水の信頼関係があったなあ、と思わなくもなくもなくもなかった。
知らんけど。

■これは勝つためのワガママ。

各ジムリーダーを順調に倒し、いよいよ難易度も高くなってきた。
警告するように、イブラヒムが「お前らはポケモンが下手だ」と煽りたてる。
1枠、サボ先輩を筆頭に、最終戦を見据えた会議がはじまって、その様子を眺めながら相変わらずの様子だった俺たちがマジメに会議をはじめたのは、「土曜日に最終回」を宣言された木曜深夜0時過ぎだ。

正直、俺はポケモンの知識がない。レベル上げて物理で殴ればいいと思っている。
だから、居残り会議参加したって何の力にもならんが、せめて考えてくれる人たちの方向性は知っておきたいから、部屋を開きっぱなしにしてやりとりを見つめていた。

目標はシロナのガブリアスでだいばくはつ。それは変わらない。
それまでの一体どこで出番があると予想されるのか、自分達にできることがあるのか。
この技って強い? あれは? と話す中で一人から「ステルスロック」の話題があがった。
配信中に戦略会議をしていた先輩方も「ステロ欲しいな」みたいな話題が上がっていたのを覚えていた。
俺たちがレベルアップ時に「じばく以外いらん」と捨てた技でもある。

だいばくはつは残したい、となれば覚えたばかりで大して使ってもない、ワガママ言って買って貰ったギガインパクトを忘れるしかない。
人が多めで流れが速く、ころがるやギガ、爪に執着してきた「俺たち」が、戦略のために流れを変えてくれるかが心配だった。

「とりあえず、提案はしよう。流された時はしかたない、そういう企画だ」
「そうだね、提案だけはしよう」

確実にステロを入れるために、睡眠からの回復ができるカゴのみをオーバ戦で持つという方向も決まった。
しかし、そもそも目標である「ガブリアスにだいばくはつ」だが、自分達がガブリアスの対面になる可能性というのはあるのだろうか?
「いけます」と言ったところで、決めるのはそのとき戦場に出ている誰か……おそらくはギャラドスのくしやき先輩だし、1~5枠の皆は、どちらかといえば「6体全員生き残る」策を考えている。
相当ピンチにでもならなければ、ゴローニャの出る幕は無い。
その上、だいばくはつしても、シロナのガブリアスは倒しきれない。

どう爆発するのがベストなのかは定まらないまま、当日を迎える。

開きっぱなしの部屋には配信告知前から少しだけ人がいて、俺もその一人。
会話するでもなく、ただじっと、「俺たち」が来るのを待っている。
Twitterにイブラヒムの投稿がされ、人が集まり始めた。
「戦略、どうなった?」
「居残り会議追えてないから、三行で教えて」
会議に残っていなかった人たちが積極的に聞いてくれた。

自由奔放の極みみたいな6枠の俺らであるが、勝つ気はあった。
前回の居残り会議で心配した「多数に流され戦略が聞いて貰えない」ようなことは、全く無さそうだった。

ステロとカゴのみ案を共有し、ガブリアスを倒すにあたってどうやってだいばくはつのダメージを上げるか問題を話しあう。

 ノーマルタイプの威力をあげる「シルクのスカーフ」はどうか。
 いや、それでも計算上倒しきれない。
 ダメージがデカくなるぶん回復ラインを超える。
 回復ラインを超えるならそれはそれで1ターンのアドではないか。
 いや、回復されたら意味がない。
 じゃあ急所狙いの「するどいツメ」ならどうだ。
 急所なら、ワンチャンあるかもしれない。乱数次第では突破できる。
 急所にならなければ回復ラインは越えないはず。
 それはそれで次に繋げられる。

人が増えてきてわちゃわちゃ意見割れしながらも、「するどいツメ」が欲しい、ということが周知された。

「散々ワガママ言ってギガもらったのに、ギガ捨てるの怒らないかな」
「イブラヒム俺らのこと好きだから、ワガママ言えば聞いて貰えるよ」
「ギガ飽きた、ステロ欲しいって言おう」
「新しいネイル欲しいって言おう」
わがままいえば、聞いて貰える。末っ子6枠(実際には4枠のにしむらが末っ子)ポケモンゴローニャがそこにいた。

