見出し画像

トランスジェンダリズムとは?…13

⤵️前回

画像1


性加害男性が「トランス女性」だったら

 現在日本で、この問題について進歩的な新聞(朝日新聞、赤旗、ふぇみん)に出てしゃべっているのは、みんなTRAの学者やそのアライ(支持者)ばかりです。欧米のように、暴力や法律によってTRAに批判的な言論が制圧されるまでにはまだ至っていません。
 が、日本でも、反ファシズム、反ヘイトのリベラル左派(の特に男性)はこぞってTRA側について、当たり前のことを言っているだけの女性を叩いています。

 つい最近も、「生物学的男性にレイプされた」と発言した女性に対して、「レイプはデマ、加害者への差別だ」とセカンドレイプをしたのが反ヘイトの左派たちでした。そして、その中の一人は、在日女性への民族差別・女性差別発言を裁判で闘った女性弁護士だったのです。
 彼女は、「バカバカしい。女友達との旅行でも普通は別室とるでしょ」と発信しました。加害者がトランス女性を自称する生物学的男性だったからです。

 もう、おわかりでしょう。もし、加害男性がトランス女性でなかったら、明らかに「悪いのは加害者だ、被害者の落ち度のせいにするな」と言ってくれたはずの人が、口をそろえて「被害者は嘘つきだ」と言い始めるのです。 女装型オフパッカーによるレイプ被害がけっこうあるということをご存知ないんですかね。
 「女の子同士だからいいよね?」と言って迫ってくるんですよ。断ったら「トランスフォビア」と言われるから断れないんですよ。何が「バカバカしい。女友達との旅行でも普通は別室とるでしょ」やねん。

 海外でもトランス女性による性暴力事件が起こると、被害者をバッシングしたり、トランスコミュニティが「これはTERFによるデマだ」と言ったりするのは、すでに見慣れた光景です。また、犯人が犯行の理由をトランスフォビアのせいだと主張することも大変よくあります。
 そして、トランス女性の犯した犯罪を、警察が女性の犯した犯罪として統計にカウントしたり、新聞が、トランス女性による女性への犯罪を「女性が市民を○○した」と見出しに書いたりするのです。女性による犯罪率が急上昇!と報道される日も近そう。

「トランス女性は女性です」の効果たるや、恐るべし。もう一度、この言葉を思い出してください。「人の思考をコントロールしたいなら、言葉をコントロールすることから始めよう。それが全体主義者の考え方だ」。


性差別を語れなくなる!

 『The New Backlash』に戻ります。Susan Hawthorneさんは、トランスジェンダーアイデンティティポリティッカーによって言葉がコントロールされると、性差別の分析が不可能になると述べています。

「ジェンダーという言葉の、10年前の基本的なフェミニストの定義はもはや許可されていません」、「もちろん、性差別sexismに名前を付けて分析することは不可能です」(S.H)

 ここがもっとも恐ろしい点です!これによって、次のような事態が起こっています。

●フェミニストによるジェンダー分析は、現在ヘイトスピーチに分類され、ヘイトスピーチをしたらクビになる。

●カレッジや大学では、フェミニストによるジェンダー分析を教える代わりに「ジェンダーアイデンティティとしての女性」を教えている。

●フェミニズムについて公に書いたり話したりする女性は、女性の身体、生きた経験、抑圧、解放を説明するのに必要な言語を取り除かなければ、書いたり話したりできない。


女の子を黙らせる教育プログラム

 イギリスの学校の、ある授業プログラムについて紹介しましょう。
 英国検察庁は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの生徒に対する憎悪犯罪の認識を教えるための授業プログラム(11歳から16歳の生徒対象)を作りました。サイト『Transgender Trend』から、その批判記事を引用します。

 記事のタイトルはずばり、「検察庁学校プロジェクト:生物学的性別(sex)の消去と女の子の沈黙」です。

「『T』を『LGB』と一緒にしてしまうことは、少年がトイレにいることに対する不快感は『トランスフォビック』だけでなく、『LGBTの権利』に反対することでもあると思春期の少女に示唆します」、

「女の子は、トイレや更衣室で男の同級生に異議を唱えることは偏見と憎悪にのみ基づくことだと教えられています。プライベートな空間で男性に不快感や脅迫を感じたら、彼女らは悪い人だということです。これは被害者(女の子)のせいだということです。男の生徒の感情だけが重要です」、

「女の子はすでに男性をケアする人になるために社会化されており、トランス平等の世話人として責任を与えられているのは、ここでは女の子です」、

「女の子は今日、英国の学校でセクハラや虐待の蔓延に直面している生徒ですが、この指導ガイドでは、最も基本的な保護対策を取り除き、虐待者が最も一般的に使用している欺瞞、心理的操作、ガスライティング(心理的虐待の一種。被害者にわざと誤った情報を提示し、被害者が自身の記憶、知覚、正気を疑うよう仕向ける手法)のテクニックを通じて、女の子の力をさらに弱めています。性別(sex)に基づく女の子への嫌がらせや暴力は、もちろん『憎悪犯罪』として認識されていません」。

 いかがでしょうか?「トランス女性は女性です」が目標とする地点は、女性(female=生物学的女性)という概念を消滅させること、性差別・性暴力について語ったり、分析したり、抗議したりする女性を黙らせることだと考えられます。


女性の人権に反対するTRA

 その証拠に、というわけでもないけれど、『男性のトランス支持者がレイプ文化に対する女性の抗議に抗議する』という事件が2020年1月に英マンチェスターでありました。
 反性暴力のフラッシュモブ(歌とダンスのようなもの)を行なった女性グループを、「トランスフォビック」だとTRAが抗議したというのです。何?いっしょにやりたかったの? そんなわけはないよね。彼らの真意について推察しているツイートがあります。

「おそらくその理由は次の通り。『実際の女性が子どもを出産する能力を持っていることは、トランス女性にとって不公平だ。したがって、彼女らが妊娠できるのは無理やり妊娠させられる時だけ、というのが適切だ』」。

 いかにもそう思っていそうで、腑に落ちました。

 その他、2020年3月には、『TRAが、18歳未満の少女への女性器切除FGMを禁止する超党派法案に抗議した』(米ワイオミング州)という記事もありました。男性にトランスしたいトランスジェンダーに厳しい条件を課すからだと。だから、18歳未満って言うてるやん! 成人になって本人合意の上でトランスするための手術をするのに、この法律で、一体何の支障が出るというのでしょうか? 女性の人権に反対するTRA。やっぱりね。

日本にもやがてやってくる

 海外で起こっている動きは、やがて日本にもやってきます。日本では、すでにフェミニスト学者が先頭切ってトランスジェンダリズムの主張をし、それに反論する知識人は皆無に等しい状態です。

 世間でいうリベラル左派男性が女性差別的なのは、広河隆一の性暴力事件でも丸わかり。業界「あるある」でしたよね。「トランス女性は女性だ」と言っていれば、進歩的でLGBTに理解があると見なされ、性暴力被害を受けた女性たちを「差別者め!」と叩けるのです。
 男性は自分のミソジニー(女性嫌悪)を女性から責められるどころか、逆に彼女たちを「トランス女性は女性です」という「正義」の力で潰せるのです。
 ジェンダーギャップ指数121位の日本、のリベラル男性が、この流行に乗らないわけがない!と思うのは私だけ?


 3回にわたる連載を読んでいただきありがとうございました。
「トランス女性は女性です」がマジでやばい理由、わかっていただけたでしょうか?

 今はとりあえず、理解者を1人でも増やしていくしかありません。


(2020年6月)

本編完結。次回より資料編です。

《つづく》


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?