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イギリスの階級社会について思う事 1

日本も「格差社会」と言われるようになって久しいが、イギリスのそれと比べると、まだ緩い気がする

いやいや、日本でも最近は階層化が進み社会が分断されてるよ、と言われるかもしれない。確かにそうなのだけど、たまに日本に帰国すると道を歩いている人が小綺麗だなあと感じる。もちろん服やバッグにお金をかけない人も多いだろうが、安い服を着ていようが、清潔で小綺麗なのだ。特に日本ではお金を持っていてもブランド品に興味がなかったり、その逆の人もいるので、同じ様に小綺麗な集団の中で、実際に話してみるまでその人の経済状態やらバックグラウンドやら上流下流やらを判別する事が難しい。(もちろんいつも判別しようとして他人を見てるわけではないです。あくまでもイギリスと比べると、という意味で。)

それに対してイギリスの階級と言うのは、可視化できる事が特徴的だ。可視化という単語が正しいかわからないけど、文字通り「見て分かる」。つまり道を歩いている他人を見て、あの人はミドルクラス、あの人はワーキングクラスと一目で分かってしまうのだ。身に着ているもののテイストや値段はもちろん、何故か髪の艶まで違う。買い物帰りにショッピングバッグの中身を見せて下さいと言えば、購入した食料でもその人の属する階級がかなり分かると思う。(アゲイン、もちろんそんなことはしたことないけど)

見るだけでも分かるが、話し出せばもっと顕著だ。映画「マイフェアレディ」で描かれた様に、階級によってアクセントが違う。これは日本人がお国訛りを標準語寄りに変えるどころの騒ぎではなく、一度身に着いたアクセントを変えるのは、かなり器用な人でないと難しいらしい。(リトル・ブリテンで有名なコメディアンのマット・ルーカスはこのアクセントの使い分けが秀逸で、社会的弱者とされている層も果敢におちょくり、大人気番組になった。しかしこの番組が放送されたのが約20年前で、その時も社会のタブーを破った感じだったが、今はもう地上波では放送できないだろうなあ……)

兎にも角にも、喋るだけで、登場人物の社会的位置を明確に表現できるというのは日本にはない特徴だと思う。昔のドラマ「やまとなでしこ」で松嶋奈々子演ずる美しい桜子は、貧乏な出身を隠してお嬢様然としてふるまっていたが、イギリスでは桜子のワザを使うのはかなり難しいと思う。同じ「イギリス人」でありながら空気の様に階級が存在し、社会が分断されている。通常、同じ階級の人同士で交流するので、アクセントを含めた所作が骨の髄まで身に付いていて、それを消し去ったり変更したりするのは日本人が思うよりもとても大変な事なのだと思う。

なんたって、今でもアッパークラス、ミドルクラス、ワーキングクラスとはっきりと階級が健在している社会だ。ミドルクラスの中でもアッパーミドルクラスとかローワーミドルクラスとか分別だされる徹底ぶり。人間てどこまで格付けが好きなんだろう。

階級社会のことについて、もう少し書きたいと思います。イギリスの階級社会について思う事 2に続きます。

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