■計算された戦いは美しく誇らしかった。が、

配信開始。
俺たちも緊張していたが、イブラヒムも緊張していた。
「この2日ずっとポケモンのこと考えてた」
きっと手持ちの中のやつらも、そうだよ。
しょっぱなから「グレネード、ステロ持ってくれ」と言われ、同じことを考えていたと嬉しくなる。
よろこんでギガインパクトを捨てる俺たちを、「俺ならだいばくはつだけど」と、いつものように苦笑いで受け止めてくれた。

倒してないトレーナーを倒しに行き、装備を整え、デンジのところへ。
じめん技が強いはずの電気系なんだが、デンジのやろうが「なみのり」とか「こおりのキバ」とか持たせてやがるせいで、俺たちの出番は道中だった。クソが。あとなんでオクタンいるんだ。水4倍逝けます。
ここで死ぬわけにはいかない。
俺らは無駄にオシャレさにこだわり、やたらとシールを求めた。
シールをくれないイブラヒムを罵倒しながら、チャンピオンロードを進む。
大ダメージで死にかけるのも何度目だ?
楽しい死線くぐりだが、結局死なずに通り抜ける。
ここで死ぬわけにはいかない。

イブラヒムは時間をかけて、俺たちに、あるいはイブラヒム自身に後悔がないように一体一体の意見を聞き、準備を整えた。
いざ、四天王とチャンピオン戦。
各ポケモンたちがしっかりと考えてきたから、ほとんど危なげなく、予定通りに撃破していく。
打ちあわせたステルスロックも決まって、みんなの支えにもなれたと思う。
爽快感もあったし、美しさもあった。

サボ先輩は誰よりも早く真剣に戦いに取り組みはじめた俺たちのエースで、ちょうはつが無ければ、ゴヨウ戦は勝てなかったかもしれない。
ツイッター先輩はもちものを色々組み換え、出番がないかもしれない状況でも後詰めとして戦うための供えが常に万全だった。
にしむらが急所でもないのに半減実を貫いてワンパンしたときはその美しさに感動したし、
くしやき先輩は今日は自分達がメイン戦力だと悟ってぴちぴちはねることもなく、舞えるだけ舞い、のぼれるだけのぼりきった。
ことに、強い攻撃手段を入手する方向性もあったのに、あえてサポートにまわってきっちりマヒさせ、壁をはる仕事をしきったボルサリーノ先輩といったら、誇らしいったらなかったよ。
見ろよ、俺の仲間たちかっけーだろ!

「ほんとに大丈夫だよね?」
不安を見せるイブラヒムに、ポケモンたちが言う。
「信じろ」
死にたくない、死なせたくない、勝ちたい。
みんなの思いが合わさって出来た「シロナ戦6タテ」の目。
すげえことだ。
すげえことだけど。

「だいばくはつ、させてくれ!!!!」


■長考してくれるとこも好きだよ。言わないけど。

イブラヒムは俺たちの声を無視して、5枠の声だけ聞いて、たきのぼりし続けることも出来た。
でも、ずっとだいばくはつしたがっていた俺たちのことを気にかけてくれたんだと思う。
「これでいいのか?」という配信者的思考もあったろう。
手を止め、俺たちの声を聞いてくれた。

一応、きちんと計算をしていた俺らのうちの何人かは、それなりの勝算があった。
急所が引ければ倒せる可能性はそこそこにあり、
引けなかった場合、回復ラインを越える可能性は低いので、次の誰かに繋げられる。
だから決して、大ばくちってわけじゃない。

が、イブラヒムが「他の誰かが死ぬかも」「唯一の負け筋」と告げたこともあって不安になった「俺ら」も多かった。
自分以外のポケモンが死ぬというのは、いざとなれば盾になって死ぬ覚悟があった俺らにとっては仕事がしきれなかったことと同義でもある。
盾どころか死の原因になる可能性というのは、酷く恐ろしかった。
さらにはどっと人が流れ込み、とても有識者たちが冷静に言葉を伝えられる状況ではなくなった。

俺個人はといえば、だいばくはつはそりゃあしたかったが、イブラヒムや、他の1~5の意見を押しのけてまでとは、考えていなかった。
俺たちにも生きてて欲しいっていう人がたくさんいることも、知っていたから。
だから、俺はたしか「トレーナーが決めてくれ」というようなことを言ったと思う。爆速で流れてったけど。

決断は5枠に委ねられた。
俺は見に行かなかったからわからないが、多分相当このとき5枠に人が流れ込んだと思う。
もともとからいた人なんて多くたって百人くらいだろうに、決着がつかずアンケートをとったら数千票。
もともとのくしやき先輩たちの意向は、果たしてどうだったんだろう。
今となってはわからない。

「どうなっても、俺が責任をもつ」
と、イブラヒムは言った。
そんなこといくら言ったって失敗すれば荒れるのは間違いないんだが、それでも俺たちにとって、5枠のくしやき先輩たちにとっても、どれだけ心強かったかと思う。
ああくそ、こういうところが好きなんだよな、と思った。
ともあれ、アンケートは本当にギリギリの接戦で、俺たちを出すほうを選んだ。
じしんで削って耐久しながらチャンスを狙う策もあったし、じしんしたいってコメもめっちゃいっぱい流れたけど、
最終的には、もうピン抜いちゃったので、
俺たちはだいばくはつをしたのだ。


……結果は知ってのとおり。
急所は引けず、回復ラインを越えないダメージ量。
「お前ららしいよ」とイブラヒムが拍手する。
謝る「俺ら」も多かったし、案の定、部屋内はやや荒れ模様だったが、俺個人でいえば多少申し訳なさはあったが後悔はなかった。
みんなが後悔のないようにと、イブラヒムは使うかわからない持ち物や技を整えてくれた。
6タテ出来る流れの中で俺たちの声を拾ったのだって、きっと俺たちに後悔がないようにと、夢を、叶えてくれようと思ったからだ。
叶えた夢に後悔はしない。
心の内はどうであれ、1~5枠たちが「グレネード、よくやった」と言ってくれている。
あとは任せろと、言ってくれている。
みんなの中に、ピンチに備えて策を考えている人たちがちゃんといる。
あとは、祈るだけ。

思考と相談の末に戦場に飛びだしたのはムクホークだった。
ケンカする1・2、よくも悪くも自由人な4・5・6に挟まれ良心と呼ばれた3枠。
他の部屋の作戦案が見たくて覗きに行ってみたら、配信に乗ってない居残り会議ですらハッシュタグつけて行っていたツイッター先輩。
もしもの時のためにと先輩が持っていたのは、
ステロのために俺らが捨てた「ギガインパクト」。
そして、回復ラインを越えるなら意味がないと持たなかった「シルクのスカーフ」。

ギガインパクトが、ガブリアスを貫いた。


■僕が見た君を君に伝え…は、しないんだけど

みんなでエンドロールを見て、
VIPPER先輩と俺らの埋葬をして、
配信が終わって。

俺たちはお互いと、イブラヒムと、なるくんと、先輩方と、リスナーたちにありがとう、って言い合った。
待機枠が閉じられてコメントできなくなっても、俺はしばらく、部屋を閉じられないままでいた。


深夜3時。
Twitter見たら「グレネード」がトレンド入りしててちょっと笑って、
ファンアート見てちょっと泣いて、
いい齢こいて青春しちまったなあって、噛み締めた。
色んな気持ちで胸がいっぱいになって、眠れなくて、
センチメンタルな気分になってバンプの「アカシア」なんか聞いちゃってさ。

 今日は俺ら、トレーナーの隣にいるポケモンだったな。
 手持ち枠って特等席で俺が見たイブラヒムのこと、
 仲間の1~5枠のこと、
 そして一番近くにいた6枠の「俺ら」たちのこと。
 伝わんなくていいけど、残しておきてえな。

って思ってこれを書いている。

また、ロマン屋さんのイブラヒムが伝説作っちまったな。

初日に「伝説がいい」とだだをこねた俺らが、イブラヒムと、みんなのおかげで「伝説のポケモン」になった。
これはそんな物語だ。









2023/02/02 追記

おい!!「俺ら」!!アニメになったぞ!!!!!